映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

「余波」と書いて"なごり"と読む

 

インターネットの海をさまよっていて、「余波」という漢字に"なごり"というルビが振られているのを見つけた。

 

「何故?」と思い調べてみたところ、「なごり」という言葉が「波残り」の変化したものであると考えられていること、「波が打ち寄せた後、渚に残っている海水や海藻」を指す言葉であるらしいことを知った。

dictionary.goo.ne.jp

 

今日においては「当地で〇〇文化が盛んなのは、江戸時代はこの辺りに武家屋敷が立ち並んでいたころの名残り」であるとか、「彼との別れは名残惜しい」といった使い方をするが、なるほどどちらも「波が打ち寄せた後、渚に残っている海水や海藻」というイメージが非常に合うなと感じる。

 

「余波」と書いて"なごり"と読ませるのは現代において一般的ではないので、何かしらの意図がない限りは「名残り」を使うのが良いだろう。


「名残り」という漢字からして、僕は"なごり"という単語を「現代の地名などにかつての名前が残っていること」が原義であると考えていた。


例えば東京には「木場」、「新木場」という地名がある。
言うまでもなく「木場」とは木材の切り出し所や木材の保管場所につけられる名前であり、重機の無かった時代は水路で木材を運んだことから、川沿いに同様の地名を持った場所は全国にある。

 

全国区の知名度を誇る味噌カツチェーン「矢場とん」は、名古屋市の「矢場町」という場所発祥のチェーンである。
この「矢場」という地名は武士のための弓矢の修錬場があったことに由来する。

auth.chuplus.jp

 

このように、その場所がかつて果たした役割が名前として残っていることを指して「名残り」というものだとばかり考えていたので、「波残り」が語源であるというのには驚いた。