映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

11/3(木)アトロク秋の推薦図書月間2022③ Jiniさん/『リセットを押せ ゲーム業界における破滅と再生の物語』(ジェイソン・シュライヤー著)

木曜日では最早お馴染み。

ゲームジャーナリストのJini(ジニ)さんによる書籍紹介。

 

21兆円市場の裏側を暴く。ゲームジャーナリストによる待望の新刊

ジェイソン・シュライヤー著『リセットを押せ ゲーム業界における破滅と再生の物語』

open.spotify.com

 

宇内さんによる作品紹介:

アメリカのビデオゲーム業界の現実を描くノンフィクション。

21兆円の巨大市場という華々しさを感じさせるビデオゲーム業界だが、大規模な解雇などの辛い実情もある。

解雇や開発スタジオの閉鎖に見舞われたクリエイターがどうやってそれを乗り越え、一歩を踏み出すのか。

 

ゲーム史上最高のタイトルの一つ、『BioShock』のイラショナル社(Irrational Games(イラショナル・ゲームズ))をはじめとした各社を扱う。

 

宇多丸さん:ジェイソンシュマイヤーさんって前回紹介してくれた『血と汗とピクセル』と同じ作者?

(2020年の同コーナーで紹介された作品)

 

ジニさん:そうです。本作は本国では2021年の発刊で、前作が出たのが2017年。

前作から4年の歳月が経た著者の新作。

たった4年、と思われるかもしれないが、15兆円程度だった市場が21兆円市場に成長するなど変化が著しい。

著者も前作を書いた時は年齢が若く、事実の列挙といった側面が強かったが、今作はそこから一歩踏み込んだ内容になっており、著者の4年間の成長を感じられる一作。

テーマこそ似ているが、前作とは深掘りの角度が違うので今回紹介。

 

全9章で、華々しいゲーム業界の裏側、うまくいかなかったゲームスタジオのストーリーを描く。

ワールドシリーズを制した伝説のメジャーリーガー、カート・シリングが興こしたゲーム会社など扱う。

 

所謂「クソゲー」は開発者の無能さや怠惰さに起因するのだと断じる消費者は多いが、そんな訳は無い。

彼らは一流で、能力のあるクリエイターだった。ではなぜクソゲーが作られるのか……

 

推せる一文

「その日の朝、社員は二つの部屋に分けて集められた。
妖しげなクイズ番組に出てくる勝者と敗者のようだった。
第一の部屋に入った人たちは、仕事が続けられると告げられた。(略)第二の部屋では人事担当者が前方に立ち、不運なクイズ参加者たちにレイオフを伝えていた」

 

第4章の「消えたスタジオ事件」の冒頭。

上の部屋・下の部屋に分けて集められた時点で社員はことの次第を察していたが……

 

これらはあくまで事実。

「なぜこんな事態になってしまったのか」を描く部分が本作の肝。

 

 

 
 
 
 
 
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