映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

2/4(木)アトロク 744回

■18:00~18:30頃
「オープニング」→最新カルチャートピックス

春一番が吹いたというニュースに関して。

 

宇多丸さん:3月はクソ寒い日もあるのではまだ冬じゃないですか

 

宇内さん:春夏秋冬を3カ月毎に割ったらどうなりますか?

 

宇多丸さん:4等分じゃないでしょ。秋なんてあっという間だし。

春と夏の間に「梅雨」って入れろよ!

4,5月→春

6月→梅雨

7,8,9月→夏

10,11月→秋

12,1,2,3月→冬?

 

宇内さん:冬長!

 

宇多丸さん:3月くらいはそんなに寒くない日もあるからな……

夏が“烈”になったように冬の呼び名もかえるべき?

 

宇多丸さん:本当にやくたいもない話をしてしまいました。アフター

宇内さん:シックス

宇多丸さん・宇内さん:ジャンクション!

 

三毛猫電力さん

澤田記者が森喜朗の「女性のいる会議〜」の謝罪会見での食い下がりについて。

怯まず食い下がる姿勢に涙。

 

宇多丸さん:この会見を見るだけでも森さんが悪いと思ってないのが伺える。

これぞジャーナリストの仕事。

オリンピックやりたい側の人からしてもマイナスの発言。

なのに彼が組織のトップ故に辞めさせられる人がいないという地獄。

管総理

 

タイラーさん

うなぽんのインスタでも報告されていたが、宇内さんがフリーペーパー「横須賀読売」で特集されていた。

誕生日に入手できて嬉しい。

 

宇内さん:メディアの取材を受けたのは10回ほど。自分がフランクにラフに口語で話したことが、何故文章にするとこんなに知的にお淑やかな印象になるのだろう。

 

宇多丸さん:インタビューは文字起こしをする人間の句読点の打ち方、てにをはの使い方で全く印象が変わる。

このフリーペーパーは非常にコンパクトに上手く纏まっていた

 

宇内さん:え、宇多丸さん読んでくれたんですか?!

 

小山内さんがゲットしてくれて渡してくれたという宇多丸さん。

流石小山内さん!

宇内さんも宇多丸さんの新聞記事を読んだという。

受験に非常に役立つ記事だったと太鼓判。

 

宇多丸さん:本当に大事なのは何処に行って誰について何を学ぶか。

それが無かった自分はひとまず行かれる範囲で一番威張れるところ、ということで早稲田に進学した。

 

宇内さん:余り出来ると思われていなくて国語全国二位になったことで驚かれたのでは?

 

宇多丸さん:自分の勇気にはなった。

「出来ない方の佐々木」というレッテル。

出来る方の佐々木さんとは制服を作るときに会い、「同じ佐々木だね」と話していたが、当時から彼は自分を避けていたような……

苦手意識やレッテルに負けないで。

目が悪く球技が苦手だった宇多丸さん。自分は運動神経がないと思っていたが、体力はあるしリズム感はある。

一つの物差しで「運動能力」を測って苦手意識を抱いてしまうことへの警鐘。

 

■18:30~18:50頃
「カルチャートーク」→ TAITAI(電ファミニコゲーマー編集長)

ファミ通とニコニコ動画のウェブメディア。

日本のウェブメディア黎明期からシーンの最前線にいる方。

ゲーマーはインターネットへの感度も高く、ゲームとウェブメディアの相性は良かった。

 

紙の雑誌とウェブメディアの相違点について

紙の雑誌=ワンパッケージ

以前ジャンプが発行部数600万部という時代があったが、紙の媒体は印刷された数だけ人の目に触れるチャンスがある。

 

ウェブメディア=単発

一つの記事が単発のため、ワンパッケージので提供という格好にはなっていない。

一方、バズればゲームに興味のない人たちにも届くのがウェブメディアの特徴。

 

また、ウェブメディアでは文章としての出来不出来よりもPV数が価値判断の基準となりがち。

 

一筆入魂の記事がさほど読まれず、単にニャンコが可愛いという記事の方が多くの人に読まれるようなケースも多い。

 

紙媒体だとライターに毎週記事をアップするようお願いするのが常。

ウェブメディアは月一で力を込めて書いた記事をアップして貰う方が良いかも。

 

今はSNSを通じて拡散されるという仕組みが当たり前。

記事を読んで満足感を得たとき初めて人は誰かに拡散したいと思うもの。

拡散される記事は文章力も然る事ながら、対象への熱量こそ読者を動かす力になっていると思う。

 

■19:00~19:25頃
「LIVE & DIRECT」→ 月の満ちかけ

 

 

■19:45-19:55頃
「新概念提唱型投稿コーナー」枠 → Spotify presents ラジオ、できるかな?

「podcast元年」などと言っていたが、clubhouseが日本でローンチされたことで今年が「clubhouse元年」になるかも?

 

また、今までラジオやradikoに触れたことがない人も、音声のみのコンテンツに初めて触れる人、そしてclubhouseをキッカケにラジオを聴くようになる人も……?

 

橋Pがclubhouseで「19:45〜19:55にアトロクに参加できそうな人」という部屋を作り、番組関係者を集めてフリートーク。

参加者や具体的な話題については割愛。

 

なかなか普段は組めない座組なので、興味ある人は是非!

 

別冊アトロクではしまおさんを交えてclubhouseトーク。しまおさんの流行予想「フリートーク」が的中?!確かに!すご!

 

19時台ラストのメール読みに借りぐらしのナヲトッティこと僕のメールが読まれる。

こんばんは。
今Instagramを見ていたところ宇内さんの投稿が目に入り ました。
2020年の総ゲームプレイ時間1018時間て……


24時間で割ると42、 つまり年間365日の内42日間丸々ゲームしてるいるに等しいと 言うこと!


僕は宇多丸さんと同じく映画鑑賞が趣味なのですが、 映画一本3時間だとしても339本分の時間に相当することに……
映画館で観る作品の他にサブスクで観る作品を足しても到底339 本には及びません。


宇内さん、恐るべし!」

 

■20:00~20:45頃
「ビヨンド・ザ・カルチャー」→ 「スチームパンク」とは何か? by大森望&添野知生

サイバーパンクってなんだ特集に続く特集。

スチームパンクと言う言葉はアトロクで知ったという宇内さん。

 

Googleで「スチームパンク」と検索すると出てくる画像はレトロな洋服、歯車、剥き出しのダクト、懐中時計、ゴーグル等が出て来る。

 

サイバーパンクは分かったが、スチームパンクとはどんなものなのか、前回に引き続き大森さん、添野さんに出演して頂くことに。

zoom画面に映る大森さんは首枕をしていて、それをスチームパンク的なガジェットかと深読みしたら単に首を痛められただけだという。

 

お二人はコンビでも無いのだがTBSではすっかりコンビ扱い。

「SFおじさん」というコンビとして売りだそうかと添野さんが言うと「華が……華が無い」とすかさず突っ込む宇多丸さん。

良い呼吸笑

 

サイバーパンクは『サイバーパンク2077』発売に合わせたタイミングだったが、今回のスチームパンク特集の背景は?

まさか番組スタッフ側からの「じゃあ次はスチームパンクでしょ」という安易な声かけはでないでしょうね、と宇多丸さんが笑い交じりに尋ねるとどうやらその通りだったらしい。

 

トムソーヤは寒ソーヤさん

FF7がスチームパンクの例に挙げられていたが、自分は6の方がイメージが近い。

ラピュタやナウシカ、『スチームボーイ』が想起されるが、詳しいところは知らないので特集が楽しみ。

 

宇多丸さん:そもそもスチームパンクとはSF小説の一ジャンル?

 

大森さん:宇内さんがさっきファンタジーじゃないのと言っていたように、ファンタジーだと思っている人もいる。

SFでもファンタジーでも何でもあり。

ただし、「サイバーパンク」という単語から派生したものなので出自としてはSF由来。

 

「切り裂きジャックとシャーロック・ホームズのロンドンで『ブレード・ランナー』をやる」、霧のロンドンのレトロなイメージに新しいSF的なテクノロジーを使って冒険したりミステリーをしたり。

蒸気機関、産業革命の時代。

当時、「ヴィクトリア朝ファンタジー」というヴィクトリア朝時代=1世紀後後半〜20世紀前半、日本で言うところの明治時代くらいを描いた小説というのが人気ジャンルとしてあった。

ただそのままヴィクトリア朝を描いてしまっては時代ものになってしまう。

そこで別の時代のものや魔法を混ぜたりした作品が生まれ、登場「ネオ・ヴィクトリアン・ファンタジー」と呼ばれていた。

 

電気ではなく蒸気機関文明が発展し、街中を自動車では無く蒸気機関車が走るような世界観の作品が生み出された。

 

「割と懐かしい感じの未来」。

かつて「レトロフューチャー」と呼ばれていたジャンル。

 

宇多丸さん:何となくイメージきでる?宇内さん?

 

宇内さん:スチームが大事ってことですよね?

 

宇多丸さん:ん?

 

添野さん:はい?

 

一同:ハハハ笑

 

添野さん:スチームを全部出すのは大変なのでスチームが出てこない作品も。

ファンタジー物にはスチームが合わなかったり。

故に「クロックパンク」という呼び名もある。

 

宇多丸さん:いつ頃誰が生み出したジャンルかというのはハッキリしているんですか?

 

A:起源はハッキリしていて、1979年にSF作家のK.W.ジーターがSF小説雑誌に手紙を書いて主張した。

この人はブレード・ランナーの、小説版の続編『ブレード・ランナー2』を書いた人。

原作者のディックと親しく、彼の推薦もあって続編執筆に。

 

それ以前からカリフォルニア州のオレンジ市で作家仲間二人と共にSFオタク談義。

その人達がヴィクトリア朝物にハマる。

そしてそう言ったものが流行っているらしいとSF情報誌で書評に載る。

「何が最初なんだろう」と紙上で書かれていたのに対し、「1979年に書いた俺の作品が最初だよ」と自己申告。

「俺たちの書いてる作品にイケてる名前をつけたら行けんじゃね?例えば「スチームパンク」とかさ」と寄稿、その後定着。

半分冗談で言っていたのだが……

 

オリジネーターであるスチームパンク三銃士を中心に盛り上がったところ、サイバーパンクの大家たるウィリアム・ギブスンとブルース・スターリングが共著で『ディファレンス・エンジン』というスチームパンクの代表作を発表する。

 

宇多丸さん:三銃士からしたら「止めてくれる?」って感じですよね

 

実際には『ディファレンス・エンジン』という余りにも傑作が世に出たことでムーブメントが一段落してしまった感も否めない。

初期スチームパンクは短いブーム。

1987年にネーミング、90年に『ディファレンス・エンジン』出版でムーブメント自体は収束の傾向。

狭義のサイバーパンクムーブメントも84〜87,88年と短かった。

 

『ディファレンス・エンジン』の冒頭部分を宇内さんが朗読。

https://nhsw9.app.goo.gl/mnZA 

 

勿体ぶった描写だが言ってることは大したことないと宇多丸さん。

しかし「ジャガード織機」などはヴィクトリア朝時代の象徴的なもの。

それと無人飛行機という当時には存在しなかったメカを同時に描写することで、スチームパンクという舞台装置の説明になっている。案外大事なヶ所。

 

スタイルに対して文体的な縛りも無い。

狭義のサイバーパンクは反体制的な精神性を持っていたが、スチームパンクはそう言ったものも無い。

 

カールマルクスや福沢諭吉も登場したり、歴史上の偉人を出して時代感を出しつつ歴史上にはなかった出来事を描く、当時書かれた創作物やキャラクター、シャーロックホームズなどを登場させたり、何でもあり。

オリジネーターたる三人は19世紀以前の小節の大ファンで文体を真似たりしていたが、最近のスチームパンク小説はそう言った要素もない。

 

宇多丸さん:それじゃあサイバーパンク警察的な存在はない?

 

A:無い。強いていえば蒸気の登場の有無、イギリスが出てくるか否かなどの意見のある人もいる。

ディーゼルパンク、クロックパンクのようなサブジャンルを主張する人もいる。

「1950年くらいまでは大体昔だよね」という大らかな精神性。

 

当初はオルタナ科学史的な要素がスチームパンクの要件だったが、今やそう言った縛りも無い。

 

スチームパンク小節のオススメ

大森さん:日本の『ディファレンス・エンジン』ともいえる元祖は『屍者の帝国』。

伊藤計劃さんと円城塔さんによる合作小説で、『ディファレンス・エンジン」の文庫版の解説も合作していた。

伊藤さんが絶筆した本作を円城さんが引き継いで完成。

フランケンシュタイン博士の物語が実話だったという前提で描かれる。

死者を労働力として使う術が世界に広まった世界観で、ホームズと出会う前のワトソンを描く。

 

『屍者の帝国』に影響を与えたのが『ドラキュラ紀元』シリーズ。

ドラキュラ伯爵が生存しヴィクトリア女王と結婚し、ヨーロッパに君臨するという長編シリーズ。

92年スタートで今は第六部。

翻訳は第三部『ドラキュラのチャチャチャ』まで、もう1960年代まで来ている。

 

まだ翻訳されていない第五部では日本が舞台。1889年の日本に妖怪タウンというエリアがあり、そこに妖怪が住んでいる。

 

宇多丸さん:僕にはスチームパンク感が全然無感じないんだけど……笑

 

大森さん:一番新しい物は1999年が舞台で、大怪獣プラザと言う怪獣の形をしたビルが登場。

怪獣を初めとした映画のキャラクターが登場。椿三十郎的なキャラなど。

好きな物を全部ごちゃ混ぜにしている。

 

添野さん:『ドラキュラ紀元』が出たなら僕としてはアラン・ムーア原作、ケヴィン・オニール作画の『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』を是非オススメしたい。

日本語で読める。『ウォッチメン』で知られるイギリスコミック作家アラン・ムーアのコミック。

 

全四作品20年かけて完結。日本では三作目まで読める。

19世紀末が舞台、『ドラキュラ』のヒロイン(主人公の恋人・妻のミナ)が主人公で、彼女を中心に当時の大英帝国防衛のための超人リーグを結成するストーリー。

『海底二万マイル』のネモ船長、『ジキル博士とハイド氏』のジキル博士、『透明人間』の透明人間が登場し、超人リーグを結成、悪の陰謀と戦う。

紆余曲折を経て4巻で現代にまで話が及ぶ。

イアンフレミングのジェームズ・ボンドやコナンドイルゆかりのキャラも登場。

一筋縄ではいかない冒険漫画。世紀末オールスターズ。張り巡らされた謎も面白い!

 

宇多丸さん:もう一冊おすすめをあげるとしたら

 

添野さん:短期間で終わったスチームパンクという話があったが、21世紀に入ってからファンタジー、ヤングアダルト小説などが多く出て再びムーブメント形成。

『バネ足ジャックと時空の罠』から始まるその名も「大英帝国上記奇譚」シリーズ。

ズバリ「蒸気」。手軽に読めるので是非。

 

〜後半〜

宇多丸さん:映画において「スチームパンク」を感じる作品は?

 

添野さん:スチームパンクは基本的に電気・ガソリンエンジンは出てきては行けない。

一方の映画は電球・小型モーター無くして開発されなかった。

しかし映画が発明された時代は実はヴィクトリア朝、オリジナルスチームパンク時代だった。

 

メビウス達が最初SF映画を作ろうと思った時、参考になるのはジュール・ヴェルヌなどの作品群。

『月世界旅行』はリアルタイムのスチームパンク作品だと捉えている。

 

宇多丸さん:ヴェルヌとかそのまんまでスチームパンクに思えますもんね、僕らの目から見ると。

 

添野さん:もうただのスチームパンクですよね。

 

大森さん:だいたい、「ヴェルヌみたいな作品を書きたい」と思った人がスチームパンクを描いていたので

 

添野さん:メビウスの影響を現代に絶妙なタッチで蘇らせたのが実写とアニメを混ぜた作品で独自の面白さを完成させたのがチェコスロバキアのカレル・ゼマン監督。

どれも面白いが1958年の『悪魔の発明』がおすすめ。

ヴェルヌ原作の映画化。足漕ぎ式の潜水艦など、ビックリドッキリメカが出てくる。

一目見てテリー・ギリアム、ティム・バートンへの影響が見て取れる。

突然変異的に60年台のテレビドラマに現れたのが『0088/ワイルドウエスト』という西部劇+秘密兵器作品。

人気が高くS4まで続いた。

 

これをウィルスミス主演でリメイクしたのが『ワイルドワイドウエスト』。

CG時代の実写スチームパンクの代表作。蒸気機関で動くクモ形陸上戦艦。

 

宇多丸さん:この辺り一番見返さない時代ですよ笑