映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

11/24(水) アトロク秋の推薦図書月間2021

宇多丸さん:日頃からカルチャーを発信しまくってる番組なのに「推薦図書」となると空気が変わる感じ何なんでしょうね

 

日比さん:宇多丸さんが(誕生日の)ギフトを選ぶときの気持ちに似ているかも

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18:00〜 日比さんの推薦図書

いとうひでみ著『class X』

 
 
 
 
 
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少女しかいない学校でスプーン曲げ、空中浮遊、念力でのスカートめくりなど、女性としかいない環境で超能力を伸ばす学習をする少女たち。

そこに黒髪の転校生が現れて……

 

超能力やSFなどを題材に少女のイラストを描いてきたイラストレーター。

セリフの少ない作品だが、ポツリポツリと紡がれるセリフや設定がじんわりと沁みる作品。

渋谷コテージで開かれていた「シスターフッド特集」で発見。下の方の棚に飾られていたが会場で目を引かれて購入。

 

小学校〜高校まで女子校だった日比さん。

中学生の頃は日比さんもめちゃくちゃスカートめくりをしていたとのこと。

読んでいて女子校時代の楽しい時間を思い出した。同時に、女子同士の自然な繋がりが大人になるにつれて変わっていく寂しさも蘇った。

乃木坂の「ガールズルール」という曲に「男の子達がやって来るそれまで私達の夏」という歌詞があるが、それを思い出した。

性別、恋愛関係なしに女子同士で手を繋いだりハグをしたりしていた。ただただ人と触れ合いたいために。そんな自然でやんわりとしたシスターフッド的つながりが大人になるにつれて知っていった役割や意味で自然とできなくなっていく感覚。

穏やかで守られていた「あの」時間が変容していくことの寂しさ。

class Xで転校生の登場によって変容してく少女たちの関係性にかつての自分を重ねた。

 

 

18:30〜 アトロク秋の推薦図書月間スピンオフ企画:岸政彦(社会学者/「東京の生活史」編者)さんによる書籍紹介

 

イガ兄による推薦図書『東京の生活史』の筆者を招待してのスピンオフ企画。

当企画最大のページ数、文字数、重量の一冊。

 

感想を書いて送ってくれるくれる読者が多く、余すことなく読んでいるとのこと。

聴き手の募集から始めたという本書の企画。

「語り手を募集しちゃうと僕のコネとかになってしまうから」と岸さん。

その手法が奏功し、思いもよらないインタビューが集まった。「面白い話」でなくてもよい。

 

宇多丸さん:この本を読んで「僕も母親の話を聞いておこう」と思った。

 

岸先生:それで良いんです。格好良い言い方をすると「151人目はあなたです」。

 

この本を読んで人生の深い知識が得られるとか、東京に詳しくなれると言うことは無い。

読んで「お〜!」となれる一冊ではある。読んでもらうことでしか魅力は伝わらない。

「酒が飲める本」。“パタン”と閉じると寂しくなる本。「読むラジオ」と評したこともある。

 

ラジオの後にテレビというメディアが生まれたが、ラジオは残った。

自分は生活史を文字に興すのが好きだが、「文字にしないでビデオに残せば良いじゃん」と言われることもある。しかし、文字に起こすことの方が情報量が上がるとも思っている。

 

「1人1万字」という制限は「1万字であれば何とか150名分を収めることが出来る」という偶然の産物つったが、この文字量は絶妙だったなと思う。

 

宇多丸さん:「1万字」というのは同じフォーマット、同じ窓から覗いているようで、とても良いと感じた。

 

岸さん:1.5kgという重量がフォーカスされることが多いが、僕はこの本の欠点は薄すぎること(対象者が少なすぎること)だと思う。

東京には1,500万名がくらしているため、150人の人生を載せていても僅か1万分の1。

 

151人目になろうとしている方、是非インタビューを実施したら立命館大学まで送って下さい。

 

今回の推薦図書月間でその存在を知り、一番興味を持った一冊が『東京の生活史』だった。

その編者が出演するとあって非常に楽しみにしていた回。期待以上の面白さだった。

過去に岸先生がTBSラジオSessionに出演していたよと学生時代の友人が教えてくれ、Spotifyで聴いてみたけれど、今回のアトロクとセットで聴くとより一層この書籍の本質に迫ることが出来ると思う。

日比さんの書籍紹介も非常に良かった。自分の体験にグッと引き寄せて書評を展開されるとめちゃくちゃ魅力的に聞こえてくるなぁ。