映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

デパートの スーツ売り場の おじいちゃん

世の中には、買い物をしている際に店員から声をかけられる人とそうでない人がいる。

 

僕はどうか、というと、これが滅茶苦茶声をかけられるタイプの人間だ。

 

ちゃん嫁は付き合い始めの頃に僕と買い物をしていて、「あなたどれだけ買い物中に声をかけられるの?」と笑っていた。

彼女は全く声をかけられないタイプの人間だったので、ギャップの大きさに驚いたのだろう。

 

そんな僕だけど、実は買い物時に声をかけられるのは好きではない。

しかし、イヤフォンをしていようが帽子を目深に被っていようが兎にも角にも声をかけられるので、今では半ば諦めている。

 

ショップ店員は客に声をかけて一点でも多くアイテムを買わせるのが仕事だと言うのは分かっているんだけど、僕は買い物に行くときは「こう言うものが欲しい」とある程度決めてから行くので、助言も別に良いというか……

まぁ、最近はちゃん嫁に服選びの助言を請うようにしているし、ちゃん嫁のセンスを信頼しているので、店員から声をかけていただかなくても別に……と言う感じなのである。

(このエントリを店員さんが読んでいたらごめんなさいね)

 

社会人1年目は、夏のボーナスも冬のボーナスも気が付いたら消えていた。

社会人2年目のボーナスは何か形が残る物を、ということで夏のボーナスでセミオーダースーツを作った。

 

生地を選び、裏地を選び、ボタンを選び、シルエットを選ぶ。

オーダーから数か月後に自分の体型に合った冬用のスーツが出来上がったときの感動は格別で、職場の先輩からも「良いスーツじゃん」と褒められたりして、馬子にも衣装的なものを実感した。

 

以来、ボーナスが出たタイミングで定期的にパターンオーダーでスーツを誂えるようになった。

今年も、近くの百貨店でパターンオーダーのセールを行っていたので春先にスーツをオーダーした。

出来上がりの日を迎えたので、35度を超えるような酷暑の日にスーツを受け取ってきた。

 

9月も末になるというのに暑い日が続く今年。冬用スーツを着るのはまだまだ先の話になるけれど、着るのが楽しみだ。

 

このスーツをオーダーするときに対応してくれたおじいちゃん店員がまた良かった。

生地を選び、その生地に合った裏地やボタンを選んでいく段で、僕はちょっと奇を衒ったようなチョイスをしてみた。

今までの僕のオーダー履歴が所謂スタンダードを極めたようなチョイスだったので、ちょっとした変化が欲しかったのだ。

 

しかし、そのおじいちゃん店員が「こちらの方がお客様に似合うと思いますよ」と提案してくれる選択肢がどれも的確で、スタンダードな中にも遊び心を忘れない、何とも僕好みのチョイスなのだ。

 

配色や着こなしには「正解」とされる組合せがあるので、きっと店員のおじいちゃんは自分のその膨大な過去のアーカイブの中から僕好みの組み合わせを提示してくれたに過ぎないのだろう。

要は僕のような素人よりも「正解」のパターンを熟知しているということだ。

 

しかし、このおじいちゃんは引き出しの多さ云々よりも、顧客である僕が何を求めているかを的確に見抜く眼力こそ優れていたように思う。

 

この日も売り場に入るや否や声をかけられたので、正直「一人で回りたいから声掛けないでよ……」とか思っていたのだけど、あの店員さんがついてくれて良かったと今なら思える。

 

雪に縁のない地域で育った僕。富山の冬は嫌いだけど、涼しくなってくれないと冬用スーツが着られない。

少しは涼しくなってくれても良いんだよ、とお天道さんに向けて念を送るのだった。

 

お題:「あの店員さんがすごい

 

 

 

お題全文:

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