映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

・2/18(木)アトロク 754回 断捨離 単語王 タルコフ DJ KOOさん 秋山第一ビルヂング

■18:00~18:30頃
「オープニング」→最新カルチャートピックス

宇内さん:毎週宇多丸さんに「如何お過ごしですか?」と聴かれるけど、そんなに話すことありますか?

 

宇多丸さん:宇垣さんなら「観劇をしました」とか

 

宇内さん:手帳を持ち歩かずカレンダーでスケジュール管理。カレンダーを見返しても特に申し上げることはない

大地震を受けて物を減らそうと掃除をした。

 

宇多丸さん:月曜ゲストの都築さんは「断捨離など愚の骨頂」と仰っていたので正反対。

 

宇内さん:対軸にいるな私

 

宇多丸さん:「物を簡単に捨てられる奴は捨てられる程度の思い出しかない」と仰ってましたよ

 

宇内さん:私執着心もない。若干それ鋭いしてきだなぁ……

オープニング前に月曜の特集で「二度と行けないあの店で」の特集の話を振られた

 

宇多丸さん:この話が面白かったから「宇内さんも何か無い?」って言ったんですよね

 

宇内さん:これがね……特にないんですよ

 

宇多丸さん:違うよ!

「こんな話は話すに値しない」と勝手に思ってしまっているんですよ

 

宇内さん:そこもあたし執着心がない。

「そこも繋がる」と自分の中でリンクした。

 

宇多丸さん:しまおさんは凄く自分のこと覚えているじゃないですか。あの人は物もため込む人。

でも捨てられる人が悪いわけじゃない。(古い物に拘泥せず新しい物を取り入れたり)どんどん前に進んだり良い面も。

 

宇内さん:たとえば「あそこの御飯美味しかったな」と思っても「その味が世界に一つ」だとは思わない。

近しい味を提供する店はあるだろうと思ってしまう。

そこまで「ここでしか食べられないのか?」とは思わないんですよ笑

 

宇多丸さん:食べてみたらそこまで美味しくないかも知れない。

これは思い出と結びついた話なんだよ。

だから「思い出」そのものにそこまで拘泥していないと思いでタップリに語るみたいなのはあんまり無いかもね。

 

宇内さん:基本思い出が全部美化されているので、何処かが突出していると言うことが無いんですよ。

 

宇多丸さん:全部が美化された結果平べったくなってるんだ。

横須賀思いであるでしょ?あんなにワイデッキを熱く語ってたんだから

 

宇内さん:ワイデッキ……あ!マックとか!

 

宇多丸さん:いいじゃん!俺も受験の思い出飯としてケンタッキーのビスケット挙げてたくらいだしさ。

あと慶応通ってたときとかは?

 

宇内さん:それは……無いなぁ……

 

宇多丸さん:笑

サッパリしてて良いですね。部屋もサッパリ記憶もサッパリ。

思い出したら教えてね

 

宇内さん:何か特別なものがあれば

 

宇多丸さん:特別じゃなくていいんですけどね。思い出したらね、よろしくお願いします。

アフター!

宇内さん:シックス!

宇多丸さん・宇内さん:ジャンクション!

 

従前の宇内さんの話を聞いて羨ましいというライムスターマネージャーの小山内さん。

それは思い出が邪魔をして物を捨てられないから。

 

宇多丸さん:本が大変なことになってしまい、古本屋に処分する段ボールを作っているが溜まってしまってどうしようもない。

基準を一つ上げ「今後いつか役に立つかも」というのはやめよう、「今の時点で何か調べる用途のないものは捨てよう」と決めたが全然減っていかない。

本などよほど愛着があるもの以外は自分の中に知識が入っていれば不要なはず。

映画評に必要だからと歴史的な事件を調べるために入手した本は、映画評をした時点でだいぶ自分のものとして頭に入っている、受験は終わったのだからその教科書は捨てればいいのに「この件でここまで調べた俺」というトロフィーとして残してしまっている。

過去の自分に引っ張られ未練がましい。

 

宇内さん:それで自分が特殊だと思い出したのが教科書。

学年が上がった時、資料集など年を跨いで使うものは除き教科書は全捨てだった。

親が見たら止めただろうに。

唯一受験の時に使っていた『単語王』だけは取っておいたら良かったかなと思う。

<早慶上智を目指す浪人生にとって『単語王』はバイブル。僕も浪人経験者だが、周囲にもこの単語帳を使う人がごまんといた。>

 

宇多丸さん:それって思い入れじゃん。俺も受験の時にこれ超役にたったなみたいなやつは今読み返すわけじゃないけど取ってある。

 

宇内さん:(受験から)10年ほど経った今見返したいなと思う。

 

宇多丸さん:見返し沼もある。捨てる前に見返すと「やっぱおもしれーな」となって捨てられない。

 

宇内さん:見ちゃうとねぇ。読んじゃうと捨てられないかも

 

宇多丸さん:見ずにバサバサ行くくらいがいいのかも。それにしても宇内さんはやっぱり思い切りがいい

 

宇内さん:自分の中ではやっぱりみーみーの喪失がそれにかなり拍車をかけたなというのがある。

大学の卒業旅行にスペインに行った時に、生まれた時から母親のパジャマ、もともとパジャマだった安心毛布のミーミー

 

宇多丸さん:ぬいぐるみでもないんですよね。布ですよ布。

 

宇内さん:雑巾見たいなボロ切れだったんですけど

 

宇多丸さん:でもお母さんの匂いが

 

宇内さん:はい。お母さんの匂いがついていたから、それで赤ちゃんの時に安心した私がそれから肌身離さず持つようになって母親も私にくれたっていうパジャマ

 

宇多丸さん:たしかに、それこそまさに過去への拘泥そのものですよねミーミーちゃんはね

 

宇内さん:そう。で、そのミーミー……だって海外旅行とか、部活の合宿にも連れて行くような

 

宇多丸さん:ハハハハハ!(大笑)その、寂しくなった時に!

 

宇内さん:そう(笑)夜寝る時に鼻の下に置いておくと気持ちいいから

 

宇多丸さん:鼻の下に置くんだ!

 

宇内さん:はい(笑)

 

宇多丸さん:へぇ〜

 

宇内さん:(鼻の下に置くと)気持ちいからいつも一緒に寝てたミーミーちゃんを、スペインの多分、あの

 

宇多丸さん:スペイン!スペインに布を!?ハハハハ!

 

宇内さん:あの、クリーニングの、部屋掃除の方に多分捨てられちゃったっぽくって。なくなっちゃって、そこで突如ミーミーっていう生まれた時から、だから多分人生で最も時間を過ごしたとも言える相手を喪失するっている事件を、経験したことが、思い出とかモノへの執着心を卒業させてくれた体験かもしれない。

 

宇多丸さん:しまおさんと昔話してて「神セブンから捨てろ」と言ったことがある。

最も大事なものから捨てて仕舞えば他のものが残っていることが憎らしくすら思えてくる。

その究極だよね。だってミーミーチャンと比べれば他はもう劣るわけですからね。

  

 

宇多丸さん:自分の物置部屋にあるようなものは仮になかったとしても「どっかにあるんだろう」と思えば済むもの。

「俺は持っているんだ」とさえ思えばいいものもある。ある必要、本当はないのかも

 

宇内さん:それが卒業のタイミングなんですよきっと

 

宇多丸さん:だからミーミーちゃんもあるんですよ。どこかにね

 

宇内さん:だから、ミーミーちゃん側から「あなたはもう良い歳した成人した女性なんだから……」

 

宇多丸さん:すごい。『さよならドラえもん』ならぬ『さよならミーミーちゃん』。

 

宇内さん:そう(笑)「わたしはもう世界に旅立つね」って

 

宇多丸さん:布が?

 

宇内さん:布が(笑) 世界に旅立っていきました。

 

宇多丸さん:それはすごくわかるし、腑に落ちました。「なんで宇内さんはこんなに執着がないんだろう」という件。

 

宇内さんが捨てられないもの

宇多丸さんが捨てられないものの例として寄せ書きの類いを挙げる。

森田芳光全作品上映を以前やったが、その時作品に携わったスタッフの方々が多く足を運んでくれ、その際に寄せ書きを貰った。

これを易々と捨てるような奴はサイコパス、と宇多丸さん。

 

宇内さんもメッセージカードはどんな小さなメモ書き程度の物でも捨てられないらしく、ひとまとめにして取っているらしい。

宇内さんも人の気持が乗っている物はどうやら捨てられないらしい。

 

 

■18:30~18:50頃
「カルチャートーク」→ 話題ゲーム「エスケープ・フロム・タルコフ」とは?by JINI(ゲームジャーナリスト)

今まで何度も登場しているJINIさん。

今回初めて実はガンマニアであると明かされる。宇多丸さんとの銃談義。

JINIさんはサバゲーもするタイプで宇多丸さんはモデルガンを飾って眺めて楽しむタイプ。

宇内さんも「いつもクールな感じのJINIさんがこんなに楽しそうに話すの初めて見ましたよ」と驚く。

 

今回紹介された「エスケープ・フロム・タルコフ」はβ版が公開されている自主制作ゲーム。

実在する銃のカスタマイズの自由度が非常に高いのが特徴。

現行の銃は樹脂素材などが使われているが、「鉄と木の銃こそ至高」と断言するJINIさん。

ご自身のゲーム内での愛用銃もストック部分が木の銃。

 

「サバゲーは銃のカスタマイズを通じた自己表現だ」というJINIさん。

このゲームはカスタマイズした銃で他のプレイヤーと闘う。

戦いに負けたプレイヤーは銃を失い、勝ったプレイヤーはその銃を拾って奪える。

自分の愛用銃を奪われる緊張感たるや……

銃のカスタマイズは自己表現であり、他のプレイヤーがドロップした銃を見ればどんな思惑でカスタムされたものか容易に想像できる。

自己表現の手段であるからこそ、愛用の銃を奪われた際の悲しみが大きい。

 

コツコツお金を貯めて銃器を購入し、それをカスタマイズするゲーム内の営みは、労働をしてお金を貯めてエアガンを購入しサバゲーに挑む現実の自分の行動そのもの。

FPSゲームは数多くあるものの、現実のサバゲーの空気感を醸しているゲームは少ない。

しかしこの「エスケープ・フロム・タルコフ」は上記の理由からかなりの純度の高さでサバイバルゲームの空気感を再現している。

 

飲料水程度の価格で流通する銃器、ロシア内の架空の都市タルコフに駐留する国連軍が武器を横流ししているなど、嫌味なほどのリアリティのあるゲーム。

宇多丸さんも是非プレイしてみて下さい。

 

■19:00~19:25頃
「LIVE & DIRECT」→ DJ KOO(Livemine動画配信アリ)

来月も出演が決まっており、「僕月一準レギュラーですか?」とKOOさん。

 

DJオフィスラブさんのブッキングの賜物だけど、来てくれるのなら光栄だと宇多丸さん。

 

普通のゲストなら番組に送られてくる個人史量はコピー用紙数枚程度の物だが、本かと思うくらい分厚いものが送られてきて驚く宇多丸さん。

 

KOOさんのマジメな人柄が出ている。

最近興味あること、果ては「医師に相談したいこと」まで笑

 


ライブではディスコ文化とクラブ文化の移行期を生きたKOOさんかだらこそ話せるパラパラ誕生秘話など、解説込みで最高のパフォーマンス!

 

■19:45-19:55頃
「新概念提唱型投稿コーナー」枠 → Spotify presents ラジオ、できるかな?

橋P:clubhouseも引き続き流行。

このコーナーでリスナーの始めたPCをたくさん紹介してきたが、盲点だったのがプロのやるPCを今回は紹介。

お笑いトリオ・ロバートさんのSpotify限定コンテンツ。

 

 

宇多丸さん:はい、絶対面白いやつ〜

 

橋P:去年10月から毎週更新。

ロバートがコントをやり続けるというものではなく、変わった設定。

架空の雑居ビルである秋山第一ビルヂングのオーナーが秋山さん。隣のビルのオーナーが馬場さん、テナントで入っているカフェの経営者が山本さんという設定。

ビルのテナントのオーナー達が会話をしており、その各オーナーが芸人のゲストさんで、その会話を番組用語で「盗聴」するという二重構造。

オムニバス的にコントが流れるのではなく、世界観を共有しているのが面白い。

ロバート的世界観だし、ラジオのコントだとテレビのコント番組と違うのは何かとよく聞かれるが自分の考えでは芸人さんのビジュアルが見えないわけで、そうするとコントの設定に入りやすい。

テレビだと「この芸人がやっているこのコント」という見方になるが、声だけだと(ビジュアルに引っ張られない分)コントの設定にすっと入りやすい。

架空の設定が生きてくる。

ゲスト芸人も豪華。シソンヌ、チョコプラ、ジャルジャル、ニューヨークなど賞レース常連が。

大注目の蛙亭のほか、空気階段、かまいたちなどTBS関連の芸人さんも。

 

〜年末の放送回の実際の音声流れる〜

時節柄の導入があってからコントに入るという設定。

 

橋P:この番組がらみでいうと、2年前にサバゲー特集で出てくれたインパルス板倉さんがちょうど年末の回に出ている。

ゲストも多くかなり豪華な作り。

板倉さんは作家でもあるのでちゃんとオチがあり必聴。

チョコプラのカレー屋の辛さの基準で揉める回も面白い。

 

■20:00~20:45頃
「ビヨンド・ザ・カルチャー」→受験生応援!オモシロ入試問題の世界 by 松本亘正(「超難関中学のおもしろすぎる入試問題」著者)

宇内さんと宇多丸さんの受験トークから

 

RN:りえさん 謎々のような問題

Q:「おばあさんが孫をお風呂に入れて作る料理はなんでしょう?」

<ゆでたまご?>

A:ゆでたまご

<合ってた!>

 

Q:シャーペンとドアの共通点は?

A:ノックする

 

珍問コレクターの松本さんも見たことのない問題。

 

かんげさん:国士舘の地理Bの問題でジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズに関連する問題が話題に。

ジョースター一行の辿った旅のルートに関連した問題。

 

松本さん:映画作品などをテーマにした問題は結構多い。水爆実験をテーマにした『ゴジラ』は特に多い。

 

宇内さん:兄が早稲田の英語のテストでゴジラ松井さんが甲子園で5回連続敬遠されたという問題が出た。ほとんど英語の文を読まずとも問題が解けた。

甲子園や野球に触れたことのない人には不利。知っていたら有利に働いてしまうというのはどうなの?

 

松本さん:英語の文章は知っていれば解けちゃうというのはある。

 

宇内さん:立教の過去問で雨に向かってどの角度で当たれば一番濡れないかという英語の問題があった。

英文を読むのに長けた人ならわかるんだろうけど、物語の雰囲気込みで英文を読んでいる人は対応できない。

 

慶應中等部の入試問題(社会)

Q:フランス料理の出される順序で正しいものを選びなさい

 

宇内さん宇多丸さん正解。「大人ですから」

 

松本さん:小学生に解かせたらかなり正答率低かった。

そしてコラムを書いたら「高所得者層を優遇している!」とかなり物議を醸した。

 

国語:次の文章は有名な文学作品の冒頭です。その作品の登場人物を選びなさい。

 

宇多丸さん:宇内さん分かりますか?

 

宇内さん:知らぬ!

<知らぬ??!!笑>

 

松本さん:慶応は文学作品を問うてくる傾向にある。

「本、特に昔の名作を読んでね」というメッセージ。

 

宇多丸さん:類推できるところに面白さがある

 

松本さん:宇多丸さんの解説がそのまま授業で使えるくらい

 

アは坊ちゃんの入口

イは「銀河隊」から「銀河鉄道の夜」を導き出す

ウは文体から安寿と厨子王と導く。

 

ラジコヘッドさん

新幹線に関連した問題。

東日本の一部の地図が描かれており、そこに新幹線の路線図を分岐点も正確に書かされ、終点始点も問われる。

 

松本さん:男子校にはこういう問題も多い。

 

宇内さん:「どこの県が新幹線が止まらないのか」などならわかるけど、分岐点や始点終点を問うのはきつい……

 

宇多丸さん:これは類推可能?

 

松本さん:中学受験をする人は終点始点は知っている人がほとんど

 

麻布学園の問題

相撲の勝負の始まりを「立ち会い」と呼ぶ。

ラジオ放送開始の1928年に10分、1950年にはさらに短くなった。

この変更は何がきっかけ?

 

宇内さん:定時のニュースに間に合わせるため?

→正解!

 

松本さん:世の中の都合でルールが変わるという話題が問題になることが多いのがこの学校。

「困ったらお金から考えると良いよ」と教えている。

例)今年の問題「カット野菜が最近増えているが、これは消費者にも作り手にも嬉しいポイントが。それは何?」

 

A:形が悪くても出荷できる、、、など

 

宇内さん:業者はゴミを捨てるのにもお金がかかるから……などと考えられるが、中学受験をする小学生が恐ろしく思えてきた!

 

よねりんさん

高校の大学入試の模試問題。国語 井上陽水の「夢の中へ」の1番の歌詞が書かれ、この「夢の中へ」とは何か解答させる問題。

 

宇多丸さん:こんな問題があるんですね

 

松本さん:国語の問題なので、歌詞から類推。

「夢のなかへ行ってみたい」とあるから、そこから解いていくとか?

 

かぜくまさん

大学受験で出会した。アガサクリスティ『アクロイド殺し』を題材。

犯人やオチなど全て問題でバラされた。アガサクリスティの『そして誰もいなくなった』でアガサにハマって読み進めていた中で突如として出会したネタバレに為す術もなく……

 

宇内さん:出題者も自分の好みが問題に反映されて良いですね

 

宇多丸さん:やっぱりそういうことあるんですか?

 

松本さん:やっぱりありますね。ゴジラ全作品シリーズの年表やジブリから無理やり問題作ってるなと感じることもあるし。

 

宇多丸さん:出題のフェアネスについて。万人にとって同じスタートラインであるべきだと思うんだけど……

 

松本さん:私立は色が出やすい。国公立は色を消すような傾向が強いけど。

 

筒井康隆の名古屋での講演で「筒井さんの文章が出題されていましたよ」と言われた筒井さんが問題を取り寄せて解いてみたが、全然正答が出せず。

最後の問題「作者の意図を答えよ」という問題に対して「自分が作者だから自信がある」と思っていたが、まさかの間違いだったらしい。

 

最後に:宇多丸さん、スタッフにより「ネタバレになるから」と書籍を事前に読むことを禁じられていた模様。