映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

『ベイビーわるきゅーれ』、『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』&監督舞台挨拶(富山県富山市・ほとり座)

2023年4月2日。

富山県富山市の映画館「ほとり座」で開催された阪元裕吾監督による舞台挨拶に参加してきた。

 

パンフにサインをいただきました

1作目『ベイビーわるきゅーれ』の評判がすこぶる良く、気になっていたところに発表された2作目の公開。

そして、富山県富山市の素敵な映画館「ほとり座」で監督舞台挨拶があるというので行ってみようと思っていたら、何と2作目公開に合わせて1作目が同時にスクリーンにかかると言うじゃないの。

 

2023/04/02時点のほとり座のHPより。2作揃い踏み!素晴らしい! https://hotori.jp/

 

megalodon.jp

 

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鑑賞録はまた今度書くとして、とりあえず記憶がフレッシュなうちに舞台挨拶で語られた内容を出力しておこうと思う。

「メモでも持っていけばよかった」と気づいた時には後の祭り。

舞台挨拶→サイン会→撮影会 を経て記憶を頼りに携帯にメモした内容からこのエントリを書いているので、記憶が曖昧な部分があったり内容に誤りがあったりしたら申し訳ない。

舞台挨拶は劇場スタッフと監督の質疑応答という形式で進められ、参加者からの質問コーナーもあった。

 

 

Q.2作目の構想は以前からあった?

A.あった。

1作目冒頭、店内での戦闘シーンを取ってから新宿のゴミ箱での殺人シーンのロケーション移動の時間で既に2作目の構想が浮かんでいた。

当初の2作目の構想は以下のようなもの。

ちさとに殺し屋のボーイフレンドができる。最初は良い人そうに思えたその男性だが、実は最低(監督曰く「Googleレビューで評価“1”をつけるような」タイプとのこと)の男で、その男性とちさまひが戦う。

しかし、この二人の物語に(二人の恋人として)男性が介在することは「違う」と考えた。それよりも、二人の関係を一段と深く描写することこそが続編に求められていることだと判断し、今のような形に。

 

Q. 1作目と比べて、ちさまひの二人の部屋がかなりものが増えていたのが印象的。ゲーミングPCやアーケードコントローラーなど。あの辺は監督の趣味?

 

A. まひろのPC(〇〇)は監督の私物。

MacBookのちさとはお洒落なイメージ、ゲーミングPC?のまひろはオタクなイメージ。

 

Q. 作中、『花束みたいな恋をした』について登場人物が語るシーンがある。あの作品評は監督の代弁であると感じたが、監督は同作をどのように評したか。

A. 実際に井澤さんの家でちさまひの二人で『花束〜』を観てもらって、その感想がセリフになっている。「普通ってこういうことなのかな」というセリフは正しく二人から出た言葉。

 

僕(監督)自身としては非常に良いと感じたし、泣いた。

一部は脚本で自分の感想をキャラに言わせてしまっているかも。

「最後の喫茶店、ファミレスのシーンは良かったなぁ」というセリフは監督の感想を反映したもの。

 

Q. どこかで「○○じゃあない」というセリフがあった。これはジョジョオマージュ?

 

A. そうらしい。井澤さんと強盗役の役者さんが話していたから。結構アドリブの多い現場なので、その辺は任せている。

ちなみに、銀行強盗のシーンのセリフは『ダイ・ハード』のオマージュ。

 

Q. ガンアクション周りで参考にした作品はあるか。(BY僕)

(補足:ガンアクションは映画の歴史上『ジョン・ウィック』以前と以後に別れると思う。日本のアクション映画に関して包括的に知識があるわけではないが、本作は銃の構え方一つ取っても現代的なアップデートを感じられた。)

 

A. 「定食屋で銃を構えているだけで画になる」、というのは『ソナチネ』等がイメージソース。

ガンアクションは『コードネームミラージュ』の影響。アクションシーンは同作の監督に入ってもらい、「『コードネームミラージュ』みたいにお願いします」と依頼した。

 

兄弟の使う銃は少し古いトカレフと○○。

一方のちさまひの二人はカスタムガンで、対照的になるようにした。

 

Q. ガンアクションシーンは残弾をしっかり数えて編集している?(参加者)

A. その通り。撮影の際はもっとトリガーを引かせているけど、編集で装弾数と発射した弾の数は合わせている。

 

脚本案の段階では、二人が勝負には勝利するものの、残弾が足りない=殺す手段がないという事態に陥り、「戦いに勝って勝負に負ける」というような案もあった。

兄弟が自販機で飲み物を買おうとしたところを「粛正さん」が現れて二人を殺めるというシナリオ。

しかし、殺し屋の映画を撮るに当たってそれは不誠実だと思い、二人が兄弟にトドメを刺すという脚本にした。

 

二人は「銃に弾が残っていたから殺した」というスタンス。

 

ラスト、雑談をしていた相対する二組が入電によって処刑に移る、というシークエンスはジョニー・トーの『非情の掟』と同じだと指摘されたことがある。

同作は観ているはずなんだけど、そのシーンは記憶になかった。自分の無意識領域にあったそのような記憶の残滓が作品に影響を及ぼしたということはあると思う。

 

こぼれ話

 

ポスターに写っている銃はどちらもちさまひが使っていない。

(ただし、ちさとの構えている銃は田坂さんが劇中で使用)

これは監督のいないところでポスター撮影が行われ、スチールカメラマンが撮影にノって「これ持ってください!」と銃を渡したのがきっかけ。

いくつかの候補写真の中からこの写真が採用された。

 

こぼれ話②(過去のインタビューを読んで気づいた話)

1作目で髙石さんが演じるちさとが、ちくわを横に咥えているシーンがあった。

「禰󠄀豆子っぽいな」と思っていたが、このインタビューを読んで髙石さんが禰󠄀豆子役を演じていたことを知って「なるほど!」と思った

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