ラスコー壁画に描かれた動物の絵の存在を知る人は多いだろう。
洞窟内の岩肌の凹凸に動物の姿を見出した古代の人類は、口に含んだ鉱石を唾液と共に吹き出して岩に付着させ、絵を描いたと言われる。
指で直接塗りつけるようなこともあっただろう。
その後、毛細管現象を発見した人類は筆や羽ペンを開発し、持ち運びできる筆記用具として万年筆を開発、油性ボールペンやローラーボールなど様々な筆記用具が生み出されてきた。
そんな中、2000年代に入って一つ文房具の進化の歴史においてエポックメイキングな出来事が起こった。
それが三菱鉛筆=uniの開発したJETSTREAMの登場だ。
以後日本の筆記シーン、特に油性水性を問わずボールペンの開発においてJETSTREAMを意識してこなかった競合メーカーは皆無と言って良いだろう。
11月3日。本日は文化の日であると同時に文具の日でもあるらしい。
そんなわけで今回のエントリは文具に関連した話題。
本年で第9回を数える「OKB48選抜総選挙」なるものをご存知だろうか。
僕はこの取り組みを第二回から追いかけている。
この総選挙において、過去に開催された8回全てで連覇を成し遂げているのが前述のJETSTREAMだといえばその異常さがわかると言うものだろう。
先日、上司と同行セールスを行った。
僕と上司、先方は男性と女性が一人ずつ。
その4人全員のペンがJETSTREAMだったという一幕があり、話が盛り上がった。
それほどまでにJETSTREAMは支持を得ているペンだし、中には自分が使っている商品をJETSTREAMであると知らぬまま「書きやすいから」とリピート買いしている人もいることだろう。
「ボールペンの歴史はJETSTREAMの以前と以後に分かれる」というのが大方の文具マニアの共通認識だ。
そんなボールペンの世界で最強といっても良いJETSTREAMを擁するuniが、とあるジャンルで他社に惨敗を喫しているものがある。
それが所謂「消せるボールペン」のジャンルだ。
この領域はPILOTのFRIXION(フリクション)の独壇場と言っても良い。
※文具に詳しい人であれば「いやいや、数年前から無印良品でも消せるボールペンがあるじゃん」という人がいるかもしれない。
しかしあれも実はフリクションのOEM商品なのだ。
そんなFRIXIONの牙城を崩そうと2017年にuniが送り込んだ刺客が「uni ball R:E」。
今回僕が購入したのは二つともuni ball R:Eのバリエーション商品だ。
2017年に新発売された時点で僕はuni ball R:Eを購入しているが、その時点での評価は「フリクションから乗り換える積極的な理由がない」というものだった。
また、その際は黒インクの商品しか購入していなかったが、今回は黒以外の色も購入している。
自分が受けた当初の印象はどう変わったのか。
以下2つの商品を紹介していきたい。
【三菱鉛筆 uni-ball R:E 3】限定色 カーキグリーン
限定色のプレスリリースはこちら↓
3色の多色ペンながら軸が非常に細いのが特徴。
各色のリフィルが金属製なのでペン軸そのものが細く、リフィル内のインク量が多いことも特徴。これはプラよりも金属の方がリフィルの内壁を薄くすることができるからだ。
回転させてインクの色を選択するところは他のペンにも見ることのできる特徴だが、このペンは軸を回転して色を選択した上で上部のノック部分をノックすることでペン先を出現させる。
通常であれば
①ノック→②筆記
あるいは
①回転→②筆記
と、筆記までに必要なのは1アクションだが、uni ball R:Eに必要なのは
①回転→②ノック→③筆記
と2アクション。つまり通常の多色ペンよりも1つアクションが多いのだ。
面倒に感じることもあるが、常に黒を使いたい場合は色の選択アイコンを黒に常駐させておけば良いので、手元を見ずに筆記に移ることができるというメリットがある。
【三菱鉛筆 uni-ball R:E +】
二つ目はペンケースと一体化した商品「uni ball R:E +」。
黒と赤のuni ball R:E、そして黒のJETSTREAMの計3本がケースに入っており、この下部の黒い丸を押し込むことでワンタッチで3本のペンが飛び出すしくみ。
非常に薄いため、手帳の表紙をクリップで挟めばペンケースを持ち歩かずともこれだけで一通りの引きは事足りてしまうため、会議室への移動の際など荷物が嵩張らなくて良い。
非常にコンパクトで見た目も機能性も良く、お勧めしたい商品だが、気になる点がいくつか。
①クリップの取り付け方法が安っぽいこと
②ペンが書きづらいこと
(僕はペン軸が太い方が好みなので、細いペン軸が手に合わなかった。また、滑り止めの加工はしてあるがラバークリップなどはないので細いペン軸との合わせ技で筆記時にペンが滑りそうになることがしばしば……)
細いペン軸が好きという人やギミックが面白いのでガジェット好きの方やには良いペンなのではないだろうか。
また、両方に言えること、uni ball R:Eシリーズに共通して言えることとしては、インクがまだまだ発展途上にあるということだ。
黒、赤、青。
全ての色がFRIXIONと比べて一段から二段階薄い。
2017年段階で黒と黒を比べた感じでは、FRIXIONより若干薄いなと思う程度だった気がするが、赤・青は色が薄いと誰の目で見ても明らかなレベルだ。
FRIXIONも当初はインクの色が薄かったが、何年も商品をブラッシュアップしてきたことでインクの色も濃くなった気がする。
また同時にそのブラッシュアップが、「“消せる”という特徴のみならず書き味も好き」という評価を得ていることにも繋がっているのだと思う。
uni ball R:Eシリーズには、今後の伸びに期待したい。
以上、文具の日ということで文具紹介。
文具を二つ紹介と言いつつ、どちらもuni ball R:Eのバリエーション商品になってしまったのはご愛嬌ということで笑