映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

マーヴェリックの腕時計〜ノスタルジーを身に着けるということ〜

腕時計が好きになってから、いろいろなメーカー名やブランド名を覚えた。

 

SEIKO、CITIZEN、ORIENT、CASIO、ROLEX、OMEGA、PATEK PHILIPPE、AUDEMARS PIGUET、VACHERON CONSTANTIN、JAEGER-LECOULTRE、BREGET、A. Lange & Söhne、ORIS、HUBLOT、IWC、ZENITH、CARTIER、FREDERIQUE CONSTANT、LONGINES、TAG HeuerBreitling、TUDOR、BLANCPAIN、HAMILTON、JUNGHANS、NOMOS、Sinn、MONDAINE、BULOVA、Bell & Ross、BERING、SKAGEN、DW、VICTORINOX、ZEPPELIN、RADO……などなど。

 

それは図鑑を買い与えられた子供が恐竜や昆虫や電車やはたらく車の名前を際限なく覚えていくことにも似た、「この領域のあらゆる情報を脳にインプットしたい」という人間の根源的な知識欲だったのだと思う。

大学卒業から社会人になりたての頃、実家から職場までの2時間近い通勤時間で個人の運営する時計ブログを覗いては「こんなメーカーがあるのか!」、「こんな格好良いモデルがあるのか!」と情報の草原(くさはら)を掻き分けながら進んでいったことを思い出す。

 

しかし、恐ろしいほどに時計という世界は広大だ。

いまだに「そんな名前初めて聞いたんだけど!」というブランドに出会う。

そんなブランドの一つが、つい先日知ったPORCHE DESIGN(ポルシェデザイン)だ。

 

知らなかったのも無理はない(と自己弁護を図っておく)。

時計以外にも男性用アクセサリーを展開するブランドのようで、時計のみを販売する所謂「時計ブランド」以外に興味が薄い僕にとって同社は守備範囲外だったのだ。

(「G-SHOCKを作っているCASIOって計算機メーカーだったのか!」、「CARTIERはアクセサリーブランドだけど、ここの時計は時計オタクからも一目置かれているのか!」みたいなことがあるので、必ずしも時計ブランドの時計にしか興味がないというわけではないことは敢えて記しておきたい)

 

PORCHE DESIGNを何で知ったかというと、この記事を読んだから。

www.hodinkee.jp

 

今年のベストムービー、“TOPGUN: MAVERICK”でトムが着用していた時計を調べていてこの記事を見つけた。

 

この記事を掲載しているHODINKEE JAPANはアメリカに本拠地がある腕時計専門メディア。以前から広告が流れてくるのは見たことがあったが、じっくり記事を読んだのははじめて。

 

この記事では、1986年“TOPGUN”公開当時にトム・クルーズが演じたマーヴェリックはフルブラックのクロノグラフ(モデル名「クロノグラフ1」)を着用していたが、それがポルシェ・デザインの品であること、そして本年公開された“TPOGUN:MAVERICK”においても彼が同じモデルを着用していることが明かされている。

 

 

そしてこの記事を読んで僕は思わず仰け反った。

www.gqjapan.jp

何と、今作“TOPGUN:MAVERICK”でトムの演じるマーヴェリックが着用している「クロノグラフ1」は、前作でトムが着用していたものと同一の個体であるというのだ。

 

画像:https://www.gqjapan.jp/watches/article/20220705-top-gun-tom-cruise-watch-porsch-design/amp

画像:https://www.hodinkee.jp/articles/tom-cruise-pilots-fighter-jets-while-wearing-a-familiar-porsche-design-chronograph-in-top-gun-maveri

 

これはプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが前作の撮影終了後に私物として所有していたものを、トムが借用して撮影に臨んだということらしい。

これは、スタッフが小道具としてeBayから調達した「クロノグラフ1」ではない。トムによると、前作で実際に彼が着用したのと同じものだというのだ。『トップガン』シリーズのプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーが続編製作までの36年間、プライベートで所有していたものを、トムが撮影中だけ借りたのだそうだ。

「私が身につけたのはオリジナルの時計です」と、トムは5月末に放送されたBBCの『Radio 1』で語っている。「ジェリーに『続編にはその時計が必要なんだ』とお願いしたのです。私の撮影が終わったその瞬間、その日のうちに、彼は時計を奪い取って帰りましたけどね」と、トムはつづけた。



画像:https://www.gqjapan.jp/watches/article/20220705-top-gun-tom-cruise-watch-porsch-design/amp

 

前作と同じバイクに乗り、前作と同じ革ジャンを着て、前作で乗っていたかつての愛機「F-14」のキーホルダーを携帯する。そんなノスタルジーに生きる伝説のパイロット、マーヴェリック。

 

マーヴェリックがフィクションの中の登場人物であることは理解している。

また、庵野秀明監督のファンである僕は、架空の物語の登場人物と実在の人物を過度に結びつけて考えることが好ましいことではないと十分に理解しているつもりだ。

www.j-cast.com


しかし、36年ぶりにスクリーンを彩った作品でマーヴェリックを演じたトム・クルーズが、前作と全く同じ時計(それも同一個体)を着けて撮影に臨んだのだという事実が、そのエピソードが、架空の人物であるマーヴェリックに血と肉を与えてくれているように思えてならないのだ。


『ミッションインポッシブル』シリーズを視聴するとき、僕らはイーサン・ハントとトム・クルーズを半ば同一視しているきらいがある。


演じるキャラクターとの強い同質性を視聴者に抱かせるトム・クルーズ

この点で、トム・クルーズを超えるハリウッドスターを僕は思い浮かべることが出来ない。

トム・クルーズ。やはり彼は稀有なハリウッドスターだと思う。

 

彼が演じたマーヴェリックの愛用時計の後継機が欲しい方はこちらから。

 

勿論、アイコニックなRay-Banのサングラス「アビエーター」も忘れずに。

 

 

【関連】

ポルシェデザインが1972年の「クロノグラフ1」のオリジナルモデルを蘇らせるらしい。

日本語対応ページがないのが残念。

www.porsche-design.com