■18:00~18:30頃
「オープニング」→ 最新カルチャートピックス/フリートーク
1/6以来となる水曜日スタジオに参上。
ただ、先週金曜日に日比さんがスタジオに現れモルカーのマカロンをバレンタインに渡してくれた際に会ったので久々感なし。
日比さん:匠晃さんの漫画みたいな「ズーン」笑
宇多丸さん:心から縦線出てましたよね
日比さん:だからタカキに会わないようにしていたのに〜
宇多丸さん:この後登場する加藤シゲアキさん、5年ぶり。最後にあったのもここ第六スタジオ。
タマフルの裏被りもあったことでなかなか番組に呼べなかった。
宇多丸さん:今週は各パートナーに聞きたいこともありますので始めましょう。
アフター
日比さん:シックス
宇多丸さん・日比さん:ジャンクション!
リモート体制下ではCM明けの「2/17水曜日〜」などはスタッフからのキュー出しに対応しやすいよう、スタジオ内にいるパートナーが読んでいたが、スタジオ内での収録ということもあり今日は宇多丸さん読み。
「小山内さんとゴシップ話できない!」とワタワタ。
加藤シゲアキさんへのウェルカムメール。
シャンディガフさん
以前は「タマフルに出演していたあの人」でしかなかったが、NEWS、加藤シゲアキのファンとなった今は違う。今回は凱旋出演。
日比さんの「二度といけないあの店」は?
日比さん:5歳6歳の頃に肺炎で入院。
初めて一人で病院内で夜を過ごす寂しさ。息も苦しい、点滴も痛いし……
そこの病院のナポリタンが美味しかった。
母・祖母が見舞いに来たときに病室から連れ出してくれた。
ナポリタンの味の濃さがあっさりした病院食との違いが際立って美味しかった。
かつて大阪に住んでいた頃に通っていた病院で、引っ越して以来そのあたりには行ってないので現存する病院かもわからない。
郵便が行き交うエアシューターが張り巡らされ、白い服を着た入院患者など灰色の世界の記憶の中、赤いナポリタンだけが際立って覚えている。
そのナポリタンはお母様も「美味しかった」と言っているらしく、今食べても美味しいはず。
宇多丸さん:今まで入院とは無縁だったが、昨年2回入院して病院食も初経験。
汁状のものから固形物に移り、タインゴ病院街で食べた食事の衝撃もすぐに忘れてしまう。
ロマニスタさん
浅草のモンブランでハンバーグを食べていたら、芸能人のサインの中に日比さんのサインを発見。
日比さん:多分一年生の頃に行った。サインを求められるのも初めてというくらいの頃。
楷書でサインを書いた。
宇多丸さん:DJオフィスラブさんがサインを書くことに対し以上にシャイ。
サインを求められると顔真っ赤にして別の紙に練習してから書き始める。
サインのデザインもその場で考えたりして……それ見られるのが一番恥ずかしくないか?
宇多丸さん:「浅草」「モンブラン」と検索したら2019年に閉店したアンヂェラスが出てきた。
ここも二度とはいけないあの店。
■18:30~18:50頃
「カルチャートーク」→ 加藤シゲアキ(小説「オルタネート」について)
宇多丸さん:色々なメディアで目にして陰ながら応援してたよ
加藤さん:僕も番組で話題に出してくれていたのは聴いていた
宇多丸さん:擦り倒してますよ。「加藤シゲアキと俺は友達だ」っつって
加藤さん:僕も各所で「僕はジャニーズ生まれタマフル育ちだ」っていってますよ
「アトロク」は初出演の加藤さん。
「オルタネイト」の出版イベントで福田里香さんと対談し、そこでもまた(タマフル、アトロクを)話題に。
宇多丸さん:福田さん感心してましたよ。影響元を聞いたらタマフルの話、他の影響元を聞こうとしたらまたタマフルの話笑
すごくありがとう、と言う気持ちだった
加藤さん:話題にしてくださっていたので、MGRにアトロクからオファー来てたら話通してくださいねといっていたら、「実は少し前に話来てたんですけどスケジュール合わなくて断りました」と言われた。
「何いってんだ!アトロクよりも大事な仕事なんてないだろう!」と伝えた。
宇多丸さん:いつでも空けて待ってるから。
お会いするのは2015年8月号の雑誌ブルータスのインタビュー以来。場所もここのスタジオ。
篠山紀信さんの撮影。
『傘を持たない蟻たちは』は昨年戯曲を上演予定だったがコロナで延期。
今年実施予定。
加藤さん:自身の作品に対し「戯曲化するならどれがいい?」と聞かれて選んだ作品。
原作者だからこそできる改変について大胆なアイディアが浮かんだから。
会話だけで地の文がないから、どこまで演者に委ねるか考えるのに苦労した。
宇多丸さん:会話だけで地の文がないことを挙げていたけど、以前行った落語への挑戦というのは活きている?
加藤さん:落語は結構説明しても大丈夫。
映画は(カメラが)寄れるけど、舞台は定点カメラなのでその辺りの表現の違いに苦労。
(作品概要説明by日比さん)
宇多丸さん:もちろん『オルタネイト』 読ませていただきました。
面白いし素晴らしいし後味も素敵だしでも、印象に楔を打ち付けられる場面がいくつもあって、「立派になってまぁ〜」と言う感じ。日比さんも一気読みでしょ?
日比さん:読むの遅いんですけど一気に読んでしまいました。映像が目の前に浮かんで
宇多丸さん:映像が浮かぶ文章というのは意識して書いている?
加藤さん:『ピンクとグレー』の頃からそれは言われている。
自分が映画の脚本やカメラワークをベースに考えているからだと思う
宇多丸さん:先を知りたくなる、一気に読んでしまう推進力が作品を重ねるごとに増している。そこが凄い
加藤さん:そこも実は苦戦している部分。リーダビリティのようなものは……『ピンクとグレー』の時はある種先に結末がわかるところから引っ張っていた。
『オルタネイト』はどうなるかも最初わからないところから引っ張っていく手法をとった。
大きなクライマックスはあるが、どんでん返しで「どん!」で面白くさせるという作りにはしていない。
心地よく読んでもらうことを意識。結末だけではない。
ファンからは今までは本を読んだことがなかった、本を読むのが苦手だという声をもらうことも。
若い人へという気持ちで書いた作品。それだけに文学賞で話題になったのが自分でも意外。
小説を高尚なものにしたくなかった
宇多丸さん:若い人に向けた読みやすさ、SNSがテーマであるというところを選考委員の人が評価してくれたんだろうね
加藤さん:漫画的でダメだという人もいる。高校生の恋愛小説は直木賞的ではないという判断。ただ、推してくれた作家さんも3名ほどいた
そもそも直木賞目当てで描いていないのでそこまで傷付かず。むしろ話題にしてくれてありがとうございますという感じ
宇多丸さん:「若者向け」は言うは易しだが、自分の年齢、自分の経験した青春とSNSネイティブ世代のギャップは?
加藤さん:「ジャニーズで恋愛小説」と言うといかにも売れ線にいったように思われるのが嫌で『ピンクとグレー』を書いた。
しかし刊行を重ねるとそういった肩の力が抜けていった。
また、自分が30代となり、今こそ10代や若い人を距離ができて冷静に見つめられるし、この先忘れていく感覚の方が多いと思い、「今しかない」という気持ちで書き始めた
宇多丸さん:客観的にみられるのと、体感的に感覚を覚えていられる「間」としてのタイミング。
SNSとの距離感というところはどう?
加藤さん:僕らの時はなかった。大学生の頃がmixi黎明期。
ただSNSはなかったけど高校生の頃10代中盤〜後半の頃に感じる多感なアンテナは不変的なのではないか。
その時期=モラトリアム一歩手前くらいの狭い社会での心の揺めきは不変的だと思った。
自分を高校生の頃の感覚に飛ばして追体験するように書いた。故にプロットを描いていない。
最初にオルタネイトをやりたくてもできない人、原理主義者、やりたくてもやれない人やらない人で3組作ってヨーイドンでそれぞれの高校を生きるように作った。
入り口だけ作ったらどこかで交わるでしょうと書き進めたが、なかなか交わらず。
書き進める中、文化祭が分岐点・終着点として定まった。
加速感はむしろ抑えて書き始めたが、最初に抑制が聞いていた分交わった時の加速感が強かったのかも。
宇多丸さん:どこかにかつての、あるいは現在の自分の背中を見つける部分がある。
映画で言えば『セッション』、『シングストリート』などが浮かぶ。
若い二人がSNSを通じて他者と出会う、ものすごく真っ当な成長プロセスを描いている。
日比さん:自分には料理コンテストがはまった。高校生の頃演劇をやっていたので。
宇多丸さん:料理描写があったけど自分でも料理するの?
加藤さん:実は料理がすごく好き。
体育会系にしすぎるとスポ根面が際立ちすぎるので、文化系のテーマを用意した。
宇多丸さん:20時代は駄話をしようと思っていたけど、もう少し作品の話しても良い?笑
■19:00~19:25頃
「LIVE & DIRECT」→ For Tracy Hyde
■19:45-19:55頃
新概念提唱型投稿コーナー → シアター・一期一会
新概念にも加藤さん出演。
宇多丸さん:六本木ヒルズで「最近の子はモノトーンでまとめてオシャレだな。マスクも似合ってるな」と思っていたら加藤さんだったということが
加藤さん:ムービーウォッチメンの課題映画見る時はどこかで宇多丸さんを自然と探してしまう
宇多丸さん:映画館の思い出を語るコーナーなんだけど加藤さん的に一番思い出に残ってる思い出ある?
加藤さん:悪い思い出になっちゃうんですけど……ジブリの『思い出のマーニー』をみにいった時。満席近かった。3席空いていて真ん中の席を取ったら遅れてきた男の子が自分の両サイドに分かれて座った。
正直自分は99%映画は一人で見にいくのでそういうことはない。
後々考えれば変わってあげればよかったのだが、その時は気持ちがマーニーに行っていたので思い付かず。
で、その二人が結構喋るタイプ。
宇多丸さん:観てる間も?
加藤さん:見てる間は喋らないけど、この二人がポップコーンをシェアしてて……
宇多丸さん・日比さん:嘘!嘘でしょ!
加藤さん:ちょっと遠回りはするけど僕の上でポップコーンシェア。
しかもそいつらケータイを見るタイプでしかも一回鳴らしたりするし……
イライラしてはいるけど注意もしづらいし。それ以後そういう時は席を譲ろうと思った。
日比さん:思い出の『思い出のマーニー』……
三平と書いてみつひらと読むさん
30数年前地元で受験が控えた高校生の頃。
「今日の放課後は『ランボー3 怒りのアフガン』でも見にいくか」と思っていたところ、放課後仲間から声をかけられる。
映画を見にいくつもりであるというと友人もついてくることに。
自分を合わせ5名で映画を見ることになり、名古屋の今池国際劇場へ。
スクリーン正面近くに座るおじさんがタバコをプカプカと吸い始めた。
当時から絶対的な禁止事項である禁煙を破るとは……
自分は鑑賞料が足りない時は職員室の先生にお金を借りて映画を見るほどの自他共に認める映画ボンクラだったが、客席で喫煙する不届き物を目にするのは初めて。
「ふざけるな」と思ったが、注意しにいくのは怖い。
しかし滅多に映画館に行かないであろう友人たちの映画館へのイメージを悪くしてはいけないと決死の思い注意をしに行った。
おっさんは声をかけられたことが意外だったようでタバコを消してくれた。
観賞後、友人たちから「よく注意しにいけたな」と言われ、自己肯定感が上がった。
宇多丸さん:二人はタバコ吸う人に遭遇したことあります?
加藤さん:僕はないですけど1980年代って結構いたんですか?
宇多丸さん:名古屋のシーンはわからないけど、1988年はかなり絶滅危惧種だったはず
加藤さん:中川翔子さんが水をかけられたという事件もあったので「自分が我慢して」って思っちゃうかな……
<注:こちらの事件>
普通に座って映画を観ていたら、うっすら揺れることがあって、地震かな?または近くの劇場で4d的ななにかかな?て思ってたら上映中に前の席の人が振り向いて、足やめろ!揺れてんだよ!て、いきなり私ににジュースをかけた。え?て、あまりのことに呆然。まだ上映中だし足を前にぶつけたり一切してない
— しぶとい中川翔子🌙⭐️ (@shoko55mmts) 2019年5月7日
宇多丸さん:昔注意したら注意されたおじさんが猛然と怒ってしまって……ということもあったし、『アウトレイジ』見た時の「客席がアウトレイジ」事件というのもあった。
席が指定になっているということの意識がない人たちが「俺ここなんだけど」というやりとりが散見された。
加藤さん:以前好きな髪型を聞かれて「お団子です」と言ったところ、舞台をやった時客席にお団子ヘアーの女性があふれる事態に……
「お団子が好きとか言わないでください!」と言われたことがある。
宇多丸さん:映画の試写会でもそう言ったトラブルある。
試写室は傾斜のない部屋に椅子を並べてと鑑賞。高低差がないので脱帽するなどのマナーが求められるが、目の前に座った人が高い帽子をかぶっていたということがあった。
時報前も加藤さんとのトーク
宇多丸さん:『オルタネイト』のインスパイア元となったカルチャーは?
加藤さん:執筆当時いくつか映画を観たが、青春ものはクオリティに差が大きかった。
クリティカルヒットだったのは『ちはやふる』。
スポ根描写、人間関係の描き方はかなり意識した。
宇多丸さん:料理描写。料理バトルのバトル要素、そのお題はどう考えた?
加藤さん:自分で考えた。しかも自分では一品も作っていない笑
料理の技巧を描きたかったわけではない。
ネットフリックスの『ファイナル・テーブル』もどう言ったものが題材たり得るかというところでよく観ていた。
■20:00~20:45頃
「ビヨンド・ザ・カルチャー」→ 作家・加藤シゲアキを形作ったモノたち
時報前聞いた料理ネタ、作家的イマジネーションに宇多丸さん驚き。
じっくり話すのは久しぶりだから自分の知っている加藤さんではないかもしれないという宇多丸さん。
最近摂取しているカルチャーについて聞くことで加藤さんの今を知ろう、ということで質問タイム。
宇多丸さん:加藤さん的に「この話をしないと先に進めない」という話題がるとか?
加藤さん:この番組でも散々話題になった『花束みたいな恋をした』。
まだ住んでます?
宇多丸さん:住んでる……登場人物が?
加藤さん:そう。登場人物がなかなか引っ越してくれない……多摩川沿いに……
いやぁ、しんどくないすか?
苦しい……見てる時から苦行というか……
こんなに見ていて「俺じゃん」と思うことはあまりない。
宇多丸さん:自分史と重ね合わせて語りたいという作品。加藤さんもやられているということで
加藤さん:麦と絹を心から抜いていかないと。
絹ちゃんを「可愛い」と思ってしまう時点で自分の中に麦くんが。
宇多丸さん:小説を読んだりカルチャー感度の高い二人。
加藤さん:ボンクラ度が似ている。麦くんの家に行って本棚を見た絹ちゃんが「ほぼうちの本棚じゃん」というくだり。
その5秒くらい前に「ほぼうちの本棚じゃん」と思った
宇多丸さん:あぁぁぁぁぁ!
日比さん:あぁぁぁぁぁぁ!3人目!
宇多丸さん:それは麦くんの菅田将暉の演じる麦くんの本棚を見て思ったんだ
加藤さん:はい。しかも『AKIRA』が(自分の本棚でも)同じところにあって、おんなじところにほしよりこがあって……小説はちょっと見えなかったんですけど。でも出てくる小説家の名前も知ってる。
その出てくる小説家の名前もある意味節操がないんですよね。その節操のなさが自分のようで……
宇多丸さん:本棚って自分の無意識領域含めて出ちゃうから、本棚見せってなかなか危険。
だからこそ「そこが一致した私たち」って。
加藤さん:本はもらう機会も多いので「本棚を見られても別に」くらいの意識。
しかし劇中の本棚を見て「お前の本来の本だなこれだから!」と言われたようだった。
世代は違えど聞いてる音楽も悉く被る。「タマフル」も聞いていたんじゃないかみたいな。
似ているからこそのライバル意識があったり。
若い頃は自分と似ている好みの人を見るのは救いだと思っていた。
しかしこの歳になって自分のと似た好みの人を見るのはこんなに苦行なんだと気づいた。
宇多丸さん:加藤さんの「自分ごと」としての受取度が周囲で一番かも
日比さん:完全に「麦、絹、シゲ」になってますよ
加藤さん:むしろ『人生の勝算』を読み始めてくれてよかったみたいな。
絹ちゃんは好き。
居酒屋の押井守登場シーンの後の絹ちゃんの押井守評がまた良い。
「好きか嫌いかは置いておいて」と言えるところが
宇多丸さん:加藤さん、全く一緒。あの「好きか嫌いかはおいておいて」と言えるところに彼女の押井守人気の正しさがある
加藤さん:ただ気に食わなかった描写が。「天竺鼠のワンマンに一人で行く女の子は人に髪の毛乾かしてほしくないんじゃないかな」って
宇多丸さん・日比さん:あぁぁぁ〜
加藤さん:僕も天竺鼠さん好きですけど、空気階段じゃなくて天竺鼠に行く人はそんなにチョロいかなと
宇多丸さん:いきなり髪触らせるかなと。宇垣さんは「髪乾かす男は碌なもんじゃない」と言っていた。
あと公演のチケットを無駄にしたことを声高に語るんじゃねぇよとも言っていた。
『レザボア・ドッグス』を観に渋谷に行った時友人に遭遇し、「士郎、これから合コンだけど一緒に行くか?」と言われて断った自分としては「ここはこいつらに勝ってる」と思った。
加藤さん:麦にどうにかマウントを取りたくなるっていうね笑
大人になると自分と似ていない人と付き合う方が良いという結論にどこで話してもなるが、どこかで絹ちゃんに会いたいと思ってしまう。
(略)
すごく辛いのに最高というトラウマ映画になっている。
宇多丸さん:複数の人間ではなく特定の個人をリサーチしたという坂本監督。
AKIRAが置いてあるディテールとかこれ加藤くんかもよ?笑
加藤さん:(それはないと思うけど)でもAKIRAとほしよりこ並んでるんですよ。だから多分つげさんとかあるんですよあの辺に笑
その感じがなんか……キッツ……キッツ……無ければバカにできたのに!マウント取りづらい!
宇多丸さん:イキイキと描かれすぎてるからなかなか心から出ていってくれない
日比さん:もはや多摩川が彼ら!
宇多丸さん:最近映画見られてます?
加藤さん:自分おスケジュールと合わず見られなかった作品も多数。大作は結構チェック。
『TENET』は劇場で見られてよかった。
『ブルータルジャスティス』、『透明人間』。
あえて一位を挙げるなら『オルタネイト』が大きかった一年でそんな中こぞってぜひ見てくださいと言われてみたのが『ブックスマート』。
宇多丸さん:おお〜みんな大好きブックスマート!
加藤さん:高校生をイキイキ描いたということで。
アップデートをどう描くかでクリエイターの腕が問われる。
『オルタネイト』を書く際に目指した読後感に近い。
学生ものということで『ハーフ・オブ・イット』も最高だった。
宇多丸さん:これもある種アップデートものだもんね。かつては悪役であっただろうキャラも悪役に描かなかったり
加藤さん:中には押し付けがましい「多様性」の描き方の作品もあるが、このに作品はそう言ったきらいがなかった。
『オルタネイト』でやりたかったところにこの2作が近かった。
宇多丸さん:作家加藤さんと共鳴している点を聞くのは自分たちの『ブックスマート』評とは違って面白い。
#MeTooやBLMなど、今後表現者として一種意識のデフォルトとしてどう表現するか作家として意識されているんだと感じた
加藤さん:小説だから何書いても良い面もあるけど、作家として受け取らなければという気持ち。
映画はハイコンテクスト化してる。先ほど名前はあげなかった『マンク』 などもアップデートがなされていた作品。
意識のアップデートはやっている作家とそうでない作家が読み手にバレてしまう。
宇多丸さん:受け取り手も意識しないところで自分たちの意識がアップデートされているんだなということを少し前の作品を見て気付かされる。
加藤さん:MCUも『ワンダヴィジョン』でアップデートを感じるし、HBOの『ウォッチメン』もなかなか心から出ていかない作品。
宇多丸さん:小説や本などは?
加藤さん:探しに行くよりは進められる機会が増えた。
『推し燃ゆ』の宇佐美りんさんは過去作から気にしていたが、ミクスチャー感が斬新だった。
すぐに芥川賞を取ると思っていた。
『オルタネイト』刊行時だれか対談したい人いますかと聞かれて宇佐美さんを挙げた。若い人をターゲットにした作品だったので。
自分は推されもする立場でもある。推される人間は「神」的。
推しに振り回される物語なので「なんかごめん」と思った。そういう意味では辛い小説。
高野 和明『ジェノサイド』を読み直している。
「映画化できない本を書く」という気概で作った作品(映画化できないくらいバジェットがかかるという意味合い)。
宇多丸さん:『推し燃ゆ』評は加藤さんならではの視点で面白い。音楽は?
加藤さん:音楽を作ったりするので色々聞いたりする。デュア・リパとか超メジャーどころとか。
発表されたばかりの星野源さん『想像』もすごかった。
10代アーティストも活躍しているが、若い人が新しいものを作ると考えている。
HIMIさんという方は浅野忠信さんのお子さん。モデルも音楽活動もやる方で追いかけている。
最新曲Sun is going downが流れる。
加藤さん:オバマさんのランキングがすごく良いので、そこからディグったりしている。
小説が若い人に届かないということでプロモーションビデオを作った。
小説界隈からはチャラいんじゃないかという意見もあったが……
また、小説も連載していると挿絵などを書いていただく機会もあるためそう言ったところにもアンテナを貼っている。
そんなかから友沢こたおさん。個展も始まっている。
お母様は友沢ミミヨさん。
若い世代が何を作るのかを注目している。
宇多丸さん:世代間継承、先輩と後輩という話、親代わりの存在からの継承というのが最近テーマになってません?
加藤さん:意識はしてないけどあるかも。
ジャニーズは後輩がすごく多い。デビュー順で並ぶと自分が一番先輩ということも多々ある。
後輩に勇気を与えたいと思うことは増えたかも。
それぞれのスタイルを確立できるよ、という指標となれれば
宇多丸さん:アイドルもやる、作家もやる、舞台もやる。大変じゃね?
加藤さん:大変だし、シンプルに友達が減る笑 全部一人でやるから。
惰眠はやるけど駄話は減る笑 孤独は孤独。
宇多丸さん:『オルタネイト』はギットリ感が減って軽やかに書いてる感じがある
加藤さん:読者を信頼できるようになった。「ここまで書かなくても伝わるだろう」と。
また、行間の作り方もわかってきた。何を書かないか、書かないことの方が大事
宇多丸さん:まじ腕上げてんなぁ。立派になって……
宇多丸さん:今後どう言ったものを書いていきたいとかある?
加藤さん:直木賞の選評で「何クソ」と思ったものはある。「この人たちが言うのはこれか?」と言うものを出したい。
宇多丸さん:ガソリンという意味も選評にはあるのでは?
加藤さん:今まで(ジャニーズ所属タレントの格小説だからと)甘やかされてきたという意識があったので、芯を食った選評を読めて参考になった。
本作がスタートという意識。