映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

11/1(火)アトロク秋の推薦図書月間2022① 矢部 太郎さん/『ROCA 吉川ロカ ストーリーライフ』(いしいひさいち著)

2022年11月1日。一人目。

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「またこの季節が来た」と矢部さんが言うほど、このコーナーが定着してきたことに喜びを禁じ得ない宇多丸さん。

 

昨年は『長距離漫画家の孤独』を紹介してくれた矢部さん。

 

 

現在「楽屋のトナ君」を連載中で、1巻が発売。

 

 

宇多丸さん:矢部さんの「文系」なノリで芸人の世界のノリを生きているんだろう、楽屋などではどうしているのだろう、と思っていたところに出た一作。

 

対局な所にあるとすら思えるが、そこにある人間模様、哀愁を上手く「文学的」に掬い取って描かれている。

 

矢部さん:そう言う世界の中で、その人にとってのサクセスがある、という想いを自分自身の拠り所にしている。

こんな「小さな」ことを描く「ヘン」な漫画を連載させて貰って、単行本化して貰って嬉しい。

 

宇多丸さん:音楽業界にも言えることかもしれない。

矢部さんの目を通すと、色々な人に色々なかがやき方がある、色々な人がいて良い世界としての「芸能界」が描かれている。

オビには何とビートたけしさん!

同じ芸人としてのビートたけしさんのコメントが寄せられているのが良い。

 

矢部さん:まるで楽屋で声をかけてくれたかのような内容で嬉しい。

 

今回の紹介作品

新聞連載の四コマ漫画から生まれた、超傑作単行本(自費出版)。

いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライフ』

 
 
 
 
 
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宇多丸さん:番組スタッフ間でも話題になっていた。驚きの一冊。

 

矢部さん:話題の作品。今年読んで衝撃を受けた、読んで良かった作品。

 

(宇垣さんによる作者紹介。ジブリ映画『ホーホケキョ となりの山田くん』の原作となった『となりの山田くん』の原作者)

 

矢部さん:書店でも展開されるこのコーナーで自費出版の手に入りづらい作品を紹介してしまった……

 

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四コマ的な低めの頭身、平面的な絵で描かれる作品だが、歌うシーンでは等身が伸び、絵のタッチも劇画調に。

 

矢部さん:「いしいひさいちさんがこう言ったマンガを描くんだ」というのが一つ衝撃。

新しい「いしいひさいち作品を見せたい」という意思で作られた作品。

本作は朝日新聞で連載していたが、コアな読者から評判が悪く連載終了に。

新聞紙上で連載されていたのは本書の半ばまで、中盤以降はHPや自費出版にて。

 

宇多丸さん:『騙し絵の牙』のラストにおける、とある作家の変わった出版形式を思わせますね

 

矢部さん:ラストは感動などでもない複雑な感情を抱いた。

 

宇多丸さん:本作はシスターフッド的な側面もある

 

矢部さん:「柴島(くにじま)」さんという同級生の女の子がROCAを応援する。

柴島さんは実家が反社会勢力らしいことが描かれる。

二人は両親を船の沈没事故で喪っているが、そこに関する詳細な言及はない。

 

ファドという民族歌謡で歌われる複雑な心情を「サウダージ」と表現するが、本作は全編を通してこのそんな感情を表現したかったのではないか。

読む「ファド」なのではないか。

 

宇多丸さん:故に「ストーリーライブ」というタイトルなのかも知れない

 

宇多丸さん:漫画で「音楽」を表現する試みは以前からあったが、画風の変化で表現するのは面白い。歴史的一冊、2022年の推薦図書月間一発目として相応しいと思う。

 

www.ishii-shoten.com

 

【去年】

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