■18:00~18:30頃
「オープニング」→ 最新カルチャートピックス/フリートーク
宇多丸さん、本日はリモート出演。
宇多丸さん:今日は先週もオープニングで話したミャンマー情勢について話したいことがあります。
アフター!
日比さん:シックス!
宇多丸さん・日比さん:ジャンクション!
宇多丸さん、「あさチャン!」で日比さんの姿を確認。寝る前の時間(!)に観ている。
「今日も(国民の)孫は元気に働いているよ」と思っている。
宇多丸さん:気になるトピックスがあったらアジアンドキュメンタリーズを観るようにしている。
昨日話したLGBTQについてのNetflixの番組も「俺は全然分かってなかった」と言うことが分かったのでおすすめ。
ミャンマー情勢に関して、アジアンドキュメンタリーズでもミャンマー特集が組まれている。
「民主化が進んできたはずなんだけれども……」「占星術が非常に大きな影響を持っている」など先週話した。
金曜日の放送中にミャンマー在住者からメールが届いたが、水曜日に話した方が良いだろうと言うことで本日メール紹介。
宇多丸さんへの感謝のメール。
ミャンマーに関心を持ってくれてありがとう。
三本指をかざして抵抗の意思を示していきたい。
ミャンマーのワンスアゲインを現地で見たい。
もうこれ以上血が流れないことを望む。
日比さん:今ミャンマーではインターネットが通じなくなったりしている
宇多丸さん:ネット断ちは「知られる」ことを恐れている、何を一番恐れているかが分かる。
こんな状態で国際社会の中で生き抜くのは無理だとミャンマーの軍部も分かっている。
ちなみに三本指は『ハンガー・ゲーム』にちなんだジェスチャー。
他にも圧政に反対するハンドサイン(?)にハンガー・ゲーム由来のものがある。
この番組関連で言えば森崎ウィンさんがルーツを持つ国。当事者性ということでは我々以上。
しかしこのラジオが現地の力になっているというのは嬉しい。また、ネットの力でラジオが世界に届くというのも素晴らしい。
宇多丸さん:放送前の雑談の日比さんの話が面白かったからその話をしてよ
日比さん:東博に取材にいき、松嶋さんの話を聞いた。
VRで屏風をみるという試み。
その時担当女性に「お久し振りです。覚えていますか?」と言われた。
演劇部の一個下の後輩、日比さんが演出をやった演劇で主演を務めていた。
当時の闇がバ〜ッとフラッシュバック。
「当時はゴメン」という気持ちがあってどう接して良いか分からなくなってしまったが、「いつも見ています」と声をかけられ、自分の中で一気に雪が解けたような気持ち。
LINEを交換し、「今度落ち着いたらお茶行こうね」と約束して仕事に戻った。
宇多丸さん:日比さんかねてから「下にキツく当たってしまった」と言っていたので、それが解消できて良かったね
日比さん:私が仕事に来ることを知って上司の方などが「行って来な」と言ってくれたらしく、再開できた。
「久し振り」よりも先に「ゴメンね」が出てきてしまったけど、マスク越しとは言え笑顔が見られて良かった。
宇多丸さん:大昔に喧嘩別れした友人と和解をする夢とか未だに見る。羨ましい!
■18:30~18:50頃
「カルチャートーク」→ HAOHAOHAO(ブッダマシーンの魅力)
HAOHAOHAOさん、ついに日本初のオリジナルブッダマシーンが完成!
世界中で集めた光って音が出る物を発売するサイト「光と音のHAOHAOHAO」を運営中。
前回「ブッダマシーンとは?」「おすすめブッダマシーンは?」など紹介してもらった。
ブッダマシーンとは2005年に中国のユニットが発売したアンビエントミュージックのループ再生機。
その前身が、中国で売られていた自動で念仏が流れる「念仏機」。
宇多丸さん:ブッダマシーンに対して「何てアツいシーンなんだ!」と気付く話も面白かった。
前回オリジナルブッダマシーンを作りたいと言っていたが、今回完成したんですね!
HAOHAOHAOさん:そうなんです
宇多丸さん:売り切れも出ている中提供して頂きありがとうございます!
そもそも何故オリジナルを作りたくなったんですか?
HAOHAOHAOさん:ストリーミング全盛のこの時代、「このマシンでしか聴けない音源」というところに魅力を感じた。
皆どこか心の拠り所、救いを求めているところがある。
仏教徒でなくともブッダマシーンを再生するとお経が流れ、心が動くきっかけが作れたら良いなと思った。
宇多丸さん:音質も味があるし、お経そのものにヒーリング効果ありますよね。
貰ったブッダマシーン聴いてますよ。仕事の効率も上がりました!
HAOHAOHAOさん:中国の念仏機にリスペクトがある。中国のものには民謡が入っていたりする。日本版を作るのであれば、と日本における仏教ソングの第一人者などに声をかけた。
また、アトロクでライブ出演した方々も。
宇多丸さん:最先端東京音楽シーンのコンピがかの箱に入っている、ロマン!
日比さん:どうオファーしたんですか?
HAOHAOHAOさん:半分くらいはブッダマシーンを持っている人。
それ以外は一人一人地道に声かけ。
■19:00~19:25頃
「LIVE & DIRECT」→ DJ KOO
正式に月一レギュラーに?!
宇多丸さん:前回のディスコ文化とクラブ文化の移行機の話が面白かったので特集もぜひ!
KOOさん:良いですね!宇多丸さんとクロスストークでやりましょうよ!
■19:45-19:55頃
新概念提唱型投稿コーナー → シアター・一期一会
日比さんと後輩との再会に関して
世界百周さん
日比さんのエピソードとても良いですね。
自分は中学校の頃告白されたのに断った方と大学生の頃クリエイトで再開したことがある。
驚きと逡巡のあまり「久しぶり」としか声をかけられなかった。
宇多丸さん:元トモのスピンオフ企画としての可能性を秘めているかも知れない。
■20:00~20:45頃
「ビヨンド・ザ・カルチャー」→ 「能」は最高のヒーリングだ特集 by 九龍ジョー&『能楽タイムズ』編集長・山岸宏子
<執拗に繰り返されるDo you 能?に笑う>
ヒーリング効果、サウナのような整う効果も?!
九龍さん:前回登場時特に能についての反応が多かった。
九龍さん……神田松之丞TVなどの監修も務める
アトロクリスナーにこそ能の世界に触れてほしいと九龍さん。
本日は九龍さんに加え『能楽タイムズ』編集長・山岸宏子さんもご出演。
政府系広報室で働いたのちに出版社へ。
宇多丸さん:どう言った雑誌なんですか?
山岸さん:業界唯一の業界紙。能楽師の冠婚葬祭情報などが載っている。
九龍さん:専門的な技術論なども語っているんですよね
宇多丸さん:山岸さんはもともと能に興味はあったんですか?
山岸さん:実はそうではないんですが、もともと伝統芸能界隈にいた。出版社に入り、偶然担当に。
日比さん:能って一体なんなのさというところから聞いていきます
宇多丸さん:まずは基本のキから。
①能は演劇
九龍さん:まず能は「演劇」、それも古い形の演劇。
能が一般の演劇や歌舞伎と違うのは決まり事が多い。
「シテ方」=主人公と「ワキ方」=脇役。
「シテ連れ」という第二主人公がでることも。
後ろに「囃子方」という楽器隊。大鼓、小鼓、太鼓、笛の4つの楽器が基本。
「狂言方」というコメディリリーフのような役割がある。
宇多丸さん:狂言は別ジャンルで独立しているけど……
九龍さん:前半で何が起きたかの説明をしたりする役割。野村萬斎さんの言葉を借りれば「メインディッシュの間のワイン」。
宇多丸さん:なるほど。「狂言回し」なんて言い方もしますもんね。
九龍さん:能には「後見」という役割も。
能は「シテ方」が倒れたとしても演目をやり遂げなべならないという決まりがあり、シテ方に万が一の事態が生じた際に代打で演じることもある。
宇多丸さん:Show must go on的な感じなんですね
九龍さん:演劇は何度も同一演目を演じるが、能は演劇であるにもかかわらず一度公演というのが特徴。一期一会。
宇多丸さん:へぇ〜。すごい緊張感はありますね。Payの面を言えば連続したら良いのに……
山岸さん:乱世に生まれた演劇なので、「次」を考える余裕のない時代の演劇。
その頃の決まりを今にも守っている。
九龍さん:演者も一度演じた演目を「これが最後」という気持ちで臨む。実際に同じ役を演じるのが数十年後ということも……
宇多丸さん:アトロクリスナーこそ見るべきというその心は?
九龍さん:決まり事は多いがそれらを知っていなくても良い。見ているうちに身につく。
シンプルさが魅力。
メインストーリーはシンプルだが、台本の一行一行にものすごい量の引用がされている。
世阿弥が前の時代の様々な分野から引用している。万葉集などなど。
世阿弥が足利義満など当時の最高峰の文化的教育を受けた人物と接していたため、それらの文化のサンプリングが素晴らしいレベルで実現している。
ラップのライムのよう。
いとうせいこうさんが能の現代語訳に挑戦している。ハイコンテクストすぎる上に韻を踏んでいる構造など、ミュージシャンしか現代語訳を正確にできないのでは?
宇多丸さん:一度きりというのも知らなかったし、ぶっつけ本番なんですって?
九龍さん:衣装を着ない状態で直前に軽く合わせるくらい。
日比さん:一度だけ見たことがあったけど、爆睡してしまった
宇多丸さん:爆睡も可か?というところはこれから言及されますでしょうか
九龍さん:寝るのはしょうがないですね。演者の中にも怪しい人がいるくらい。
亡くなった能楽師がNHKで「いかに観客に気付かれずに寝られるか」に言及したこともある
②能で整うって、Do you know?
九龍さん:大きく三つの要素が。
(1)能は意外と音楽的
雑にいうとミュージカル的。展開が「序破急」。これは世阿弥の作った言葉ではなく元々は雅楽にあった言葉。
スローにスタートして最後に楽器隊が一気に盛り上がる構成になっており、この構成が瞑想装置として非常に優秀。EDM的。
盛り上がったと思ったら“急”で終わる。
能は削ぎ落とされた芸能=余白を想像する必要がある。
話はシンプル。何かしらの喪失感や悔しさを抱えた人の愚痴が展開されていくのが基本。
それをうつらうつら聞くうちに自分のことを考えるようになる。
山岸さんは「今日の夕飯どうしようかな」と考えたことがあると言っていましたもんね
山岸さん:笑
宇多丸さん:自分を投影できるスクリーンになっているのか。
(3)物語がシンプル、特殊
平家物語をやっている場合、平家物語の全編を演じるわけではない。
物語の展開ではなく一人の気持ちそのものを描写する演劇。
一連のシークエンスではなくたった一つのシーン、ある一つの感情にフォーカスし演じる。
日比さん:能は悲劇が多いんですか?
山岸さん:それは能の一つの特徴。戦に負けたり、鬼が出る話は異形=マイノリティの持つ悲壮を描いたり。
楽しいことだけの人生だったら成仏してこの世に化けて出てこないはず。
宇多丸さん:すごくミクロに焦点を当てた表現はマクロに通じると思っているのでそれに近いのかな。
このミニマルな能の作りは歴史の変遷の中で削ぎ落とされていったのか、もとからそうだったのか
九龍さん:世阿弥の特殊な出自が関係されている。貴族文化の中で純粋培養されたような形。
「無限能」という形式を最初に作ってしまった。
宇多丸さん:すごく洗練された形が最初に出てきたというのは面白い
ストレス社会を生きるあなたにお勧めする効能別・能
宇多丸さん:演目が皆目見当がつかない!お二人、よろしくお願いします。
(1)実はどろどろの恋愛から抜け出せません。そんな人に効く能
「定家」(ていか)=藤原忠家モチーフ。
勅使内親王と良い仲になるも身分おちがいから二人は結ばれず。
内親王はお墓の中にいるというシチュ。
そのお墓を訪ねてきた旅人。その旅人に話をする人が内親王その人。
墓には入ってしまっているが、墓に絡まるツタとして未練から成仏できずにいる。
そんな内親王に対してお坊さんが成仏させてあげる、という話が能には多い。この話も同じかと思いきや、内親王の霊は成仏せず再び墓の中に戻っていった……
かなり刺さる方多いと思うんですよね。こういう仕立ての瞑想装置が一時間声の演目として用意されている。
(2)頭使うの疲れた〜何にも考えたくない!そんな人に効く能
石橋(しゃっきょう)
仏教の名所を歩いていたお坊さんが橋に差し掛かる。
幅30cmの橋の下には90m近くの崖。少年がお坊さんに「危ないから橋を渡るな、そこで待っていれば良いことが起こる」と言い、その少年は消える。
少年の言葉を信じその場で待っていたお坊さんの前に、果たして仏の遣いたる獅子が現れ、舞を踊る。
おすすめはなんと言っても獅子の舞のダイナミズム。
演者の足拍子を含め、「能」の音という要素が全て詰まっているおすすめの演目。
九龍さん:「効能」という言葉自体能由来の言葉。
これから脳を楽しむ人におすすめなのは、能の演目について解説が書かれた「謡曲集」があるのでそれを図書館で借りてコピーして現場に臨んでみて。
懐に余裕があれば購入してみて!あらすじ1行進むのに2〜3分かかるので楽に読める。
大量の引用元についての言及も。
山岸さん:会場では「謡本」(うたいぼん)というものが売っている。
今では珍しい和綴の装丁で格好いい。
宇多丸さん:要素を少なくして引用元が多い、すごく現代的な芸能なんですね。
お知らせ
九龍さん:『伝統芸能の革命児』読んでね
山岸さん:『月刊能楽タイムズ』読んでね