映文計

映画と文房具と時計、好きなものから1文字ずつもらって「映文計」。映画のことを中心に日々綴っていきます。

“The Shawshank Redemption”/『ショーシャンクの空に』【再掲】

※当エントリは旧ブログの記事の再掲です※

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金ローで『ショーシャンクの空に』がやっていて、何度観ても大好きで見るたびにラストシーンで泣いてしまう作品なので旧ブログのエントリを再掲しようと思った次第。

 

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“The Shawshank Redemption”/『ショーシャンクの空に』を、第三回 新午前十時の映画祭で鑑賞してきた。

 

 

特別映画好きな人間でなくても、「一番好きな映画は何か」というのは誰もが人生で少なくとも二度や三度は話した事のある話題ではないだろうか。

 

その中で『ショーシャンクの空に』を一番に挙げる人は少なくない。

 

僕が映画に本当の意味でハマったのは大学生の頃。
知人の中にもやはり「ショーシャンクが一番!」という人間がいた。

 

またちょうどその頃、各情報サイトが発表する「ユーザーの選ぶマイベストムービー10選」などで『ショーシャンクの空に』がトップ、或いは上位に選出されているのを多く目にするようになった。

 

これだけ高い評価を受けている作品。
絶対名作に違いない。
そう思っていた。

 

僕には「映画は映画館で観てこそ」という信念がある。
だから滅多に家では映画を観ない。

 

後世に語り継がれる名作ともなれば、待ってさえいればリバイバル上映も望めるはず。
だから最近BSの『プレミアムシネマ』で『ショーシャンクの空に』が放送されようとも、TSUTAYAのオススメ作品コーナーで推されていても、Amazonのオススメ商品としてサジェストが出てこようとも、それらの誘惑を跳ね除け続けてきた。

 

映画好きを名乗っておきながら、恥ずかしい事に僕はこの作品を観た事がなかった。


上にも書いたように「名作であるに違いない」という期待が、僕に本作を家の中で観ることを許さなかったのだ。

 

その期待と同時に、自らの中で上げ過ぎてしまったハードルを越えることができるのかという不安も覚えるようになった。

 

そうして、9/6にようやっと本作を観ることができた。

 

そんな僕が本作を観た感想はというと……

 

『最高』だ。その一言に尽きる。
まごうことなき珠玉の傑作だ。


自分で勝手に設けたハードルなぞ、いとも容易く越えてきた。
この名作の前では自分のちっぽけな心配など全くの杞憂に過ぎなかったということを思い知った。
それ程のパワーを秘めた作品だった。

 

散々魅力や考察が語られた本作に対して、今更僕があれやこれらを語るのは野暮だろう。
それを承知した上で、それでもこれだけは書いておきたいという数点を以下に記す。

 

【アンディの成功の皮肉】
有能な銀行員としての過去を持つアンディは、刑務所内でもその能力を存分に活かして所内の人間の事務処理のほとんどを請け負うまでになっていた。
所長をはじめとした多くの人間からその能力を買われ、重宝されるようになった。
しかし、重宝されているが故に舞い込んできた自らの無実を証明できるチャンスを所長に握りつぶされてしまった。

 

この皮肉が悔しくてもどかしくて仕方がない……

 

【「静」の作品】
アクションが目立つ作品を「動」の作品とすれば、今作は「静」の作品と言える。
そしてその静の作品において全体をまとめ上げていたのは紛れもなくモーガン・フリーマンその人だと言えるだろう。
モーガンはどの作品においても、彼がいるだけで画面と場面を締めることのできる俳優だ。
彼の発する静かなオーラ、語り口は作品全体に落ち着きと調和を与える。

 

そのモーガン演じる「調達屋」レッドの独白という形でストーリーが進んでいくわけだが、これが本作の持つ雰囲気と抜群にマッチしていた。
本作を縁の下から支え、屋台骨を支え、更には外装や看板の役割すら彼は果たしていたように思う。
モーガン・フリーマンという役者無くして、『ショーシャンクの空に』という名作は成り立たなかった。そうまでいっても良いと思う。

 

それ程までに彼がこの作品で担った役割は大きい。

 

もともと彼という役者も、またその演技も好きで、「優れた俳優の一人」と認識していたが……とんでもない。
「稀代の名優」といっても過言ではない。

 

【ショーシャンク刑務所の壁】
初めは恨み、次第に慣れ、最後には依存してしまうという刑務所の壁。

 

本作を観ていて僕が思ったのは、この壁は僕らの周りにも存在し得るものなのではないかということだ。
最初は事を成していつかは出てやろうと思っていた会社の中で次第にその気概を削がれて行ってしまうだとか、恋人からDVを受けている人がやがて暴力による痛みを愛と混合して依存してしまうだとか……
上手く例えることができないのがもどかしいけれど、あの「壁」は見えない形で僕らの身近に確かにある。
何かに苦しみ、その環境から逃れようと苦慮する時、誰もが塀の中の囚人たりえるのではないか。

 

そう思えてならなかった。

 

【Redemption】
本作の原題は“The Shawshank Redemption”。
Redemptionは「贖罪」、「贖い」、「救済」といった意味の単語だ。

 

これは誰に宛てられた言葉なのだろうか。
まずは「贖罪、贖い」について考えたい。
アンディは無実の罪で投獄された。彼には贖うべき罪など元々ない(所長の二重帳簿を手伝っていたことは罪と言えるが)。

 

次に「救済」についてはどうだろう。
苦痛に耐え、もがき苦しんだ末、最後に脱獄に成功したアンディには「救い」がもたらされたと見ることもできる。しかしこれは「救い」なのだろうか。
「救い」とは、神によってもたらされるものだ。
自らの努力と忍耐で成功たらしめた彼の脱出劇は、他者より「もたらされた」ものだと言えるだろうか。
僕にはそうは思えない。

 

彼は脱獄の成功という結果を自らの努力で「勝ち取った」に他ならないからだ。

 

では「贖罪」と「救済」は誰に宛てられた言葉か。
それはレッドに対してではないだろうか。

 

投獄されたばかりの頃、服役させられた理由を周囲から尋ねられたアンディは自分は無実の罪でここにいると答えている。
それを周囲は「ここでは誰もが無実だ」と笑っていた。

 

そんな中、レッドは作中で自分を咎人と認めるシーンがある。
彼は自身の罪を認め、向き合った上で勤労奉仕をしていた。
だから彼には救いがもたらされたのではないだろうか。

 

また、刑務所という閉ざされた環境にもたらされたアンディという光を放つ存在そのものが、レッドにとっての救済であったということもできるかもしれない。


【総括】
兎にも角にも良い作品だった。
最後に晴れ渡る空の下、砂浜で再会を果たす二人が映し出された時には、劇場のそこかしこで啜り泣きく声が聞こえた。

 

例に漏れず僕も泣いた。
号泣した。

 

映画館で潤んだり涙を流した経験はいくつもある。
けれど号泣と形容して良いほど泣いたのは今まで『素晴らしき哉、人生!』ただ一作だけだった。
後にも先にもこの作品ほど泣ける作品と出会うことはないだろうと思っていた。
しかしそれがあった。出会ってしまった。

 

本作がアンディ主観で進む構成であれば、彼が地道に抜け穴を掘り続ける様が描写されたことだろう。
しかし本作はレッドの一人語りで展開される作品だ。
観客もレッドたち登場人物達と同様、アンディの計画を知らぬまま「脱獄」という結果だけを知らされることとなる。
この展開が上手いと思った。

 

「雨垂れ石を穿つ」という諺があるが、アンディにはこの言葉がピッタリだと思う。

 

毎日ポケットから少しずつ掻き出した砂を捨てていく様はスティーブ・マックィーン主演の『大脱走』を彷彿とさせて、そこも良かった。
脱獄作品は当たりが多い。

 

それにしてもエンドロールで最後に「STEPHEN KING」の名前が流れてきた時には度肝を抜かれた。
“STAND BY ME”/『スタンドバイミー』、“CARRIE”/『キャリー』の原作者が彼であることは知っていたが、よもや『ショーシャンクの空に』まで彼の作品だったとは……

 

最強のハリウッド原作者といっても良いかもしれない。

 

この作品は殿堂入りだなー。

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以上、過去のエントリの再掲でした。

他に『ショーシャンクの空に』に言及した記事はこちら。

 

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

“DON'T LOOK UP”/『ドント・ルック・アップ』を観た

2022年1月9日。

『ドント・ルック・アップ』を鑑賞した。

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現在住んでいる富山県では公開館が無かったため、自宅での鑑賞となってしまったのが残念。


「コロナ下でこそ観るべき作品」 と評される映画は幾つかあるが、本作はその筆頭と言っても良いだろう。

 


専門家が科学的見地に基いて隕石の接近を叫んでもそれを信じない人々の姿は、これだけ世界中で感染者も死者も出ているのに「新型コロナウイルスは存在しない!」、「陰謀だ!」と、 その存在を否定する人々を暗示しているのだろう。

一方で新型コロナウイルスの存在を否定する「彼ら」は、 本作を鑑賞していてもそのことに気づきもしないのではないか、とも思ってしまった。


人間、自分が信じたいもの以外は知覚することができない。これは 2016年公開の『シン・ゴジラ』 の国会前の大群衆がシュプレヒコールを上げるシーンで、「 ゴジラを倒せ!」と叫ぶ人もいれば「ゴジラを守れ!」 と叫ぶ人もいたにもかかわらず、 観客の多くがその片方の声しか聴き取ることができていなかったと、いう現象からも明かだろう。


そして研究成果と切り離された形で「セクシーな研究者!」 としてマスコミに取り上げられるランドール(ディカプリオ)というのも妙なリアリティを感じた。

現実世界で私たちが今まさに直面している新型コロナウイルスも、紛れもなく人類史における脅威だが、「巨大隕石の接近」 という人類どころか地球上の大半の生命が死滅しかねないような一大事に於いても、人類は団結することが出来ず、 世紀の発見をした研究者のルックスを話題に盛り上がる程に愚かなのだ。

 

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映画の中だから笑って観ることが出来るが、コロナが日本で蔓延し始めた頃に「大阪府知事がイケメン!」 などと、コロナ対策とは関係のないところで盛り上がる日本人の姿を見てし まっただけに、 作中で起きていることは現実と地続きなのだと恐怖を覚えた。


本編だけでも一本の映画として十分に面白い作品だが、 本作の白眉は何と言っても本編終了後の数分間だろう。

 

地球を離れ隕石衝突を免れたごく一部の人間は長い旅路の果て、生存に適した環境を発見。人類は遂に未知の惑星に降り立つ。

コールドスリープから醒め、宇宙船から下りてくる人々。しかし列を成すのは老人、 老人、また老人。

「人類という種の保存」を目的としたテラフォーミングであれば、 若く健康な肉体を持つ若者を地球脱出のメンバーとして選出するのが最も適しているのは誰にとっても明かだ。しかし、 世界中の富と権力の中枢にいるのは悉く老人達。

「権力者が隕石衝突の厄災を逃れるため」という、 彼らにとって目の前の目的を果たすためには、人類という種の存亡すら切り捨てられるのだ、そしてこれはスクリーンの向こう側の「笑える話」 などでは決してないのだ、現実に隕石衝突の危機が訪れたとき、 人類は同じ道を辿る可能性があるのだ、と思うと寒気がする。


そして「人類の人口の1%の人々が世界中の富の約4割を独占している」 というニュースを思い出したとき、視聴者の殆ど全員が、 映画と同じ境遇に立てば、 地球と運命をともにすることになる側でしかないのだと気づかされる。 これは心中穏やかではない。

しかも隕石衝突を回避するチャンスがあったにもかかわらず、 ある企業のトップの一言で人類は千載一遇の機会を無駄にしてしまう。

ある特定の企業が、 時に国家すら動かすパワーを持つことを我々は知っている。 言うまでもなく、この一連のシークエンスはGAFAに代表される一部の企業に富や技術が集約されることへの警鐘だろう。

本作で示された警句を無視することなく、 僕ら一人一人が権力の暴走を監視するウォッチメンとしての役割を果たさねばなるまいと強く感じた一作だった。

 


最後に一言。

大傑作“GRAVITY”に対し『ゼロ・グラビティ』 という邦題をつけた配給会社を僕は未だに許すことが出来ないが 、本作に対してNetflixが『ルック・アップ』 という邦題をつけられなくて良かったな、とつくづく思いましたとさ。

 

あと、マーク・ライランスが本作で演じた役もその話し方も『レディ・プレイヤー・1』のジェームズ・ハリデーを彷彿させるもので、そこも個人的に面白かった。

 

2021年の映画を振り返る 自宅鑑賞編

先日、2021年に劇場で鑑賞した作品の振り返りを行ったが自宅で鑑賞した作品の振り返り。

 

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2021自宅鑑賞作品の内、同年公開作品はこちら

 

2021年に公開された作品の内自宅で鑑賞した作品はこちら。

 

○1本目 1/1 “The Boys in the Band”/『ボーイズ・イン・ザ・バンド』ー

 『ビッグバンセオリー』が好きで、シェルドン役のジム・パーソンズ主演作の本作を観てみたが……あんまりハマらなかったな。

 

○2本目 1/2 “The Lord of the Rings: The Two Towers”/『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』7

 2020年から実は触れてこなかった本シリーズを観てみようと鑑賞開始。作品時間の長さから敬遠していたけど、ちゃんと面白いぞ。

 

○3本目 1/6 “Miss Peregrine's Home for Peculiar Children”/『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』6

 普通って感じ。

 

○4本目 1/8 “기생충”/『パラサイト 半地下の家族』8

 劇場公開時以来の鑑賞。自宅鑑賞でも傑作だった。

 

○5本目 1/9 “The Lord of the Rings: The Return of the King”/『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』6

 一大 大河シリーズ最終作。鑑賞時間の長さに耐えたらちゃんと感動があって良かった。

 

○6本目 1/11 “The Burning Plain”/『あの日、欲望の大地で』6

 シャリーズ・セロン、死ぬほど好き。親子関係は時に呪いにすらなりうる。

 

○7本目 1/18 “Citizen Kane”/『市民ケーン』4

 名作の誉高い一作だけど、俺にはあんまり……新聞王ケーンが死の間際に残した“Rose bud”の意味が分かったときはグッと来た。

「若い頃ナースは美人と決まっていた。それが今は……」という台詞は現代には許されない台詞よね。

 

○8本目 1/22 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』8

 劇場初鑑賞時TV版との違いに戸惑いつつも大興奮だったのを思い出した。大好き。

 

○9本目 1/29 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』7

 劇場鑑賞時は全然好きじゃなくて生涯一度しか観ていなかったけど、シン・エヴァ公開前に見返してみたら大好きな一作になっていた。

 

○10本目 1/30 “The Prom”/『ザ・プロム』6

 約1年後の2022年1月9日現在、ほとんど忘れている笑 かつての名シンガーをプロムに呼ぶ、みたいな話だっけ?

 

○11本目 1/31 『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』3

 日本特撮界の大傑作と聞いていたが今ひとつハマれなかった。「特撮怪獣映画」というフォーマットで娯楽作だけではない、ドラマ性をメインにした作品を作ることが出来ると世間に示したのは大きいと思う。

 

○12本目 2/5 『名探偵コナン 時計仕掛けの摩天楼』7

 プロット段階から原作者の青山剛昌先生が絡んでいるだけあってメチャクチャ話がよくできている。ゲストキャラに頼らない作劇のうまさに痺れる。

 

○13本目 2/6 “The Internship ”/『インターンシップ』7

 オーウェン・ウィルソンのファンということを差し引いてもめちゃくちゃ面白い作品だと思う。ちょっとおバカなオジさんの活躍する作品が最近はツボにハマる。

 

○14本目 2/7 『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』5

 特撮は良かった。ストーリーラインはあんまり。

 

○15本目 2/14 『ザ・マジックアワー』7

 面白い方の三谷幸喜作品という感じ。良い意味での軽さが作品の出来に奏功している。

 

○16本目 2/17 “Saving Mr. Banks”/『ウォルト・ディズニーの約束』5

 2022/01/09時点でほとんど覚えていないので多分お気に入り度で言えばその程度の感じ。

 

○17本目 2/22 “The Invisible Man”/『透明人間』9

 メチャクチャ名作でしょこれ。劇場鑑賞しなかった自分を呪う。

先天的な能力ではなくテクノロジーによって得た透明化能力の方がよっぽど怖い、と言うのは新たな観点だった。

 

○18本目 2/27 『新世紀エヴァンゲリオン シト新生』7

 シン・エヴァ前に鑑賞。

 

○19本目 2/28 『新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に 』8

 同じくシン・エヴァ前の予習感覚で。90年代セルアニメ、好き。

 

○20本目 3/21 “GHOST BUSTERS”/『ゴーストバスターズ』6

 実は名作なのに観てなかった作品を観てみようシリーズ。面白かった。

 

○21本目 3/28 “THE GOONIES”/『グーニーズ

 微妙。コリー・フェルドマンは良い。

 

○22本目 4/2 『ハウルの動く城

 あんまりピンときていなかったけど今や大好きなジブリ作品に。

 

○23本目 4/9 『ゲド戦記

 地上波放送で初めて観た時に余りに面白くなかったので原作読んだけど原作がそもそも面白くなかったという作品。

 

○24本目 4/15 『名探偵コナン 世紀末の魔術師』

 「バルシェ、肉買ったべか」という台詞、所見時からずっと覚えている。プロットもよくできた良作だと思う。

 

○25本目 4/16 『名探偵コナン 異次元の狙撃手』

 暗黒期コナン映画にあって割と好きな作品。

 

○26本目 4/17 『名探偵コナン 迷宮の十字路』

 EDがコナン主題歌史上最も好きな一曲だったりする。作劇の都合にキャラが動かされておらず、自然な動きをしているのも好きな点。

 

○27本目 4/18 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

 ハサウェイ予習のため鑑賞。やはり大好きな一作。人類への絶望と希望が交差するラストのシークエンスは最高の一言に尽きるな。

 展開は早いが視聴者が振り落とされない最低限の気遣いを感じる速度感、ドライブ感は編集のうまさで知られる富野由悠季監督の真骨頂か。

 

○28本目 4/18 『名探偵コナン 漆黒の追跡者』

 「何者なんだ……」

 

○29本目 4/19 『名探偵コナン 探偵達の鎮魂歌』

 石田彰の演じる白馬探君が良いですね。スペシャル回と劇場版にしか登場していないのに存在感抜群の白馬君いいっすね。

 

○30本目 4/23 『名探偵コナン 天国へのカウントダウン

 劇場版コナン史上に残る作品だけにやっぱり好き。哀ちゃんのカウントダウンの発声のキレが好きです。

 

○31本目 4/24 『名探偵コナン 11人目のストライカー

 声優の演技ってすごいんだなと実感できるJリーガーの演技は必聴。率直に言ってノイズでしか無い。 

 

○32本目 5/2 『名探偵コナン 水平線上の陰謀』

 おっちゃんが格好良い作品。山寺宏一榊原良子というゲスト声優の豪華さも随一。

 

○33本目 5/5 “LIFE IS BEAUTIFUL”/『ライフ・イズ・ビューティフル

 あまりにも残酷な作品。

 

○34本目 5/8 “3:10 TO YUMA”/『3時10分、決断のとき

 コロナ禍で自宅鑑賞映画のおすすめを尋ねた際友人に勧められた一作。西部劇が好きなこともあって非常に気に入った作品。

 

○35本目 5/15 『名探偵コナン から紅の恋歌

 劇場公開時以来となる鑑賞。吉岡里帆さん。

 

○36本目 5/16 『名探偵コナン 緋色の不在証明』

 総集編なので期待はしていなかったが、予想通り山も谷もない感じ。編集の妙味みたいなものも感じなかったな。

 

○37本目 5/21 “ALADDIN”/『アラジン』 ※実写版

 ナオミ・スコット美人すぎる。

 

○38本目 5/23 “TITANIC”/『タイタニック

 実は初めて観た。
ロミオとジュリエットの構造を踏襲した悲恋を豪華な衣装と音楽が彩る。
石田彰の吹き替えはやっぱり良い。

階級違いの恋物語からパニックムービーにシフトしていく様が素晴らしい。

 

○39本目 5/28 “STAND BY ME”/『スタンド・バイ・ミー

 不急の名作。小学生の頃からずっと大好きな一作。

 

○40本目 5/29 “I LOVE YOU, MAN”/『40男のバージンロード』

 パッとしない男の役にポール・ラッドがばっちりハマっていた。アメリカは恋人がいないと生きるのが辛そうだなと思っていたけど、親友がいないのも辛そうだなと思った。

 

○41本目 6/4 “GREEN BOOK”/『グリーンブック』

 劇場で見て大好きな一作。ちゃん嫁が未視聴だったので一緒に鑑賞。

 

○42本目 6/21 “HOT FUZZ”/『ホット・ファズ ー俺たちスーパーポリスメン!ー』

 都会でエリート警官だったサイモン・ペッグが田舎に来てやる気のない同僚たちとどう頑張って行くかという話。どうしようもないバカ作品のような雰囲気を漂わせておいてかなりゴア描写もあるというアンバランスさが良い。

 

○43本目 6/25 “PETER RABBIT”/『ピーターラビット

 ドーナル・グリーソンの一人芝居うますぎワロた。

 

●44本目、45本目、46本目 6/26、7/2、7/2(二度目) 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

 2021年マイベスト3。最高の作品で劇場限定のBDも買ったので繰り返し視聴した。

 

○47本目 7/9 『バケモノの子』

 悪い時の細田監督作品。渋谷に縁のある人生だったのでリアルな渋谷の描写は評価できる。

 

○48本目 7/16 『サマーウォーズ

 良い方の細田監督作品。文句なしに面白いと思う。大学生の頃友人宅で鑑賞してボロ泣きした。

 

○49本目 7/22 “EL CAMINO: A BREAKING BAD MOVIE”/『エルカミーノ: ブレイキング・バッドTHE MOVIE』

 ブレイキング・バッドを楽しんだ後に一息で鑑賞した。TVシリーズの方が面白いけどこれも悪くない。

 

○50本目 8/6 『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄』

 あまり心動くことのない作品だった。

 

○51本目 8/7 “JAWS”/『ジョーズ

 実は観たことのなかった名作。古さも感じず、モンスターパニック・スリラーの古典としてちゃんとも白かった。

 

○52本目 8/9 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』

 これも実は一本通しで観たことのなかった作品。皆が好きなのも分かる。が、涙腺ゆるゆるマンとして知られる僕に涙は流れなかった。

 

○53本目 8/13 『もののけ姫

 大好き。何度見ても面白い。

 

○54本目 8/14 “JOKER”/『ジョーカー』

 劇場鑑賞以来の再鑑賞。アメコミヒーロー作品が嫌いなちゃん嫁もヒーローが出てこない本作は気に入ったみたい。

 

○55本目 8/22 『孤狼の血

 LEVEL2鑑賞前の復習として。やっぱり良い。

 

○56本目 8/27 『風立ちぬ

 2013年の公開以来観ることができていなかったけど、二度目の鑑賞。初見時よりも好きになったなぁ。

 

○57本目 8/28 “SE7EN”/『セブン』

 七つの大罪をモチーフにした凄惨な事件お謎を解いていく作品。ラストの展開は斬新だった。

 

○58本目 9/2 “SPIDER-MAN"/『スパイダーマン

 スパイダーマンNWH前にシリーズを一通り履修しようと鑑賞。良い作品。ウィレム・デフォー大好き。

 

○59本目 9/3 “SPIDER-MAN 2"/『スパイダーマン2

 ドック・オック良いわ〜。本作はやっぱりあの鉄道のシーンが最高よね。

 

○60本目 9/3 “SING”/『SING/シング

 色んな主人公がいるけど、体はでかいのに気が小さい象の子が自信を得ていく過程が良かった。

 

○61本目 9/3 “JURASSIC PARK”/『ジュラシック・パーク

 不朽の名作。

 

○62本目 9/4 “SPIDER-MAN 3"/『スパイダーマン3

 ヴェノムを封殺する最後の対決が好き。ピーターのイキりダンスがスパイダーバースで拾われたの最高でしょ。

 

●63本目 9/4 “CRUELLA”/『クルエラ』

 101匹わんちゃんのクルエラとは別人だとしか思えない。ヴィランヴィランのままで良いので悲しい過去とか描かないでください。

 

○64本目 9/11 “HUNTER KILLER”/『ハンターキラー 潜行せよ』

 オタクが好きな要素を詰め込んだ作品って感じ。僕も多分に漏れず気に入った。

ハリウッドがドル箱IPの続編ばかり作らせる昨今、これくらいの上映時間で単独作品で楽しめるウェルメイドな「映画らしい映画」って貴重なんだよね、とどこかで聞いたような話をしてみる。

 

○65本目 9/17 “THE LOST WORLD JURASSIC PARK”:/『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク

 自然の中で暴れ回る恐竜たちは前作で描かれていたけど、街中で暴れる恐竜が楽しめる本作。

 

○66本目 9/24 “THE NEW MUTANTS”/『ニュー・ミュータント』

 映画館で観なくて良かったな……金払って観てたら怒っていたと思う。

瞬間最大風速がでかかったら評価も変わったのかもしれないけど、待てど暮らせど突風が吹いてこなくて弱い風が吹き続けているだけだった。ド級の風を待ってたんだけどな……

 

○67本目 9/25 『鬼滅の刃 無限列車編』

 地上波放送で見返してもやっぱり楽しい!

けど、音響含めての感動だから劇場鑑賞時ほどのインパクトはなかった。やっぱり劇場で観るに限る、という当たり前の感慨。

 

○68本目 10/1 『SP THE MOTION PICTURE 野望篇』

 久しぶりに観た。堤真一好き。

 

○69本目 10/8 “CASINO ROYALE”/『007/カジノ・ロワイヤル

 NTTD鑑賞前の予習として。スパルタンな雰囲気もソリッドな空気感も格好良い一作! 

 

○70本目 10/9 “MERRY CHRISTMAS, Mr. LAWRENCE”/『戦場のメリークリスマス

 実は観たことのなかった名作を観てみようキャンペーン。坂本龍一のメイクの意味がついぞわからなかった。

 

○71本目 10/17 “QUANTAM OF SOLACE”/『007/慰めの報酬

 007って初期の4作品を観ただけだと作品ごとに独立した(或いは前作との結びつきがきわめて緩やかな)イメージだったけど、前作からの流れをガッツリ汲んでいるのが新鮮だった。

 

○72本目 10/23 “SKYFALL”『007/スカイフォール

 画の美しさを含めてクレイグボンドシリーズの中で一番好きかなぁ。

ザ・コンサルタントイコライザーのような「多勢に無勢な状況下、自分のホームグランドで敵を待ち受ける戦闘のプロフェッショナル」な展開が好きな人には刺さる作品。

 

○73本目 10/31 “THE GUILTY”/『ギルティ』 ※Netflix

 劇場版が好きだったので観てみた。こちらも良いね。

とは思うが、敢えてリメイクした意味もあまり感じられない作品だったかなぁ。

この短いスパンでリメイクするのなら何かしら新しい試みをするべきだと思うけど、本作に於いてはそう言った新機軸は見出せなかったなぁ。

プロットが良いからNetflix版が「初めまして」な人なら十分楽しめると思うけど。

 

○74本目 11/3 “SPECTRE”/『007/スペクター』

 世界を、イギリスを守るというイデオロギーを信奉してきたボンドがイギリス政府に巣くう闇と対峙するストーリーは良かった。007弱者なので勝手にこのシリーズはジェームズ・ボンドという役職を色んなエージェントが引き継いでいくストーリーだと思っていたら、本作のラストがシリーズ最初期から登場しているキャラに繋がっていくのだと分かって感心した。

 

○75本目 11/3 “FIELD OF DREAMS”/『フィールド・オブ・ドリームス

 実は観ていなかった名作を観てみるシリーズ。オードリーのANNで若林が本作のことを一時期毎週のように話していて気になった。登場する選手のことをもっと知っていたら一層楽しめたんだろうな。

謎解きというか要素を一つ一つ紐解いていくストーリーテリングの丁寧さは好印象。

 

○76本目 11/14 “THE MATRIX”/『マトリックス

 実は観ていなかった名作を観てみるシリーズ。レザレクション前に予習しようと観てみた。2022/01/10現在まだ観ていないけど。 

 

○77本目 11/20 “LITTLE WOMAN”/『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

 劇場鑑賞したかったけど観ていなかった作品。安易に焼け木杭に火がついた的な展開にしなかったのがやっぱよいよね。

 

●78本目 11/21 “RED NOTICE”/『レッド・ノーティス』

 ガル・ガドットがあまりに美しくてこのキャラを演じることに納得感を与えていた。ライアンはちょっと残念な感じの役にハマるなぁ。


○79本目 11/23 “CENTRAL INTELLIGENCE”/『セントラル・インテリジェンス

 ロック様出演作2連発。ケヴィン・ハートとロック様の共演は『ジュマンジ』でも観られたね。ロック様の優しさあふれる顔立ちと役が合っていて良かった。

 

○80本目 11/28 “WE BOUGHT A ZOO”/『幸せへのキセキ

 スカーレットの出演作ということで劇場公開当初から観たかった作品。

 

●81本目 12/11 “FREE GUY”/『フリー・ガイ』

 本年公開作品が早速配信に来るとは良い時代になった。『トイ・ストーリー』はオモチャたちの生活を視聴者に想像させる作品だったけど、本作観賞後はオープンワールドゲームにおけるNPCの生活に思いを馳せる人が出てくることだろう。

 

●82本目 12/12 『浅草キッド

 軽い気持ちで鑑賞したら大変良かった。当て書きかと思うくらい役とバッチリ合っていた洋ちゃんの演技が良いのはもちろんだけど、柳楽優弥、全然知らなかったけど名優だなぁ。

 

○83本目 12/18 “SPIDER-MAN: HOMECOMING”/『スパイダーマン:ホームカミング』

 NWH鑑賞前の予習。ライミ版、アメスパへのファンの思い入れが強すぎるから公開当初はちょっと否定的な意見も多く見られたけど、僕はめっちゃ好きな作品。

 

○84本目 12/19 “SPIDER-MAN: FAR EROM HOME”/『スパイダーマン:ファーフロムホーム

 公開当初はちょっと期待ハズレかなぁとか思っていたけど、フェーズ4のMCU作品がだいぶ肌に合わなかったこともあって見返してみたら5割り増しくらいで面白く感じた。

 

○85本目 12/24 “HOME ALONE”/『ホーム・アローン

 クリスマス映画といえばこれ。何度見ても面白い。

 

○86本目 12/25 “DIE HARD"/『ダイ・ハード

 クリスマス映画を求めて鑑賞。実は観ていなかった名作を観てみるシリーズ。プロットがしっかりしていてこりゃ続編がいくつも作られる人気作になるわと実感。

 

○87本目 12/26 “LONG SHOT”/『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋

 シャーリーズ・セロンセス・ローゲン、どっちも好きなので観てみた。良い作品だった。

恋愛観と女性の仕事観がアップデートされたロミオとジュリエット構造。

 

高潔な理想を掲げて政治の舞台に踏み込んだシャーロット。しかし彼女も政治の現場で「政治とは時に妥協を必要とするものである」という現実に阻まれる。

そうやって男性優位のアメリカ政界で海千山千の政治家と静かに闘ってきた彼女が妥協無く選んだ結末は……

 

○88本目 12/29 “LION KING”/『ライオン・キング

 『ジャングル大帝』好きのちゃん嫁は本作を「パクり」と思って今まで観ていなかったらしく、年末を良い機会に視聴してみた。幼少期、家にアメリカ版のVHSしかなかったので初めて日本語版を観たけど、こんな台詞だったんだなと20年ぶり以上に視聴して気づいた。

 

 

以上、「2021年の映画を振り返る 自宅鑑賞編」でした。

 

2021年の年間振り返りに合わせてFilmarksを爆速で更新したのでこちらも合わせてお楽しみください。

filmarks.com

“LAST NIGHT IN SOHO”/『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』感想

年が明けてしまったけど書いてみる。
 
2021年12月12日。
“LAST NIGHT IN SOHO”/『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』を観てきた。
鑑賞途中、ハリウッド版『思い出のマーニー』かと思ったらとんでもない。
後半に進むにつれて畳みかけるように襲いかかるサスペンス演出の数々が滅茶苦茶スリリングだった。
 
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個人的に『ベイビー・ドライバーがオールタイムベスト級に好きな作品なので大いに期待を持って鑑賞したんだけど、最高のトリップ体験だった。
 
ベイビー・ドライバー』でリリー・ジェームズがとても魅力的に描かれていたのと同じくらい、本作においてトーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイという、ヒロインにして主人公の役割を担う女性二人の魅力が余すことなく伝わる作品に仕上がっていた。
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スタートシーンの時点で、観客はトーマシン・マッケンジー演じるエロイーズの虜になること請け合い。
 
物語の序盤はどの時代を描いた作品なのか一見しただけでは分からない。これは明らかに意図された演出だろう。
しかし音楽に並々ならぬこだわりを持つエドガー・ライトらしく、音楽に関連する「とあるアイテム」が画面に映ることで本作の時代がいつであるかがフィックスするというギミックに序盤からグッと心を掴まれた。
 
ベイビー・ドライバー』の主人公ベイビーを象徴する音楽関連のアイテムがiPodであったように、本作の主人公エロイーズを象徴する音楽に関連したアイテムはレコードだ。
 
プレイリストムービーと言っても良いくらい使用する楽曲のセンスに優れた“GUARDIAN OF THE GALAXY”の二作目が『ベイビー・ドライバー』と近い時期に公開されるため、使用される楽曲に被りがないかジェールズ・ガン監督に確認の連絡を取ったというエピソードからもエドガー・ライトが如何に音楽に拘りを持った監督かが分かるだろう。
 
エロイーズ(エル)の故郷であるカントリーサイドの のどかな風景から一転、人がひしめく大都会ロンドンに入って早々にエルが遭遇するのが、彼女に対して「君のストーカー第一号になろうかな」というタクシードライバー
そんな言葉に恐怖を感じたエロイーズは急いで車を停めさせ、車外に出る。
きっとドライバーの彼は何の悪気もなく、乗客とのコミュニケーションの一環のつもりでエルにそんな言葉をかけたのだろう。しかしそのあまりにも無神経に、そして無自覚に向けられた彼の下卑た視線、下卑た言葉は、最初から最後まで一本の串のように作品を貫いていると感じるのだ。
 
男性視聴者として女性はこんな恐怖や不快感に身をさらしながら日々を生きているのかと思い知らしめられ、世界の不均衡さに恐怖と恥を覚えずにはいられなかった。
また、作中では男性と女性という風に関係を単純化(敢えてこう書く)されているけれど、勿論「当人がは同性間でも有り得ることだ。
このシーンを観て何も感じなかった人、「女性って大変だなぁ」くらいの感想しか抱かなかった人は恐らく日常生活で無自覚に人を傷つけていると思うので思いやりを持って生きることを心掛けた方が良いだろう。
 
そして本作が遺作となったダイアナ・リグが、作品の舞台となったカフェ・ド・パリを若い頃に初めて訪れた際、階段を下りる際に男たちから全身を舐めるような視線を浴びさせられたという記述をパンフレットで読んだ時、彼女がアニャ・テイラー=ジョイ演じるサンディと全く同じ境遇に晒されていたことを知り、背筋が凍る思いをした。
本作はサイコ・スリラーとして数々の恐ろしいシーンがあったが、この事実こそ僕にとって何よりの恐怖を感じさせるものだった。
 
女性が日々晒されている男達からの視線と社会の不均衡というテーマに対し、男性クリエイターのエドガー・ライトが本作を世に送り出した意義は非常に大きいと思う。
 
政治や文化、国家、宗教、人種と言った様々な観点から不均衡を無くし、是正しようという世界的な潮流がある中、「男女間で見える世界がこんなにも違うのか」ということを雄弁に語ってくれる本作は、男性が男女の平等を考える上で大いに役立つ一作であると信じて止まない。 

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』試写観て来た〜「人を救うヒーロー」としてのスパイダーマンの新境地〜

下書きに入れておいたら気が付くと年が明けて1/6になっていた。けれどついに1/7に公開日を迎えると言うことで書いておいた下書きに手を加えてアップする。

 

2021/12/21。

TOHOシネマズのシネマイレージ会員限定試写で“Spider-Man: No Way Home”を観に行ってきた。

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当選通知が来てからだと勤務シフトを組むのが間に合わない。

当選するかどうか分からない、応募したばかりタイミングで有給を入れていたので、当選通知が来たときは本当に嬉しかった……

 

同時に、某国で最速上映したことでネタバレが散見されると友人から注意を促されたので緩めにSNS断ちをしてたんだけど、それも今日(12/21)まで。長かった……

 

 

で、これは注意なんだけど、ネタバレ無しで視聴したいのならGoogleで作品名を検索することすらしない方が良いっす!

マジで!トラップあるから!SNS断ちしてても全く意味ない!本当に注意して欲しい!

 

 

と、注意喚起をしたところで、ここから先はネタバレありで感想を書いていくので、

作品を視聴してから以下を読んでほしい。

(一部Disney+で配信中のドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』のネタバレを含む)

 

映画評のようなしっかりしたものではなくて、「良かったポイント」を列挙するような感じで行きたいと思う。

映画を観終わった人がこのブログを読んで「分かる〜」と思ってくれたらこんなに嬉しいことは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----------以下ネタバレあり----------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きを読む

2021年の映画を振り返る

2022年になりました。

てなわけで2021年に観た映画の振り返り。

 

2020年の映画の振り返り、実はしていないんです。

でも、2021年の振り返りをしちゃう。

 

2019年の振り返りはこちら。

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

 

2021年に鑑賞した映画はこちら。

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28本/24作品。試写を含めて29/25。

2021年、緊急事態宣言もあってマジで観た本数少ないな……

今は富山に住んでいるのだけれど、寒すぎて外に出るのが億劫になったことも影響として大きい。

富山、人間が住むには寒すぎると思うんだけど……

 

 

 

※タイトル前に○の付いた作品は2020年以前に公開された作品。

○『佐々木、イン、マイマイン』

・『花束みたいな恋をした』

・『すばらしき世界』

・『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』

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・『騙し絵の牙』

・“21BRIDGES”/『21ブリッジ』

・劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』

・“NOMADLAND”/『ノマドランド』

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・“THE FARTHER”/『ファーザー』

・『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

・“BLACK WIDOW”/『ブラック・ウィドウ』

・劇場版『GのレコンギスタⅢ 宇宙からの遺産』

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・『映画クレヨンしんちゃん 花の天カス学園』

・“THE SUISIDE SQUAD”/『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』

・“SHANG-CHI AND THE LEGEND OF THE TEN RINGS”/『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

・『狐狼の血 LEVEL2』f:id:naw0t0:20220102130445j:image

○『隠し砦の三悪人

・“THE LAST DUEL”/『最後の決闘裁判』

・“DUNE”/『デューン 砂の惑星

・“ETERNALS”/『エターナルズ』

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・“007 NO TIME TO DIE”/『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』

・“VENOM:LET THERE BE CARNAGE”/『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

・“LAST NIGHT IN SOHO”/『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』

○『モスラ

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・“SPIDER-MAN: NO WAY HOME”/『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(試写鑑賞)

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そんなわけで2022年1月2日現在における「2021年度鑑賞作品ベスト10」いきます。

 

 

10位:“LAST NIGHT IN SOHO”/『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』

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サイコスリラーというジャンルにはあまり明るくないんだけど、めちゃくちゃ引き込まれる一作だった。

別途感想も書いたので後ほど公開したいところ。

(2022/01/10 追記↓)

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

 

のどかな風景・ゆったりとしたテンポで始まる冒頭と、スピーディかつ恐ろしいラストの対比が非常に鮮やか。

 

スリラー作品であるが故の展開上の恐ろしさは勿論あるけれど、それ以上に恐ろしいのは「搾取される女性」と「搾取する男性という」構造が現実世界にも厳然たる事実として存在し続けていることはでないだろうか。

この作品がエドガー・ライトという男性クリエイターの手でこの世に生み落とされたことも大きな意義があると思わせてくれる一作。

 

本作を鑑賞して最も怖いと感じたのはパンフレットを読んだ時。

本作が遺作となったダイアナ・リグが、作品の舞台となったカフェ・ド・パリを若い頃に初めて訪れた際、階段を下りる彼女は男たちから向けられた全身を値踏みするような視線を感じたという記述を読み、彼女がアニャ・テイラー=ジョイ演じるサンディと全く同じ境遇に晒されていたことを知り、背筋が凍る思いをした。

これ、作中のどんな描写よりもホラーでしょ……

 

 

9位:“DUNE”/『デューン 砂の惑星

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周囲の映画ファンからはめっちゃ不評だけど俺は好き。ドゥニ・ヴェルヌーブに対して映画ファンのみんなが言いたいことも分かるんだけどね。

原作付き作品ということを直前まで知らなかったし、コロナ禍で延期があったために劇場で長期間予告が流れていたことで「あれ?デューンっていつの間にか一作目が公開されてもう2作目やるわけ?」と思ってしまった。

 

主役とヒロインを演じるティモシー・シャラメゼンデイヤ

二人の手足の長さからくる立ち姿の美しさは非常に絵になる。

ただ砂漠にこの二人が佇んでいるだけで

この作品のアイコンとなってしまうそれ程までに画になる二人だと思う。

 

シャラメとモモアのバディシーン、もっと観てみたかったな。

 

あとは作品を観ていてジョシュ・ブローリンが演じるガーニィというキャラが気になった。

僕が大好きな漫画作品『サイボーグクロちゃん』には本作と同じく砂漠を舞台にした長編ストーリー、「異世界サバイバル編」がある。

そのエピソードにガーニーというキャラが登場するのだ。

 

アトロクで宇多丸さんが「『砂の惑星』の砂漠は海をイメージしている」と言っていたけど、異世界サバイバル編の砂漠はまさしく海そのものといった印象を読者に与える。

そんなわけで、劇場鑑賞後に感じたことをTwitterで呟いてみたら原作者の横内なおき先生からリプをいただけて非常に嬉しかったなぁ。

 

 

2016年には先生自らガーニーの元ネタが砂の惑星であることを呟いていたらしい。

 

 

8位:“007 NO TIME TO DIE”/『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』

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007に全然触れないまま今まで齢を重ねて来てしまっていたので1作目から全て鑑賞しようと思い立つ。

一作目からいくつか作品を鑑賞したものの、五作品くらいでストップしてしまった。

全作視聴を諦め、「みんな大好きクレイグボンドが卒業するのだから」ということで『カジノ・ロワイヤル』からダニエル・クレイグジェームズ・ボンドを演じた四作品を急いで予習してからNTTDを鑑賞。

 

007に思い入れのある人からしたらまた感覚も違うのかもしれないけど、僕には非常によかったと思う。

1位に挙げた作品にも共通するんだけど、長期シリーズに区切りをつけるのってすごく難しいことだと思う。そんな中ダニエル・クレイグの卒業作品として素晴らしい花道だったと思う。

まぁ007シリーズが終わるわけじゃないんだけどね。James Bond will reaturn!! 

あとは……アナ・デ・アルマス美しかったなぁ……

 

 

7位:“THE FARTHER”/『ファーザー』

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下手なホラーよりもよほどホラーな展開が最後に視聴者を襲う。

けれど、僕らは自分の人生のどこかでこの事態に直面するかもしれない。

これは物語の最後の展開以上に怖いことだと思う。

 

夢とも現ともつかない、覚醒直前のまどろみのなかにいるような不思議な映像体験はオリヴィア・コールマンアンソニー・ホプキンスとあいう名優二人の共演だからこそ形になった作品ということができると思う。

なんて優しくて、なんて残酷な作品なんだろう。

 

小室さんによる音楽解説が最高なので、

作品鑑賞→音楽解説→再び作品鑑賞 のルートで楽しんでいただきたい。

僕も特集を聴いてから もう一度鑑賞したい。

open.spotify.com

 

6位:“NOMADLAND”/『ノマドランド』

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『ファーザー』と『ノマドランド』が同時期に劇場にかかっていたことは幸いだったと思う。

両作品とも対象を「見つめる」ことに主眼を置いた作品だと思うから。

 

遊牧民」を意味する「ノマド」。

日本でも近年「ノマドワーカー」という言葉と共に知られるようになったこの単語。しかしアメリカでは近年車上生活者が増えて社会問題化しているらしい。

作品の舞台こそ現代ではないけれど、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でブラッド・ピッドが演じたクリフ・ブースも似たような生活をしていたなぁとか思ったり。

 

で、そんな感じで本作は「車上生活」という社会問題を扱う作品なんだろうなと思って鑑賞してみた。

もちろん作品を作る原動力になったものの一つには「社会問題としての車上生活者」という視点もあったのだと思うけど、僕は本作を観てそういった「説教」めいたものはあまり感じなかった。

実際にノマド生活をしている方がキャストとして出演していることもあり、非常にリアリティのある空気感を纏った作品。

ノマドとして生活する人に向けられた視線の優しさと自然描写の美しさ。

この二つの要素、僕は別個のものではなく同じ場所から発されたものだと思っている。

 

5位:『花束みたいな恋をした』

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以前こんなエントリを書いた。

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

 

2015年という相対化するにはあまりにも近すぎる過去と、「東京めを描いた映画という点が非常に僕の心を掴んで離さなかった。

総合評価で順位こそ5位に置いているけど、2021年で一番食らった作品は間違いなくこの作品。

 

4位:“THE LAST DUEL”/『最後の決闘裁判』

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ポリティカル・コレクトネスやフェミニズム、me tooなど現代の映画を理解するために知っておくべき文脈は数多くある。

その中でもやはり男性・女性間における性の不均衡というテーマは避けては通れないものだと思うし、僕ら男性視聴者こそ積極的に学ぶべきことだと思う。

 

先に“THE FARTHER”/『ファーザー』と“NOMADLAND”/『ノマドランド』が同時期にスクリーンにかかっていたことの幸運さを述べたが、本作と“LAST NIGHT IN SOHO”/『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』が同年公開であるということも、今後映画史において非常に重要なターニングポイントとして記憶されるかもしれない。

 

『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』が「スウィンギング・ロンドン」と呼ばれた華やかなりし1960年台のロンドンで蔓延っていた女性に対する性的搾取を描いた作品であるとするのなら、『最後の決闘裁判』は中世において「家長の所有物としか見なされなかった“女性”による告発」を描いた作品であると言うことができるのではないだろうか。

 

人権侵害があった(と歴史上されている)にも関わらず、現代の法律体系であれば人権侵害を受けた主体であるはずの女性は、法廷で“原告”として主張することもできない。

恥を忍んで法廷で主張し、真実を明らかにしようとすれば命を賭さねばならない。

 

勿論、西洋的な価値観に基づいた法治国家であれば、女性が法の下に「夫」や「家」から独立した個人として扱われることは自明のことだ。

しかしこの不均衡さ、現代において完全に是正されていると言い切ることはできるだろうか。

 

本作品はジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)→ジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)→マルグリット・ド・カルージュ(ジョディ・カマー)視点が移映っていくオムニバス形式で物語が展開していく。

 

ジャンパートでは冒頭の戦いにおいてジャックの命をジャンが救う。そのためジャンは「あいつ(ジャック)は俺に命を救われた借りがある」と考えている。

しかしジャックの視点でストーリーが紡がれると、僕らはジャンが命を救うよりも先にジャックがジャンの命を救っていたのだと知る。

 

そのような構造、即ち物語は一人称視点を何処に置くかによって捉え方がかわるのだということ脳に刻まれた状態でジャック(アダム・ドライバー)のパートを観てみると、「ジャンのパートではジャックはマルグリットを強姦したように見えたけど、実は彼は強姦なんてしていないのではないか。本当はマルグリット自身、ジャックに惹かれていたのではないか」と思ってしまう。

そしてマルグリットの視点で物語が綴られるにつれて、僕らはその直前に自らが抱いた考えが誤りであったと思い知らされる。

 

「ジャン(マット・デイモン)がジャック(アダム・ドライバー)の命を救ったと思っていたら、実はそれよりも先にジャックがジャンの命を救っていた」という事実と、「ジャックが強姦したか否か」というのは全く別なのに、僕らは何か一つの側面からある人間を信頼してしまうと、別の側面に於いてもその人は正しいのだと勘違いしてしまう。

そんな人間の認識の危うさを僕らに突きつけてくれる作品だ。

 

 

3位:『閃光のハサウェイ

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こちらも散々公開を散々焦らされた作品。

富山に引っ越してきて2年が経とうとしているけど、鑑賞に際して使用したムビチケは前任地である名古屋で購入したものなんだよなぁ……

 

鑑賞に合わせて原作小説を読破したけれど、愚直なまでに原作を素直に映像化したと思える作品であるにも関わらず、「映像化されたことに意味がある」と言える、不思議なバランスの上に成り立つ作品。

ガンダムシリーズを見たことのない友人が本作を見て十分面白かったという感想を抱いていたが、本作を語る上でこれ以上ない賛辞であると言えるだろう。

 

真っ暗闇の市街地の中戦闘を繰り広げるグスタフ・カールとメッサー。

その「巨人」同士の市街戦は、ちっぽけな人間の命を容易に奪う破壊力がある。

“市街地でのMS戦に巻き込まれる民間人”という描写は『F91』でも扱われたが、それを今日的なリアリティで再度ガンダムシリーズに復活させてくれた本作の意義は非常に大きい。

 

調度品の一つ一つに至るまで徹底的にリアルを追求した豊かな生活描写。

特に高級旅客機や高級ホテルで供されるに相応しい料理や飲み物が画として説得力を持って銀幕に映し出されるその体験だけでも映画館に足を運ぶ価値があると思った。

「実写作品を観ているような感覚で観ることができる」と評されることの多かった本作はガンダムシリーズのみならず日本アニメの新時代の到来を予想させるような素晴らしい作品。

 

2位:『すばらしき世界』

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おばあちゃんが役所広司のことを好きだったこともあり、僕も小さい頃から役所広司のことが大好きだったが、本作に触れてより一層役所広司のことが好きになった。

助演の仲野太賀の演技も非常に良かったなぁ……

あまりにも良い作品だったので原作小説『身分長』も購入してしまった。

 

エンディングは原作小説とも異なる展開なので、原作読了組も楽しめる一作に仕上がっていると思う。

原作小説は長らく絶版が続いていたが、映画公開に合わせて復刊。復刊に尽力された西川美和監督のトークも合わせて聞くことで、作品に関する解像度が上がること請け合い。

本作の鑑賞を終えた人、原作を読むのが手間だと言う人はこのカルチャートークだけでも聴いてみてほしい。

 

1位:『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇

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もう何も言うまい。

エヴァ」というコンテンツを終わらせる。

それが如何に困難で厳しい道であったことか。

それを成し遂げた時点で年間ベストは決まったようなものだった。

そりゃあね、言いたいことが無いと言えば嘘になるよ。ただやられるためだけに出てくるような敵機とかさ。

 

でも良いんだ。だって、監督自らが望む形で迎えた作品の「終わり」を目にすることができたんだから。

近年のハリウッド大作シリーズがIPを延命させんがために終わることすらできないことを考えると、シリーズに終止符を打つということが如何に尊いかがわかる。

僕はコミックス版の最終巻を買って以来、エヴァを自分の中で終わらせるということが怖くて7年間封を切ることができなかった。

その最終巻を、シン・エヴァ公開日にやっと読むことができた。

きっと庵野監督はエヴァを終わらせる覚悟を持ってこの作品を仕上げてくれるはずだという確信にも似た願いを持って。

 

果たしてその願い、通りエヴァは見事な終わりを迎えた。15年以上エヴァを好きでよかった。そう思えるラストだった。

 

個人的には2016年に『シン・ゴジラ』をベスト1にしたかったけどできなかったことへの贖罪的な意味合いもある。この作品を2021年の1位にすることができて良かった。

終始誰目線なんだって話だけど笑

eibunkeicinemafreak.blog.fc2.com

 

公開時期に合わせてポスターが変わっていくのもよかったな……

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書いているだけで幸せな気持ちになってきた。

エヴァを好きでいさせてくれてありがとう。エヴァを好きでいたことを肯定してくれてありがとう。

 

僕が「シン・エヴァ良かった」とSNSに投稿したらわざわざご丁寧に「いまひとつだった」とコメントをよこしてきた同級生がいたけど、この作品の良さを享受できないなんて何と可哀想なんだろうと思った。

というかエヴァに対して捧げてきた思いの丈も時間も違うんだし、人の好きなものを腐すのはダメよね。

 

 

番外:(オールタイムベスト) “SPIDER-MAN: NO WAY HOME”/『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

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本来は2022年公開作品なのでランキングに入れることはできないので番外扱い。

だったら扱うなよという話なんだけど、本作がオールタイムベスト級に好きになってしまったんだから仕方がない。

何故僕たちはヒーロームービーが好きで、スパイダーマンというヒーローが好きかなのかが詰まった一作。

「親愛なる隣人」には重すぎる使命だけど、優しい彼だからこそできた「救い」の物語。

 

感涙に咽び泣くこと必至の本作。全てのアメコミヒーロー映画ファンに観ていただきたい。

 

 

はい。そんなわけで2021年マイベストでした。

 

番外:(オールタイムベスト) “SPIDER-MAN: NO WAY HOME”/『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

 

1位:『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』
2位:『すばらしき世界』
3位:『閃光のハサウェイ
4位:“THE LAST DUEL”/『最後の決闘裁判』
5位:『花束みたいな恋をした』
6位:“NOMADLAND”/『ノマドランド』
7位:“THE FARTHER”/『ファーザー』
8位:“007 NO TIME TO DIE”/『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』
9位:“DUNE”/『デューン 砂の惑星
10位:“LAST NIGHT IN SOHO”/『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』

 

『イコライザー』の主人公マッコールさんと同じ時計を買った話【再掲】

(※このエントリはFC2ブログ時代の「映文計」(2018/10/21)に掲載されていた記事を試験的にこちらのブログに引っ越した内容です)

 

SUUNTO CORE ALL BLACK”を買ってみた。
公開日翌日に観た“EQUALIZER 2”/『イコライザー2』が面白くて、デンゼル・ワシントンが好演する主人公・マッコールさんの愛用する時計が気になり、彼と同じモデルの時計が欲しくなったからだ。

そのモデルがこちら。





Amazon(https://www.amazon.co.jp/dp/B00L2UBKLK/ref=cm_sw_r_cp_api_IDeZBbP44N418)でなら並行輸入品で定価48,600円のものが15,599円(68%off!)で買えてしまう。
定価だと即買いには躊躇してしまう額だが、Amazon価格であれば学生のアルバイトでも買える額ではないだろうか。

(注:2018/10/21時点の金額。2021/03/12現在においてはもう少し安い13,475円という価格で販売しているようだ)



トレイラームービーにもこの時計が印象的に映っている。

www.youtube.com

 

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実際にストップウォッチ機能を使った時とは表示が異なる点に注意

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二枚の画像の出典は上記Youtubeリンクより


もったいぶっても仕方がないので早速商品の紹介に入る。

まずは外箱。商品名がALL BLACKということで黒を基調としたデザイン。
欧州アウトドアウォッチブランドの雄と言うことで、武骨でスパルタンでマッシブな感じ。



箱の側面と上面。


スリーブ状の外装を外すとインナーケースが。


内箱にはこんな感じで商品が鎮座している。


さほど腕が太い方ではない僕はケース径が50mmもあるこのモデルは大きすぎるかなとも思っていたが、着用してみると案外気にならない。



厚みは多少気になるかなあといった塩梅。
カバーをつけたiPhone以上の厚さのものが手から飛び出している。





2作目を観てからHuluで1作目を観返してみたが、この時計、マッコールさん実は一作目から着用していた模様。
当時劇場で見たときは気付かなかったものの、ググってみたら一作目の段階で気づいた人が沢山いたようで、様々なブログで「イコライザーモデル」として扱われていた。

『スピード』の劇場公開から24年が経過した今でも「スピードモデル」と呼ばれる
G-SHOCKのスクエアタイプのように、この「スント コア オールブラック」も「イコライザーモデル」とか「マッコールモデル」と呼ばれるようになったら、このモデルを持っている僕としては嬉しく思う。

映画オタク仲間とTwitterでかわした会話だったのか直接話していて話題に出たのかは忘れたものの、「作品の関連グッズが出るのは良いけど、“コラボレーショングッズ”よりも“劇中でキャラクターが使っているグッズ”が欲しいよね」という話をしたことがある。
コラボグッズは過度なキャラクターイメージの押し付けが強く、日常使いに適さないものが多いというのがその理由の一つだ。

例えばこれ。



https://a.excite.co.jp/News/world_ent/20180424/Frontrow_17163421.html

これを格好良いと感じる人はいるかも知れないけど、社会人が仕事中に身につけることのできるグッズかと言われるとどうだろう。正直なところ厳しいのが現実だ。

僕が今回購入した“SUUNTO CORE ALL BLACK”はイコライザーグッズとしてリリースされたアイテムではないが、「イコライザーグッズ」として恐らく最も魅力的なアイテムの一つではないだろうか。

「映文計」というブログタイトルは僕の好きな「画・具・時」から一文字ずつ貰って名付けたものだったが、時計にフォーカスするのは今回が初めてだ。
その初の時計記事が映画関連である辺り、自分でも映画馬鹿だなと思う。

僕の好みはデジタル時計よりもアナログ時計なので、画面に映るこのオールブラックを見て「面構え的にSUUNTOだな」ということはわかってもモデル名までは分からなかった。
ブランドがSUUNTOであると分かっていたので検索は容易だったか、そうでない人にとってはこのモデルの正体に辿り着くのに多少時間がかかるかもしれない。

この記事が僕のように本作を鑑賞して「マッコールさんと同じ時計がほしい!」と思った人、特に「ほしいけど何というモデルなのか見当もつかない!」という人の目に止まり、同好の士の手にマッコールモデルが届く一助となれば幸いだ。

マッコールさんが多用するストップウォッチ機能も当然搭載。
日常のあらゆる用途で使ってほしい。
勿論、殺人以外の用途で。

 

(この度、時計関連で一つ自分の中で嬉しい出来事があったので古い記事を再掲してみた。

その出来事については近日報告できると思う。)

 

『花束みたいな恋をした』観ました

各所(主にTBSラジオ「アフター6ジャンクション」周り)で絶賛の『花束みたいな恋をした』、観てきました。

 

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 観終わっても僕は泣かなかったし、観終わったらスタンディングオベーション!という類の作品でもなかったんだけど、観終わってから気がつくとこの作品のことを考えている。そんな作品。

数年前までの僕なら絶対に劇場に足を運んでみることのなかったであろうタイプの作品。けれどこれが非常に良い作品だったので、備忘録的に心のヒダに引っかかっている要素を列挙していこうと思う。

 

その前に一つ。

今流行りのclubhouseをやっている友人が「連日意識高いサブカル系の人たちもオタク気味の友人も等しく『花恋』トークをしている」と言っていて、映画鑑賞前の自分はなかなかその空気はキツそうだなと思っていたのだけど、観賞後はなるほど、これは誰かに話したくなる作品だと共感できた。

ただ、この作品を観た感想を音声メディアで不特定多数に発信するというのは僕にとっては怖い。だいぶ怖い。

体温を感じ取られてしまう音声メディアでこの作品を語ってしまうと、心の内を見透かされそうで、そう言ったことはごく身近な心を許した人にしか見せたくないかなぁというのが僕の考え。

心許したごく少数(わずか)な友人(ひと)にはお喋りになれるのに〜みたいな。

 

一度自分の思考を客観視できる文章メディアでしかちょっと語れないかも。少なくとも今すぐには。

そんな気持ちも込めて今回のエントリを書き残すことにした。

 

近すぎて省みるのが難しい過去と年齢

まずこの作品の「実在感」のようなものは、2015年から2020年という、今の僕(或いは僕ら)が相対化するには近すぎる過去が舞台になっていることに起因していると思う。

そして僕自身の年齢が麦くんと絹ちゃんの二人に近しいこともあって、映画鑑賞中は自分のごく身近にいる友人の話を間近で見ているような奇妙な感覚が去来した。

宇多丸さんが「俺はもう彼ら(の年齢)を笑って見ることができるけどさ」と言っていたが、自分は正にその真逆で、笑い飛ばすことができない程度には彼らとの生きた時代も年齢も近い。

僕自身の実際の年齢も、舞台になった2015年〜2020年という年代もこれがまた絶妙な近さ。

それがこの作品を思い出したときのなんとも言えない感覚を呼び起こす。

こそばゆいどころか「痛痒い」。そんな表現が最も合う作品だと思う。

1985〜1995年生まれくらいの人間が今観ると一番心にくるんじゃないかな。

2015年から付き合い始めて2020年に別れた麦くんと絹ちゃんカップル。実は僕と嫁ちゃんが付き合い始めたのが2015年の暮れだったので、そこも他人事とは思えずに前屈みで観てしまった原因の一つ。

この作品で自分語りをするのってちょっと気持ち悪いなとは思いつつもオーバーラップする部分があったので敢えて挙げてしまった。

 

あと麦くんと絹ちゃんが初デートで行った「ミイラ展」。

実は今こちらの展示が、僕の今暮らす富山県に来ていて(『花恋』鑑賞のちょうど一週間前にミイラ展に行っていた)、富山市内の映画館にはこんなコーナーができていた。

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映画館はこちら↓

www.j-max.jp

 

お笑い

冒頭、2015年の絹ちゃんの自宅のシーン。

トースターでパンを焼く絹ちゃんが口ずさんでいるのが、クマムシの「あったかいんだからぁ♪」。

これが絶妙に「2015年感」を出していて、作品の舞台となる年代を表す記号的演出として非常に冴えてるなと感じた次第。

YouTubeを確認してみたらリリースが2015年2月4日ということで、自分の肌感覚だけでなく実際に2015年という舞台に合っていたのだなという。

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www.youtube.com

まぁ当時、CDリリースはクマムシがかなりハネて暫くしてからだったような記憶があるので、実際は2014年度末がクマムシの瞬間最大風速だったような感じがするけど。。。

あ、あとそう言えば「あったかいんだからぁ♪スーパーキューティクルバージョン」のコーラスに僕の応援しているアーティストさんが入っていたりする。

以前Twitterで呟いていたはずと検索してみたらツイートが削除されていたので触れられたくない過去なのかも……ということで、それがどなたかということには触れないでおく。

 

麦くんと絹ちゃんがお互い「天竺鼠のライブに行くつもりだったのに行くことができなかった」という共通点を持っていたけど、この天竺鼠という芸人のチョイスも絶妙。

コンビ名はそこそこ知られているもののテレビで一般層に顔と名前が認知されるまではいっておらず、一方でコアなファンが多いというところで、二人のカルチャー感度の高さと“サブカル感”の演出に役立っていた。

2020年放送の「アメトーーク」で瀬下の体当たりな芸風にスポットライトが当たって今でこそ天竺鼠の一般知名度も高いだろうけど、2015年ってまだまだ「知る人ぞ知る」感があったので。

 

そしてタクシーに乗る社会人二人を見送って、「押井守いましたね」という会話をきっかけに飲み直すことにした二人。

その後の自己紹介で「好きな言葉は“バールのようなもの”です」という麦くん。

この“バールのようなもの”というのも古典芸能好きからの僕からするとクスりと来るポイント。

というのも、立川志の輔師匠の新作落語で“バールのようなもの”というのがあるんですよね。

ちなみにその新作落語清水義範先生の同名短編小説が元ネタになっていたりするわけだけど、「お笑い好き」という記号の付けられた麦くんのキャラを鑑みればこれはお笑い文脈で受け取るべきかなと。

まぁ読書好きなキャラでもあるので判断が難しいところだけど。

 

押井守と『ショーシャンクの空に

二人が距離を詰めるきっかけになったのが押井守監督という人選なのもまた絶妙。

ポップカルチャーに興味がなければまず顔までは知らない監督だと思うし。

んで、「神がいます……!」という麦くんの反応も良いし、「誰?有名な人?」という社会人男性に対して「犬が好きな人です」と答えるところも捻りがあって良かったなぁと。麦くん分かってるなぁって。

押井守監督の姿を見て「押井守だ!」と気付けない人に押井守作品を語ったところで絶対話通じないし。

「俺結構映画観るよ?」とかましてくるあの社会人のお兄さんが好きな映画として『ショーシャンクの空に』を挙げているシーンも良かったなぁ。僕と嫁ちゃんは笑ってしまった。

いや、僕も『ショーシャンクの空に』大好きだし、劇場で観た時にシアター内で一番泣いてたのは僕だったという自信もある(なんの自信だ)。

でも「俺結構映画観てるぜ」という人が如何にも挙げそうなタイトルだし、2015年当時「映画 オススメ」とか検索すると大体『ショーシャンクの空に』と『レオン』が入ってくるのが常だった。そういった意味でも僕にとってはかなり2015年感がある作品のチョイスだったなと思う。

今「映画 オススメ」と検索しても『ショーシャンク』は入ってくるんだろうか。

この作品に罪はないし、むしろ大好きなのでこんな扱いは自分としても不本意なんだけど。

 

押井守と犬に関するエピソードはこちらから。

ghibli.jpn.org

https://shbttsy74.tumblr.com/post/85223024292/%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%9B%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%92%E3%81%AB%E8%AA%9E%E3%82%8B%E3%82%93%E3%81%A0%E3%82%8D%E3%81%86-%E6%94%BB%E6%AE%BB%E6%A9%9F%E5%8B%95%E9%9A%8A%E3%82%82%E8%A6%B3%E3%81%A6%E3%82%89%E3%81%A3%E3%81%97%E3%82%83%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B

shbttsy74.tumblr.com

 

そう言えば押井守の有料メルマガをまとめた書籍のKindle版が先日安くなっていたので買ってしまった。

歯を磨きながら読むと一章の分量がちょうど良いのでオススメ。

 

 

2015年?

劇中、付き合いたての二人が街に出かけるシーン。あれは球形のガスタンクを撮影しに繰り出したシーンだっただろうか。それが明確に2015年の描写だったかは自信がないんだけど、二人が歩く陸橋の下を山手線の新型車両が通過するシーンがある。

で、実は山手線の新型車両が1編成だけ走り出したのが2015年のかなり暮れの方で、本格導入は2017年のこと。

travel.watch.impress.co.jp

2015年の記事

 

toyokeizai.net

2017年の記事

 

僕は鉄ちゃんじゃないので具体的な年代については自信がなくて後ほど確認したんだけど、劇場での鑑賞中に「2015年ってこの車両走ってたっけ?」と疑問に思ったのは確か。

街中を歩いていてガスタンクが気になって自主映画を撮っちゃうくらい周囲の物に感度高くアンテナを張っている麦くんが、当時珍しかったはずのこの車両に何も興味を示さなかったことに対して何だかなぁと感じたりはした。

当時見た目がApple Watchっぽいと話題になった車両だったので、2015年当時僕が目にしたらちょっとテンション上がっていたと思う。

 

「東京」ムービーとしての『花恋』

神奈川で生まれ育って大学時代都内のキャンパスに通い、社会人になりたての数年間を都内に通勤して過ごした僕にとって東京は行き慣れた場所で、それ以上の感慨を思い起こさせる場所ではなかった。

しかし転勤で4年以上東京を離れてしまった今の僕にとっては東京がすっかり「懐かしく思い出す場所」、「憧憬と共に遠くから見る場所」に変化していることに気づいてとても切なくなった。

大通りを缶ビール片手に歩く二人の姿には、明るい時間から友人と渋谷で二次会三次会まで飲んで、「映画観ようぜ」という友人の発言を受けて渋谷から六本木のTOHOまで歩いて『アルゴ』のレイトショーを観たなぁとか、色々自分の思い出がフラッシュバックさせられた。

あと序盤から終盤まで二人の飲むビールがアサヒスーパードライだった気がする。

贔屓の銘柄って結構長いこと変えないもんなんだよねと思った。

東京に住む20台前半の二人の旅行先が静岡県だというのもリアリティがあったなぁ。

金銭的にも時間的にも、東京で暮らす人間にとって静岡ってやっぱり旅行しようと思ったらファーストチョイスに入ってくるので。

静岡を代表するレストランチェーン「さわやか」を一度体験しようと思うのも都内の大学生あるある。

「静岡」という旅行先も含めてこの作品は「東京ムービー」なんだと強く感じた。

あと二人が坂を登りに登って目指すオープンテラスのカフェというのは鎌倉の樹ガーデンを思い出したんだけど、自分の記憶の中樹ガーデンとはちょっと違う。

どなたかあのカフェを知ってたらおせーてください。

itsuki-garden.com

 

 

麦くんの雑巾掛け

交際を始めた二人が最寄駅から徒歩30分の物件を見に行って、そこを気に入って引っ越して。

で、部屋の掃除をする時に麦くんが雑巾掛けをするんだけど、その手つきが抜群に掃除慣れしていない感じなのよ。

大学卒業後、社会人にならずにフリーターをしていた麦くんの、効率の良さとは縁遠いところで暮らしている感じがあの短い数秒の演技で表現できていた。

「社会人になってビジネス書とか読み始めた麦くんはきっとあんな風には雑巾掛けをしないんだろうな」などと描写されていないところにも想いを馳せてみたり。

 

カーテン

引っ越した二人が新生活を始めるにあたって象徴的にスクリーンに映し出されるのが二人でカーテンを広げる描写。

一方、ラストで交際関係を解消する二人があの物件を離れる時、今度は二人の共同生活を終わらせる象徴としてカーテンを畳む描写が入っているんですわ。

オープニングからしてこの二人の恋愛がどう着地するかわかるような作りになっているんだけど、観客は心のどこかで「まだこの二人はやり直せるんじゃないか」なんて思いながらこのストーリーを見ているわけで。んで、このカーテンを畳む描写がスクリーンに映し出された瞬間、「ああ、二人のあの日々はもう戻ることが無いんだな」と思ってすごく落ち込んだ。

 

心の余裕とカルチャー 

社会人になって残業続きで心の余裕を無くしていく麦くん。

そして余裕がなくなった彼から真っ先に失われていくのがカルチャーなんですよ。

追いかけていた漫画作品も読まなくなっちゃうし、読書家だったはずなのに本も読まなくなっちゃう。映画も舞台も麦くんは行かなくなって、絹ちゃんだけがカルチャー摂取を続けていく。

で、この作品は主演二人のモノローグが物語の現在地点を理解するのに非常に役立つ作りになっているんだけど、文化面の摂取をやめてしまった麦くんのモノローグから形容詞がどんどん消えていく。これがどうしようもなく居た堪れない気持ちにさせられてダメだった。

僕も社会人になってすぐは余裕がなくなって映画を見る本数が激減した年があったので、何だか他人事とは思えなかったのだ。

そして一緒に書店に行った麦くんと絹ちゃん。

趣味の本を買って麦くんのところに行こうとした絹ちゃんが、ビジネス書を黙々と読み進める麦くんを目にして遠慮してしまうシーンの居心地の悪さに思わず一人「ぬおぉぉぉぉぉ……!」となってしまった

まぁこのシーンのことを話していたら嫁ちゃんに「あなたは漫画も映画も相変わらずずっと楽しんでるけどね」と言われたんだけど笑

 

絹ちゃんの対人スキルと脱・文化系ステレオタイプ

文化系カップルの二人だけど、二人とも「コミュニケーションが苦手です」みたいなステレオタイプな文化系として描かれていないのが非常に現代的なキャラクター造形だと思った。

特に麦くんの先輩たちのコミュニティに顔を出すようになって、「麦くん、私この子好き」といってくれたお姉さんと麦くんを介さずにコミュニケーションが取れるようになって、更に年上の友人に対して敬語を使わずに会話を交わす絹ちゃんの対人スキルの高さが印象的だった。

 

チャラチャラしたキャラクターが敬語を使わなずにコミュニケーショ交わすのでは無は無く、相手に合わせて適切な距離感を取れるしっかりしたキャラクターである絹ちゃんが敬語を使わずにコミュニケーションをとるということから、二人の間に確かな信頼関係があるのだということを余計な説明を入れずに描写していたのが良かった。

 

あの頃のファミレス、いつもの席

二人揃って結婚式に出て、観覧車に乗って、別れ話をしたのは付き合いたての頃いつも二人で通っていたあのファミレス。

自然と足を運ぶのはいつも座っていたあの席。

でもその席には先客がいて……というくだりだけで既にだいぶズドンと来ているんだけど、どっちから別れ話を切り出そうかという気まずい空気に満たされる中、別れ話をし始める前にいつも二人が使っていたあの席が空くんですよ。

でも、二人は店員さんに「席を変えてもらえませんか」とリクエストすることはしない。

この“席が空く”という描写が、「今ならまだ戻れたかもしれない最後のチャンス」として滅茶苦茶分かりやすく配置されているのが憎い。

そして空いた席に出来すぎているくらいに二人にそっくりなカップルが座ることもまた象徴的。

カルチャーを追いかけるのに全力なところとか、お互い最初は敬語で丁寧に距離を縮めていくタイプであろう男女というところまで残酷なくらいにそっくりで、「もうそんな克明に二人のことをトレースしないで……」と居た堪れない気持ちになった。

 

宇垣さんの目の付け所

アトロクこと「アフター6ジャンクション」でメインパーソナリティの宇多丸さんを始め多くの出演者がこの作品を絶賛していたけど、その中でも火曜パートナー宇垣アナがの視点の鋭さが非常に際立っていた。

それは絹ちゃんを演じる有村架純さんの「前髪」に成長を感じたというもの。

学生時代はモチャっとした前髪で、それが美男美女のはずの二人を周囲に埋没させることに成功させていたという分析。

その観点を持って作品を見ていると、確かに就活開始〜就職したあたりで明確に絹ちゃんが前髪をしっかり作るようになる瞬間があって、一人劇場で「確かに!」となっていた。

でも一番感動したのは「花束は根を張れないんだよ」という宇垣さんの何気ない一言だったりする。実はタイトルからして結末を暗示していたとは……

二人で買い物をして帰る時、絹ちゃんが花を買うんですよ。

「花を“買う”」のって趣味でしかないんだけど、「花を“買える”」のって精神的にも金銭的にも余裕がないとできないことだと思う。

あの二人の共同生活にとって絹ちゃんが買って花瓶に挿してくれる花は「生活感」の象徴であると同時に、恐らくは「余裕」の象徴だったんじゃないかなぁ。

 

宇垣さんの『花恋』評はこちらから。

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

 

最後に、劇中デート中フィルムカメラでお互いを取り合っていた二人の実在感を味わえるスペシャルメイキングフォトムービーが非常にエモーショナルで最高なので一見の価値あり。

youtu.be

 

ロケ地などの情報はこちらにまとめられていたので今度じっくり読んでみようと思う。

www.jimovie.jp

 

 いつもの如くとっ散らかった映画評となったけど、非常に良い作品なので皆さんも是非。

 

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・2/8(月)アトロク 746回

■18:00~18:30頃
「オープニング」→ 最新カルチャートピックス

クマス、土日は来週のハーフマラソンの仕込み。

400名以上に上るランナーのプチ情報を仕入れたり。

ダークホースが良い位置につけて来たときのために多くのランナーの情報をストックする必要あり。

 

一方の宇多丸さんは「惰眠しか貪ってない」と自信を持って言えるほどの惰眠ぶり!笑

 

宇多丸さん:アフター

クマス:シックス

宇多丸さん・クマス:ジャンクション!

 

宇多丸さんが惰眠を貪ったのは金曜日に評した『花束みたいな恋をした』がかなり食らったから。

 

収まりきらなかった花束トークについては今週金曜日の別冊アトロクを参照のこと。

 

流行のclubhouseよりも少年隊の楽曲に夢中というクマス。

ストーンズ、キンプリの楽曲を紐解いていくと少年隊のイズムがあると感じられる。

 

RN:ゆうたろうさん

先日の放送を聴いて「少年隊懐かしいな〜」と思っていたら衝撃。

YouTubeで追い始めて今や少年隊を聴かなければ寝られない体に……

 

宇多丸さん:当時は「アイドル」として括られてパフォーマンスや楽曲の出来などについては言及されないことが多かった。

 

カルチャーメール(訃報)

さこたさん

クリストファー・プラマー氏死去。

『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐で知られる。

直近では『ナイブズ・アウト』にも出演。史上最高齢で助演男優賞受賞。

 

宇多丸さん:最近益々存在感を示してきた俳優なだけに残念。

先週高橋さん紹介の『あの夜、マイアミで』を観た。

また、惰眠Day特有?の「番組に何にも関係ない作品」を観た。

先々週は『ノーカントリー』。

先週は『ヴィスコンティ』。

 

U-NEXTの熱のある映画紹介に惹かれてみた。

「オカッパの恐怖」と誤読して久しぶりに鑑賞。

ジョシュ・ブローリンが情けない奴に見えたが、今見ると凄い切れ者。

 

新コーナー「イキり言動」にメール殺到!

紹介しきれないくらい沢山良いメールが来ている。

言葉足らずの紹介だったのではないかと懸念もあったが、リスナーのリテラシーが高く良い投稿が揃っている。

 

ミャンマーの格闘技「ラウェイ」に関する映画について。

先日の「卓球ストーカー」のように人をのめり込ませる何かがある格闘技とのこと。

 

3/26公開。

【映画】“ラウェイドキュメンタリー”が全国順次公開決定、ザ・グレート・サスケも絶賛=3.26より - eFight【イーファイト】格闘技情報を毎日配信!

 

■18:30~18:50頃
「カルチャートーク」→ 西川美和(映画監督)

『すばらしき世界』の紹介。

TBSラジオ内での稼働が多過ぎて同じ質問をしないように質問するのが難しい!やりづらい!

 

初めましての挨拶からスタート。

 

宇多丸さん:西川さんTBSラジオ稼働しすぎですよ!

 

1974年広島出身。映画監督のみならず小説家としての才能も。

 

映画の紹介

1990年公開さ宇崎竜童さんの小説がベース。

長らく手に入らなかったがKindleで読めるようになった。

殺人を犯し13年の刑期を終えた男、刑期を終えて出てきた彼のドキュメンタリーを撮ろうとするテレビクルーのストーリー。

原作ありの作品としては初。

 

実際に会った事件がベース。

素晴らしい作品だが絶版で誰も読んでいない。

そんな作品を再び世に出せるということをモチベーションに作品に向き合った。

天涯孤独の元殺人犯ミカミ。

身元引受人の奥様がご存命で西川監督は何とか会うことが出来た。

本を渡して「読んでおくわ」と奥様は言ったが、直後に亡くなってしまった。

ギリギリのところで映画に出来た。

 

宇多丸さん:次代を置き換えるところに苦労したとのことだが、原作も読むと前半は特に原作のセリフを踏襲しているところが目立った。

逆にそのままには描けなかったところは?

 

西川さん:原作には出所後身寄りのないミカミが極道の下を訪ねるシーンがある。

今は極道の方方が町から追いやられて久しく、時代にそぐわないと感じて描写を改めた。

 

主演役所広司さんのこどまでが作為なのか掴めない絶妙な演技に映画を観た宇多丸さんも映画を撮る西川監督もやられてしまった様子。

 

2/11から全国ロードショー!

書籍執筆も。

撮影に至るまでの過程を描いたエッセイ「スクリーンが待っている」

 

<滅茶苦茶観てみたい!>

 

■19:00~19:25頃
「LIVE & DIRECT」→ 寺嶋由芙

 

 

■19:40~19:55頃
「新概念提唱型投稿コーナー」枠→ イキり・ゲンドウ

合っているのか合っていないのなよく分からないBG笑

気が大きくなったとき人はイキッた、粋がった行動を取りがち。

人間小さく纏まった守りの人生より恥をかいてでもデッカくイキ切る方が良いという、○○イキりを生暖かく見守っていく人間讃歌のコーナー。

先週の段階ではコーナーコンセプトが「イキッたエピを集める」という以外定まっていなかった。

大丈夫かと思っていたが質の高いメールが多く届いた。

 

宇多丸さん:まずは教科書通りのイキり、イキり界のメインストリーム「改造イキり」のエピソード

働く方のももさん

中1の夏の一瞬いきっていた。

学生たちの間で「カマキリ」というチャリが流行っていた。

チョッパーハンドルが特徴。

これを手に入れたとき中学生は「ハンドルが目立った方が格好良い」と思い、改造。

鉄パイプを曲げて作った巨大ハンドルをたたえたその自転車を「キングバッファローと呼ぼう!」と心に決め、車体に「KING B」と書き込む。

「5組にとんでもないカマキリに乗っている奴がいる」と畏怖と共に語られるようになったが、真っ直ぐ走ることすらままならなくなった自転車。

殆どバンザイ常態で自転車に乗っている姿はイージーライダーどころか捕まったチンパンジーのようだと気付き、改造を解いたのだった……

 

クマス:1発目のイキりとして文句なし

 

宇多丸さん:イージーライダーは寄り掛かることの出来る背もたれあってのこと。

また、アメリカの真っ直ぐの道を走るのに適したスタイル。

 

クマス:改造イキりはちょっと分かる。

ミニ四駆やベイブレードが流行った世代。

ベイブレードの金属部<注:ウェイトディスク>を無理やり2枚入れたり

 

宇多丸さん:鞄の改造ってしました?

ウチは鞄が校則で決まっていて、「如何に鞄をぺたんこに薄く加工できるか」というのを誰しもがやっていた。

 

クマス:サブバッグを加工してリュックにするくらいですかね

 

宇多丸さん:鞄を加工するのは校則違反。

熱いお風呂に入れて鞄を柔らかくして加工するのが普通だったが、それでは元に戻らない。

俺らはバネとピンを外せば「ボン!」と膨らむように加工した。

校門付近で抜き打ち持ち物チェックをしているのを見たときにそのピンを外して無加工を装っていた。

 

■20:00~20:45頃
「ビヨンドザカルチャー」→ 西寺郷太の邦楽スーパースター列伝・番外編 ~今聞いてほしい少年隊の名曲トップ5~」

少年隊の楽曲を下の世代のジャニーズグループが歌っていたりする。

曲を聴いて改めて「これ少年隊の曲だったんだ」と知る現行グループファンも。

外出自粛の今こそ観よう!名作映画50選!(vol.2)

本来映画業界の用語だったゴールデンウィーク。にもかかわらず、COVID-19による外出自粛で愛する映画館にも足を運べない。

そんな悔しさから僕の大好きな映画というカルチャーに対して少しでも恩返しがしたい&引きこもりGWを楽しく過ごしましょうという企画第二弾。

今回はハ行からワ行までを紹介する。ア〜ナ行を紹介した前回のエントリはこちら。

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

vol.1公開から二日後くらいにアップする予定だったが、「あつ森」こと「あつまれ どうぶつの森」を買ってしまい全然進まず……気付けばGW残り二日となってしまった。反省反省。

 

ハ:<28>バンド・ワゴン 

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僕はミュージカル映画が大好きなのでvol.1にも『サウンド・オブ・ミュージック』を入れたが、そちらで主人公を演じたジュリー・アンドリュースがミュージカル映画の女王だとすれば、ミュージカル映画の王にあたるのが『バンド・ワゴン』の主演フレッド・アステアだろう。

彼以上に見てくれの良い俳優は数多くいる。

しかし彼ほどダンスのステップが優雅な俳優を僕は知らない。

何者にも代えがたい魅力を作品に添えてくれる存在だ。

彼との共演を熱望していたオードリー・ヘップバーンが『パリの恋人』で共演を果たせたときは大層喜んだというのは有名な話。

本作は落ち目のミュージカル俳優が再度トップスターに返り咲くまでを描いたストーリー。

トーキー映画の登場で落ち目となったサイレント映画の俳優と、一方対照的にトーキー映画の流行に乗ってスターダムを駆け上がっていく新人女優の姿を描いた『アーティスト』という作品が2011年に作られたのは記憶に新しい。

『バンド・ワゴン』は『アーティスト』とは異なり、落ち目のスターが再度栄光の座に立ち戻る様を描いた作品。

両作をセットで観てみると発見があるかもしれない。

 

制作したMGM(Metro-Goldwyn-Mayer )社はハリウッドのミュージカルムービー全盛期を支えたスタジオ。

『トムとジェリー』が始まる前に軽やかな音楽と共に実写のライオンが動く様子が映し出されるが、あれがMGのロゴマークだ。

往年のMGMミュージカル映画が紹介される『ザッツ・エンターテインメント』という作品はミュージカル映画の歴史の教科書とも言える映画なので、これからミュージカル映画を勉強しようという人には良い手引きとなる。

 

 ヒ:<29>昼下がりの情事 

  <30>ヒート 

 

<29>昼下がりの情事 

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『バンド・ワゴン』でオードリー・ヘップバーンに触れたが、本作はそんなオードリーの主演作。

「サブリナパンツ」という言葉を残した『麗しのサブリナ』と同じく、ビリー・ワイルダー監督、オードリー・ヘップバーン主演という布陣。

個人的にオードリー主演作でいちばん彼女の魅力が出ていると感じるのが『ローマの休日』と本作だ。

映画という媒体がこの世に登場して以来、ムービースターは数多く登場したが、オードリーをのように時代を超えるアイコンたりえるスターは今後も登場しないのではないだろうか。

探偵の真似事を頑張ったり、背伸びをして「大人なオンナ」を演じるキュートでチャーミングな彼女の魅力を感じるのに最適な一作。

 

 

<30>ヒート

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ロバート・デ・ニーロという映画好きでなくとも聞いたことのある名優に、『ゴッドファーザー』シリーズで知られるアル・パチーノが共演した最高のクライムサスペンス映画。

そんなダブル主演の名優コンビに『バットマン フォーエヴァー』で主演を、『トップガン』で主人公のライバルキャラを務めたヴァル・キルマーが花を添えるのだから名作にならないわけがない。

本作は銃撃戦シーンの効果音に本物の銃声を用いたことで知られる。

その甲斐あって銃声のリアリティに起因する音の「圧」が凄まじい。

デ・ニーロとアル・パチーノの共演時間こそ短いが、犯罪組織と警察という対立する二つの組織で唯一互いの理解者となりうる二人がすれ違う。

職務を全うするために逮捕しなければいけないが、プロフェッショナルに徹した仕事ぶりにはアル・パチーノが演じるハナも認めざるを得ない。

奇妙な絆の糸を紡ぐ二人のリーダーの一騎討ちのラストシーンは、儚くも美しい。

ナタリー・ポートマンが滅茶苦茶可愛いのも魅力の一つ。

 

「ヒ」からは『127時間』、『光をくれた人』も選出しようかと迷った。

 

 

フ:<31>プレーンズ 

  <32>フォードVSフェラーリ

 

<31>プレーンズ 

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農薬散布機のダスティは飛行機による世界一周レースに挑むという無謀な夢を抱くが、彼には重大な弱点が。

その弱点とは、何と高所恐怖症ということ。

アメリカの法律で農薬散布機は飛行可能な高度が低めに設定されていることを「高所恐怖症」というダスティの個性にしてしまうアイディアに100点満点。

「農薬散布機」という与えられた役割、自分がこの世に生を受け瞬間に敷かれたレールを無視して自分お夢を追いかけるダスティの挑戦心。

社会人になって小さく纏まってしまったなぁと自分のことを分析している人にこそみて欲しいエンパワメントムービー。

カーズシリーズの世界観を踏襲しているので、視聴する際は是非セットで。

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<32>フォードVSフェラーリ

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5/2にレンタル解禁となる新作映画。

史実を元にした作品で、クリスチャン・ベイルとマット・デイモン二大スターの共演作。

vol.1の『ウィンド・リバー』でも名前を挙げたジョン・バーンサルがフォードやクライスラーの経営を救った人物アイアコッカを好演している。

若手の最強格だと思っていたマット・デイモンがいつの間にか人を使う側の人間として描かれていることに時代の移り変わりを感じた。

ルマンで絶対王者として君臨していたフェラーリに大衆車メーカーのフォードが挑む。

それは職人による手工業的な自動車作りのイタリア(フェラーリ)に、巨大資本の工場による車作りのアメリカ(フォード)が挑むという、物づくりの世界的ターニングポイントを描いたものだと捉えることができる。

ただし、そんな構造に見えるアメリカの車作りを動かしているのもまた、キャロル(マット・デイモン)とケン(クリスチャン・ベイル)という二人の生身の人間だというのが非常に示唆に富んでいると思う。

 

ヘ:<33>ベイビー・ドライバー <34>ベン・ハー(1959)

 

<33>ベイビー・ドライバー

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ここまでミュージカルムービーが好きだと言ってきたが、本作は'10年台末に生み出されたミュージカルムービーの新フォーマットと言っても良いかも知れない。

「音楽に彩られた映画」と言うよりは「映画という形式を借りた音楽集」とでも言うべき作品。

劇中で発生する環境音とBGMの打楽器との高度なシンクロ、「これぞハリウッド!」と喝采を送りたくなるような激しくもスタイリッシュなカースタント。

映画とは画と音の芸術であるという事実を観る者に思い出させてくれる最高の作品。

 

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<34>ベン・ハー(1959)

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もしも僕が現役の映画クリエイターとして仕事をしていて、未視聴の状態でこの映画を観たら仕事をつづける自信を喪失するだろう。

それ程までに圧巻の映像美。

有名な戦車戦のシーンは一体どうやって撮ったのだろうか……そして何人のスタントマンが怪我を負ったのだろうか。

また、圧倒的な人数のエキストラにも注目。

今の時代に同じ映像を作ろうと思っても作れないんじゃないだろうかと思うほどの作品。

この作品を評するのに「凄い」や「素晴らしい」という言葉は適切ではない。

「凄まじい」と言う言葉が似合う作品だ。

 

ホ:<35>ボヘミアン・ラプソディ

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伝説的ロックバンドQUEENのボーカル・フレディ・マーキュリーの伝記映画。

僕はもともとQUEENが好きなのでこの作品が大好き。

しかし周りに目を向けるとQUEENに対して特に思い入れのない映画好きも、映画マニア以外の人間も本作に感動したという人は多かった。

どのQUEENベストアルバムよりもBEST OF QUEENといった珠玉の名曲に彩られた幸福な時間が、が萎縮自粛で塞ぎ込んだ気持ちを吹き飛ばしてくれることだろう。

 

マ:<36>マグニフィセント・セブン <37>マイ・インターン

 

<36>マグニフィセント・セブン

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『七人の侍』でも触れた作品。

黒澤明監督の『七人の侍』(1954)は世界各国のクリエイターに影響を与え、『荒野の七人』(1960年)を生んだ。この作品の原題は“THE MAGNIFICENT SEVEN”であり、2016年に同タイトル“THE MAGNIFICENT SEVEN”(邦題『マグニフィセント・セブン』)として新たな作品が作られた。

少数の精鋭が村人を訓練し、圧政を敷く権力者を退ける。「弱きを助け強きを挫く」という大枠はそのままに、現在という時代に相応しくアップデートされたアクションは痛快そのもの。

vol.1でお勧めした『イコライザー』でも主演を演じているデンゼル・ワシントン、MARVEL CINEMATIC UNIVERSEの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で主演のスター・ロード役のクリス・プラット、『ガタカ』など数多くの作品で知られるイーサン・ホーク、言わずと知れたアジアン・ムービースターのイ・ビョンホンなど名優たちが銀幕を彩る。

仕様違いのBlu-rayをいくつも買ってしまうほど大好きな作品。

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本作に関する過去のエントリはこちら。

eibunkeicinemafreak.blog.fc2.com

 

<37>マイ・インターン

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ロバート・デ・ニーロ&アン・ハサウェイというどんなに映画や洋画に興味のない人間でも聞いたことのある超ド級の名優二人による胸躍る共演。

マフィア役や半狂人のような役も多く演じてきたデ・ニーロだが、本作の穏やかな役がなんと彼にマッチしていることか……

服装自由な会社の中におけるスーツという彼の装いの格好良さ、生き様から伺える誠実な人柄。見ればいろいろな発見があるはず。

面白いのはイケイケのIT企業が舞台の作品にもかかわらず、Apple Watchが影も形もないこと。

2015年という比較的最近の作品なのに、5年前はApple Watchって全然存在感がなかったんだなぁと気づかされる。

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ミ:<38>見えない目撃者

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和製スリラー映画の最高峰なのではないだろうか。本作で「女優・吉岡里帆」の真髄を見てほしい。

事故で視力を失った元警察官のなつめが「目撃」したスケボーと自動車の接触事故と、その自動車の中から彼女が聞いた助けを求める女性の声。

スケボー少年を見つけたなつめは彼に事情を聞こうとするが、協力を得られない。

次第に両者が歩み寄ってバディとして犯人を追っていく過程が非常に面白い。

ゴア(残酷な)描写に耐性のない人は要注意。

僕も結構ダメージを食らった。

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ム:<39>ムービー43

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14篇の短編によって構成されたコメディ・アンソロジー作品。

リチャード・ギア、ヒュー・ジャックマン、ケイト・ウィンスレット、エマ・ストーン、ハル・ベリー……

綺羅星の如きスターたちが「ムダ遣い」されまくる作品。

ヒュー・ジャックマンの登場する短編が酷すぎて、観ている間中涙を流して笑い転げた。

全編をお勧めできるわけではないが、あなたも大受けできる作品がきっとある。

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メ:<40>名探偵ピカチュウ

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劇場版名探偵コナンシリーズから選んでも良いかと思ったもののピカチュウで。

僕はポケモン第一世代直撃世代なので、赤緑(青黄)に登場した151匹のポケモンに対する思い入れが強い。

本作は最初の151匹がかなり優遇されていてメインターゲットとして意識されているのではないかと感じた。

特に小学生の頃からの推しポケであるフシギダネが他の御三家と比べて優遇されていた(ように感じた)のは嬉しかった。

同年、同じ3DCGのポケモンセク品として『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』という作品が公開された。こちらはオリジナル版の完全なる焼き直しで何も新発見がないという酷い作品だったが、本作は新たな発見に溢れていて非常に見応えがあった。

特にリアルすぎるくらいリアルに描写された各ポケモンの毛並み表現と、現実の僕らの世界に溢れる見慣れたポケモンのイラストが同居しているのが衝撃的だった。

本作の作品世界に登場する「動物」としてのポケモンを「キャラクター」としてリデザインする際にあのツルッとしたイラストに落とし込んでいるという解釈には膝を打った。

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vol.1で紹介した『アバウト・タイム』のとあるキャストも登場しており、嬉しくなったのも思い出深い。

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モ:<41>モスラ

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『ゴジラ』、『空の大怪獣ラドン』を紹介したのでもうここは勢いで。

東宝怪獣ユニバースの最後を飾る怪獣。

昭和の東宝怪獣映画はシリーズを増すごとにその設定がグダグダになっていくことが多く、モスラにおいてもそれは例外ではない。

しかし本作はモスラの登場する第1作目ということでモスラとその出身地(?)であるインファント島に関する設定がしっかりしている。

当時の撮影技術ではものすごく頑張っていたであろうことが窺える特撮シーンを現在の目で見てみるのも一興だと思うので、幼少の頃に観て以来本作に触れていないという人はいかがだろうか。

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ヤ:<42>山猫

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1963年公開の映画であることに加え伊・仏合作映画ということで、古い映画である上にハリウッド的なストーリーテリングの文法から外れているために若干観づらく感じる部分もあるかもしれない。

三時間を超える超大作なためなかなか鑑賞に踏み出しづらい作品だが、外にも出られない今だからこそこんな作品に触れてみるのはいかがだろうか。

イタリアの貴族文化の黄昏を描いた作品ということで精緻を極める衣装や美術の美しさには誰もが圧倒されることだろう。

どこのVODサービスでも配信していないらしいのが残念。

 

ユ:<43>遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS

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ミレニアル世代の方、必見。

俺たちの大好きだった遊戯王が帰ってきた。

あのバトルシーンのドライブ感、直接拳を交えないライバルたちが拳以上に魂で殴り合うアツさ。最高だ。

声優たちの演技のテンションの高さが、本作がファンからはもちろん演者からも大変愛された作品であることを物語っている。

「大人になって遊戯王はなぁ……」

そんなふうに思って本作をスルーした人はいないだろうか。

これを機会に配信や円盤で本作に触れたとき、劇場に足を運ばなかった自分を殴りたくなるはずだ。

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ヨ:<44>用心棒

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監督:黒澤明×主演:三船敏郎=最強 の法則。

時代相応にキャラクター描写に古さはあるが、それを補って余りあるパワーを持った作品。

三船のどっしりとした男臭い演技の格好良さは言うに及ばず、仲代達矢の色気を纏った演技も最高に格好良い。

CGもなければ色さえついていないこの古い作品がなぜこんなにも面白いのか。

エンタテインメントのあり方を考えさせられる作品。

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ラ:<45>ラストベガス

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デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、マイケル・ダグラスの共演作というだけで映画ファンなら胸が躍る。

お爺ちゃんたちによる『ハングオーバー!』とでもいうべき作品で、幼少の頃から仲の良かった四人がこの年でバチェラー・パーティを開くということで再会するところから始まるストーリー。

しかしマイケル・ダグラスとデ・ニーロは過去のいざこざから反目してあっており、その関係の行く末を見守る気持ちで物語を追ってしまう。

男同士の馬鹿馬鹿しくも美しい友情を描いた作品が大好きな人にはハマるはず。

前述の『ハングオーバー!』が好きな人は必見。

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リ:<46>リトル・マーメイド

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ディズニーのVODに入ったことをきっかけに観直した作品。

幼少期、フランダーが大好きだった。

本作のアースラは『101匹わんちゃん』のクルエラと並んでディズニーのヴィランの中でも非常に好きなキャラクターだ。

1980年台は一部でディズニーの暗黒時代とも呼ばれる不発の時代であったが、1989年本作をもってディズニー作品は再び銀幕のアニメーション作品の主役に返り咲く。

1995年に『トイ・ストーリー』が登場する6年前の作品ということで、熟達した手描きアニメーションの極地ともいえる波や泡の表現は非常に見もの。

『モスラ』同様、幼少期に観て以来しばらく触れていないという人も多いのではないかと考え、選出してみた。

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ル:<47>ルパン三世 カリオストロの城

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金曜ロードショーが困った時にはとりあえず本作を流しているような気がするが念のため。

『ルパン三世』劇場版2作目にしてあの宮崎駿監督がメガホンを取った作品として知られている。

宮崎駿監督作品ということでキャラクター造形が宮崎テイストに寄りすぎているきらいがあり、実はルパンファンほど本作を受け入れない人間が多い。

特に「銭形警部はあんなセリフを言うキャラではない」というのは複数のルパンファンから聞かされただけによほど違和感があるのだろう。

とは言え僕はルパンの格別なファンというわけではないのでそんなことは良いのだ。

いかにも宮崎アニメのヒロインという風合いのクラリスのキャラクターは非常に好感が持てる。

CMを挟まずに本作を観たことがないという人が大半だと思うので、一息に本作を鑑賞してみるのもお勧め。

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レ:<48>レオン

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「お勧め 映画」というワードで検索をかければいくらでも該当記事が見つかるだろうが、それらの記事において本作が登場する確率は非常に高い。

映画ファンであれば誰もが触れたであろう作品。それが本作だ。

ベタ中のベタな作品だが、一本の映画として非常に素晴らしいのはもちろん、ナタリー・ポートマンの大ファンの僕が本作を選ばないのはあり得ないということで選出。

『ハリー・ポッター』シリーズでジェームズ・ブラック役を演じたことでミレニアル世代にはなじみ深いゲイリー・オールドマンの怪演はファンには語り草なため、本作を見る前にとあるシーンをSNSで目にしたことのある方も多いのではないだろうか。

映画ファン的には本作はある種の共通言語のようなものなので、見ていない人がいたら是非この機会に。

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ロ:<49>ローマの休日

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世界で最もよく知られたラブストーリーではないだろうか。

それでいて観たことが無いという人も一定数いそうな作品。

本作を観れば誰もがオードリーに恋に落ちる。

「銀幕の妖精」という言葉が決して大袈裟なものではないと理解できるだろう。

それどころか大仰に聞こえるこの言葉すら、オードリーの魅力を伝えるには不十分であるとすら思える。

白黒映画だが、色など不要と言わんばかりに炸裂するオードリーの気品と可愛らしさ、美しさ。

驚き、笑い、涙する彼女の表情を追うだけでも価値がある。勿論、一つの作品としても傷のない名作。

オードリー・ヘップバーンの入門作品として是非。

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ワ:<50>ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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50作目は観る人を選びそうな作品。

タランティーノ監督の優しさに溢れた作品であり、映画監督という職業と彼の作風だからこそ描くことのできた作品だ。

魅力を語るため、過去のエントリで書いた内容を以下に引用する。

 

この作品を語る上で僕にとって大きい存在感を放っていたのはTBSラジオ『アフター6ジャンクション』のパーソナリティ宇多丸さんによる監督インタビューだ。
 
このインタビューで宇多丸さんの語った「映画で現実と戦う」というタランティーノ監督の姿勢。
「シャロン・テートという人物を話題に出すとき、人は皆あの凄惨な事件を思い出す。僕の映画で彼女を救いたかった」というその優しさが凄く心に刺さった。
 (中略)
思わず「やりすぎでしょ!」と言いたくなるような暴力描写はあるが、その描写も実際に起こった凄惨な事件の恐ろしさを示唆していると考えれば納得もいく。
 
最後の最後にリックが火炎放射器でヒッピーの悪漢を蹴散らすの様は爽快さすら感じる。
あの描写一つで見事にシャロン・テートを暗い事件から救済して見せた。
タランティーノ監督、あんたスゲーよ。

 

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ヲ:※該当なし

ン:※該当なし

 

以上、50作。

思いつきで始めた企画だったが、やってみたら滅茶苦茶大変だった…… 笑 

 

GWも残り僅かだが、外出自粛は5月末まで延長されたので、僕の紹介した50作を自宅で鑑賞していただければ非常に嬉しい。

 

このエントリをきっかけに映画を鑑賞したという人は感想を聞かせていただければ嬉しい。

良い映画ライフを!

外出自粛の今こそ観よう!名作映画50選!(vol.1)

新聞を読んでいてもテレビをつけてもSNSを眺めていても、どこもかしこもコロナコロナで気が滅入る日が続いている。

外出自粛が叫ばれて久しい昨今、こんなに外に出ないゴールデンウィークは過去になかったと思う。

さて、この「ゴールデンウィーク」という単語、実は映画業界から生まれた単語であるということはご存知だろうか。春の大型連休中に公開された映画が非常に良い興行収入を叩き出したため、翌年から同時期を「ゴールデンウィーク」と銘打って宣伝を打ったというのがこの用語が使われるきっかけになったというのが通説だ。

特定の企業や特定の業界の宣伝になってはいけないということで、NHKでは「ゴールデンウィーク」という言葉を用いず、「大型連休」という言葉を採用している。

 

そんな映画業界にとって掻き入れ時ともいえるゴールデンウィーク(以下GW)。

しかし今年のGW、僕ら映画ファンは新型コロナウイルスの影響で映画館に行くことすら出来ない。

 

この時期に映画に触れることができないのが映画ファンとして非常に悔しいので、配信サービスで観ることのできる映画作品でおすすめのものを紹介していこうと思う。

50音順で50作品を紹介しようと思うので、長くなるけれどもお付き合いをば。

あまり変化球は投げず、ど真ん中ストレートのメジャーどころ作品もバンバン投げていこうと思う。

コンセプトは誰が観ても楽しめる(と僕が思う)名作50選ということで、アイウエオ順にそれぞれタイトルを振り分けて紹介していきたい。

50音表上で該当なしの箇所もあったので、それらの不足分を補うために2作品紹介する音があるので予めご了承を。

(ヌ・ヲ・ンが該当なしとなった音。また、ヤ行ワ行は2音少ないので50音表は全部で46音となる。よって左記の3音と不足した4音を合わせて7音を追加で紹介する)

 

各作品にPrimeVideoのリンクを貼っておくので、興味があればそちらから鑑賞をば。

量がありすぎるので2分割してお送りしようと思う。まずはvol.1!

 

ア:<1>アベンジャーズ

  <2>アバウト・タイム

 

<1>アベンジャーズ

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アベンジャーズ (吹替版)

アベンジャーズ (吹替版)

  • 発売日: 2013/12/19
  • メディア: Prime Video
 

 本当は『アベンジャーズ/エンドゲーム』にしようかと思ったが、とっつきやすさということで一作目の『アベンジャーズ』で。

何を隠そう、僕は地上波放送されていた『アイアンマン』一作目以外を観たことのない状態で本作からMCU(MARVEL CINEMATIC UNIVERSE)に入った。

各キャラクターの関係も能力もわからないままみた本作が非常に面白くてMCUの世界にどっぷりハマったので、是非本作からこの素晴らしい世界に飛び込んでほしい。

同じ「ア」枠のMCU作品の中では『アイアンマン』『アントマン』もおすすめ。

 

<2>アバウト・タイム 

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ドーナル・グリーソンとレイチェル・マクアダムスの共演作。

21歳の誕生日を境にある能力を身につける一家に生まれたティム。

偶然出会ったメアリーに一目惚れした彼は、彼女の心を射止めるために手を尽くす。

中盤はそんなティムとメアリーの愛にフォーカスした作品となるが、終盤はティムと父親の比重が高まる構成。

家族愛をこれほど嫌味なく、また説教臭くなく描いた作品も少ないのではないだろうか。

しれっと登場しているマーゴット・ロビーの瑞々しい美しさにも注目。

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ (字幕版)

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ (字幕版)

  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: Prime Video
 

 

イ:<3>イコライザー

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イコライザー (字幕版)

イコライザー (字幕版)

  • 発売日: 2015/02/11
  • メディア: Prime Video
 

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 学校生活中「この教室に突然悪漢が襲いかかってきたらどうやって敵を倒すか」という妄想を抱いたことのない男子はいないと言われている(僕調べ)が、そんな妄想を抱きやすい場所の一つに挙げられるのがホームセンター。

そんなホームセンターに元CIA捜査官を掛け合わせると、こんなにも痛快な復讐劇を描くことができるのかと感激することしきりな本作。

娼婦として登場するクロエ・グレース・モレッツとデンゼル・ワシントンのダイナーで繰り広げられる会話の温度感が素晴らしい。

なお、本作と続編でデンゼル・ワシントンが演じる主人公・マッコールさんが着けている時計はお小遣いで買える値段なのでおすすめ。

 

(旧ブログにアップした記事、引越ししたいなぁ)

eibunkeicinemafreak.blog.fc2.com

同じ「イ」からは『E.T』なんかも良い。

 

ウ:<4>ウインド・リバー

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必要最低限のBGMのみが彩る無音のエンターテインメント。

メンターのジェレミー・レナー、トレーニーのような役回りのエリザベス・オルセンという関係がMCUファン的に最高!

しれっと登場しているジョン・バーンサルも良い。

作品としての素晴らしさと同時に、僕たちが生きるこの世界で現実に存在する問題の大きさを感じるメッセージ性に富んだ作品でもある。人生で一度は観てほしい。必見。

 

ウインド・リバー(字幕版)

ウインド・リバー(字幕版)

  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: Prime Video
 

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エ:<5>エイリアン

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2作目の世間の評価が非常に高いため観てみようという気もあるが、本作の完成度が高すぎるために続編を観ることができずにいる。

エイリアンが迫りくる恐怖がこれでもかというほど丁寧に描写されているにも関わらず、エイリアンがスクリーンに登場するのはごくわずかな時間のみ。

よって船内で起きた凄惨な事件が何者によってもたらされたものなのかわからないままストーリーが展開して行くのがより一層恐怖を掻き立てる。

SFスリラーの最高峰。

 ビッグチャップ(エイリアン)の造形の素晴らしさも特筆もの。芸術品の風格すら漂う、映画史上に残るクリーチャーデザインの到達点と言っても良いだろう。

エイリアン/ディレクターズ・カット (字幕版)

エイリアン/ディレクターズ・カット (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

オ:<6>おとなのけんか

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個人的にジョディ・フォスターのベストアクト作品。

そして僕が最も好きな密室劇作品の一つ。

他の場所がほとんど映らない密室劇ということで凝ったカメラワークなどにも頼ることができず、必然的に演者四人の演技力だけで魅せる作品ということに。

上映時間は80分というコンパクトな作品ながら、俳優陣の抜群の演技力に大満足でき、お腹を抱えて笑うこともできる作品。

強くおすすめできる作品。

おとなのけんか (字幕版)

おとなのけんか (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

カ:<7>カーズ

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レースで名声を得たスピードスターのライトニング・マックィーンが一度落ちぶれ、田舎街から再起するストーリー。

ジョン・ラセターの監督作にして僕の大好きなオーウェン・ウィルソンの出演作ということも一押しポイント。

兎にも角にもこの作品を支える世界観が最高なので、「子供向けなんでしょ?」などと切って捨てずに是非とも観てほしい。

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カーズ (吹替版)

カーズ (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

キ:<8>キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー

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こういうおすすめ作品を挙げる際に第二作目を挙げるのはどうかと思いはしたが、自分の大好きな作品だったので挙げざるを得なかった。'10年代最高峰のアクションムービーにしてヒーロームビーの新機軸を打ち出した大傑作。

何人かでアベンジャーズの話をしていると「キャプテン・アメリカって弱くね?」という輩が必ずいる。

そいつは多分この作品を観てもいないに違いない。

この作品を観れば誰でもわかる。キャプテン・アメリカは強いのだ。

本作を撮ったアンソニー・ルッソとジョー・ルッソ兄弟は映画ファンからの評価が抜群に高い人物なので、この作品で彼の魅力に触れて、是非ともあなたも「ルッソブラザーズの撮るアクションシーン最高だよな!」と映画好きの友人に言ってみてほしい。

きっと良い反応を返してくれるはずだ。

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー (字幕版)
 

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ク:<9>グレイテスト・ショーマン

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最初から最後まで画面に釘付けになる極彩色のエンターテインメント大作。

豊かな楽曲、ヒュー・ジャックマンの素晴らしい演技、今や映画ファンの中に知らぬ者はいないほどの女優に成長したゼンデイヤの存在感。

脚本にアラがあるという人もいるが、そんなものをねじ伏せられるに足るだけのパワーを持った作品だ。
映画ファンの中で本作を未視聴という人はほとんどいないだろうが、映画ファンではないけど何かGW中に作品を視聴したいなぁと考えている人に特におすすめの一本。

 

グレイテスト・ショーマン (字幕版)

グレイテスト・ショーマン (字幕版)

  • 発売日: 2018/05/09
  • メディア: Prime Video
 

 

ケ:<10>劇場版デジモンアドベンチャー

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「劇場版」というのを「ケ」に充てるのも反則な気もするが、是非とも紹介したくねじ込んでみた。

ミレニアル世代の僕らが日曜朝に熱中したアニメ作品『デジモンアドベンチャー』。

本作はそのテレビ版の前日譚となる話。

わずか20分という短い時間の中に主人公である太一とコロモンとの遭遇、パロットモン来襲による怪獣映画的な市街地及び建造物の破壊の描写、グレイモンとパロットモンによる怪獣プロレス。様々な要素が重層的に組み合わさり、鑑賞時間からは想像できないほどの満足感を味わえる。

後に『時をかける少女』(2006)、『サマーウォーズ』などを手掛けることになる細田守監督のフィルモグラフィ初期の名作。オススメ。

デジモンアドベンチャー

デジモンアドベンチャー

  • 発売日: 2015/09/30
  • メディア: Prime Video
 

 

コ:<11>ゴジラ

  <12>ゴーンガール

<11>ゴジラ(1954)

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 第二次大戦終結9年後に作られた本作。

以後半世紀以上に亘って愛されるゴジラシリーズだが、正直なところを言ってしまえば第一作目である本作を超える完成度、メッセージ性を持った作品はないと断言しても良いと僕は長らく考えていた。

2016年の『シン・ゴジラ』の登場をもって本作に比肩する完成度・メッセージ性を持ったゴジラ作品が登場したが、本作が今なお色あせることのない魅力を讃えた作品であることを疑う余地はない。

本作の存在なくして、今や名監督となったギレルモ・デルトロをはじめとする数々のクリエイターは存在しなかったかもしれない。現在活躍するクリエイターへの影響力の大きさを考えても、本作を無視して現在の映画文化を語ることなどできようはずもない。それほどに大きな作品なのだ。

「白黒映画」、「怪獣映画」。本作を構成する二つの要素に強い反発を持つ人がいることは理解できる。しかし、その偏見を捨てて一歩踏み出し、是非本作を鑑賞してみてほしい。

60年以上前に作られた作品とは思えぬほど豊かな映画が、そこにある。

ゴジラ

ゴジラ

  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: Prime Video
 

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※同名タイトルで1984年版の『ゴジラ』、1998年のトカゲのような見てくれのハリウッド版『ゴジラ』、2014年のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』が存在するが、一番面白いのは今回紹介している1954年版なので白黒だからと好き嫌いせずに是非観てほしい。

 

<12>ゴーン・ガール

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緊迫感に満ちた作品構成で紛う事なき名作。

カップルで観るのはあまりオススメできないが笑

現実世界に於いてパパラッチされた写真などを見ているとたまに死んだような目をしている主演のベン・アフレック。

本作ではそんな彼が役柄に見事にマッチしていた。

観終わったら誰もが「こ、こいつ怖ぇ〜!」と思うこと請けあい。

 

この作品に登場したエミリー・ラタコウスキーは類い希なプロポーションで日本国内の女性人気も徐々に高まって来ている人物。

もう既に一流のセレブの彼女だが、これからもっと人気になっていくはずなので要チェック。 

ゴーン・ガール (字幕版)

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  • 発売日: 2015/03/06
  • メディア: Prime Video
 

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サ:<13>サウンド・オブ・ミュージック

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ドーナツなどが登場する「ドレミの歌」に触れずに育ったという人間は日本にいないのではないかと思う。

そんな誰もが知っている「ドレミの歌」が、今から僅か60年ほど前に作られた曲だというのことはご存知だろうか。

この曲が作られるきっかけこそ、本作『サウンド・オブ・ミュージック』の原作ミュージカルなのだ。

豊かな自然とそして優雅な音楽に彩られた本作をミュージカル映画の金字塔と評することに異論を唱える者はいないだろう。

 

主演を務めたジュリー・アンドリュースはブロードウェイミュージカルとミュージカル映画を語る上で欠かせない存在。

ブロードウェイで彼女が主役を演じた『マイ・フェア・レディ』は大変な人気となり、映画化の話が。

その際、当然主演はブロードウェイでも主演を張ったジュリー・アンドリュースが務めるものと思われたが、色々とあって主演はオードリー・ヘップバーンに。

『マイ・フェア・レディ』の米日公開年は64年、『サウンド・オブ・ミュージック』の米日公開年は65年。

彼女がどんな気持ちで本作で主演を務めたのか、その心境に思いを馳せながら本作を鑑賞するのもまた一興。

サウンド・オブ・ミュージック (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

シ:<14>七人の侍  

  <15>シェフ 三ツ星フードトラック始めました

 

<14>七人の侍

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一作に絞るのが一番苦労したのが「シ」。そんなわけで二作選出。

一作目は『七人の侍』。昨年、富野由悠季監督が舞台挨拶で面白い邦画の一例として挙げていた。

モノクロ映画の画面に映えるよう、セットに降らせる雨に墨汁を混ぜたというのは映画ファンであれば誰もが知っている逸話だろう。

 

主人公が圧政に喘ぐ村人に助けを求められ、その主人公が集めた少数の実力者が村人に戦い方を教えて巨悪を挫く、という本作のプロットの素晴らしさは、このプロットを流用した作品が現在に於いても数多く作られている事実からも伺えるだろう。

『荒野の七人』、『マグニフィセント・セブン』は言うに及ばず。

スターウォーザー歓喜のスピンオフドラマシリーズ『マンダロリアン』第四話「楽園」に於いてもこのプロットが活かされている。

一撃必殺の威力を誇る恐怖の兵器である種子島が西部劇の世界でマシンガンに姿を変え、『マンダロリアン』第四話に於いてはAT-STとなったのは映画ファンとしてもスターウォーザーとしても思わず膝を打ってしまった。

 

七人の侍

七人の侍

  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: Prime Video
 

なお、録音環境がよくなかったのか、本作では台詞が不明瞭な箇所が多い。

日本語字幕に設定してから鑑賞することも良いだろう。

  

<15>シェフ 三ツ星フードトラック始めました

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ジョン・ファブロー監督・主演作。

主人公カールは一流のシェフだったが、とある理由から長年勤めた職場を離れることに。

そんな彼が再起をかけて取り組んだのがフードトラックだった。

スカーレット・ヨハンソン、ロバート・ダウニーJr.の二人とファブローが共演するのは、同じくファブロー監督作にして彼自身が助演している『アイアンマン2』を想起させる。

ファブロー組の2大俳優と言っても良いだろう。

そんなファブロー組に彩りを加えるのが名優ダスティン・ホフマン。

 

一人の男が料理人としての再起し、父親として親子関係を再生して行くストーリー。

僕は初見時大泣きしてしまった。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました (字幕版)

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  • 発売日: 2015/05/13
  • メディア: Prime Video
 

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各種メディアで人気映画を語ると必ずと言って良いほどランクインする名作『ショーシャンクの空に』も勿論思い浮かんだし、僕のオールタイムベストに入るミステリー作品『情婦』もおすすめしたかった。

「シ」で始まる作品には名作が多いようだ。

 

ス:<16>素晴らしき哉、人生!

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 一つのエントリでこの言葉を連発しても重さがなくなるが、僕のオールタイムベスト作品の一つ。

白黒映画と侮ることなかれ。最高の感動を与えてくれる作品。

映画館で感動して涙を流すことはあっても、嗚咽するほどに泣いてしまったのは本作が初めてだった。

公開当時の評価はさほど高くなかったようだがその後評価を上げ、アメリカではクリスマスムービーの定番となっている作品らしい。

誰の人生にも等しく価値があると気付かせてくれる作品で、自己肯定感を高めてくれる。

泣きすぎて頭痛を起こさないよう注意。

素晴らしき哉、人生!(字幕版)
 

 

セ:<17>ゼロ・グラビティ

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最高の作品にして最低の邦題を付けられた作品として永遠に日本の映画ファンに語り継がれるであろう作品。

「宇宙という限りなく広い空間で繰り広げられる密室劇」という矛盾した表現がこの作品を表すのに最も適した言葉だと僕は思っている。

主人公の感じる不安や焦燥感がここまでダイレクトに視聴者にも伝わる作品は決して多くはない。

本作は映画館で観てこそ魅力が最大限に伝わる作品だと思うが、自宅鑑賞する際はできるだけ大きな画面で部屋を暗くしして液晶画面の光のみで作品に没頭することをオススメする。

引越し前のブログのエントリで過去の僕がこの作品の魅力を十分に語っているので、リンクを貼っておく。

eibunkeicinemafreak.blog.fc2.com

7年前の僕の方が熱量を持った文を書いていた気がしてならない……

 

ゼロ・グラビティ(吹替版)

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  • 発売日: 2014/04/09
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 ソ:<18>空の大怪獣ラドン

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という表記に時代を感じるが、作品の面白さは折り紙付きなのでご安心を。

今やマーベルコミックを原作とするMCUの大成功を受けてワーナーもDCコミックス原作諸作品をもとにしたDCFU(DUEUとも)というユニバース構想を打ち出したり、ユニバーサル・ピクチャーズはダーク・ユニバース構想を打ち出して『ザ・マミー』という駄作を生み出したりしているが、実は東宝が半世紀前にユニバース構造の映画を生み出しているということをあなたはご存知だろうか。

モスラ、ラドンはゴジラの敵という印象が強く、事実僕も幼少の頃はそんな印象を抱いていたが、実はこの二つの怪獣はゴジラとは独立した単独作がある。

それが『モスラ』(1961)と本作『空の大怪獣ラドン』(1956)だ。

1964年4月にまず『モスラ対ゴジラ』で二大怪獣が合流し、同年12月の『三大怪獣 地球最大の決戦』でタイトル通り三大怪獣ブランドが合流、最大の脅威であるキングギドラと対峙する。

『ゴジラ』(1954)は白黒映画であるというハードルがあるが、本作はカラー映画なので幾分ハードルが下がるのではないだろうか。

特撮技術も非常に高く「一体どうやってこのシーンを当時の技術で撮ったんだろう」と思うシーンもあれば、それでいてワイヤーで釣られた愛おしいラドンの姿を見ることもできる。

町々を破壊する怪獣同士の大迫力バトルも面白いが、怪獣単独作はパニックムービーの要素もあり、違った面白さがある。

意外としんみりしたラストシーンは、怪獣映画に対するあなたの固定観念を覆してくれること請け合いだ。

 

空の大怪獣 ラドン

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  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video
 

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タ:<19>ダンス・ウィズ・ウルブズ

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映画の評価軸に「面白い」「感動」「楽しい」などの要素の他に「豊かさ」というものがあると教えてくれた作品。

鑑賞中、「何と豊かなんだろう」という感想ばかりが漏れる作品だった。

ケビン・コスナーの監督・主演作ということで、映画人である彼の価値観が随所に現れているように思う。

フロンティアがなくなる前に見ておきたい、とネイティブアメリカンの生活域と隣接した地域への派遣を自ら願った男と、気高きネイティブアメリカンの交友録。

自然とともに生きるネイティブアメリカンの生活を見ていると、物質的には豊かであろうはずのアメリカ側がなんと貧しく見えることか。

「アメリカ人」の視点で「アメリカ合衆国」を相対化して見せた作品の持つパワーを遺憾無くフィルムに収めたケビン・コスナーに最大限の賛辞を贈りたい。

ダンス・ウィズ・ウルブス [Blu-ray]

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  • 発売日: 2009/12/09
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※prime videoに作品がない珍しい作品。BD販売ページのリンクを貼る。

 

チ:<20>ちはやふる 上の句

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平成最高のスポ根作品にして、日本映画最高のトリロジー(三部作)作品。

STAR WARSオリジナルトリロジーとBACK TO THE FUTUREに比肩しうるパワーを持ったトリロジーなどこの世には存在しないというのが長年の持論だったが、まさか国内作品からそんな作品が出てきてしまうとは……

『上の句』、『下の句』の二部作が大凡1ヶ月差で連続公開され、その大ヒットを受けて続編となる『結び』が2年後に公開された。

当初2部作構想であったため、新たに付け加えられた3作目が蛇足になりはしないかと不安もあったが、そんな杞憂を吹き飛ばす最高の3作目となった。

そんな三部作作品の記念すべき一昨目『上の句』をおすすめしたい。

本作を見るまで広瀬すずというタレントを完全に誤解していた。

ネットを中心に照明さんをディスった世間知らずの若手タレントというイメージが先行してしまった彼女だが、もしあなたがそのような誤解を抱いているのなら是非本作を観てほしい。

あなたは「女優・広瀬すず」の真価を見ることになる。

ちはやふる-上の句-

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  • 発売日: 2016/08/21
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ツ:<21>月の輝く夜に

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男性ホルモンが服着て歩いていますというような若き日のニコラス・ケイジが良い。

パン焼き職人にその筋肉は必要なのか?と問いたくなるようなムキムキの筋肉も見どころ。

イタリア系アメリカ人が現地でどう暮らしているのかというのを感じることができる作品で、多民族国家アメリカを理解する一助となる作品。

 

MOONSTRUCK

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テ:<22>デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!

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「ケ」で『劇場版デジモンアドベンチャー』を紹介したのは本作とセットで鑑賞して欲しかったから。

本作も細田守が監督を務めている。

電脳世界にいるデジモンたちの主線をオレンジで縁取る手法は後に『サマーウォーズ』においても踏襲されている。

というかプロットから各種演出に至るまで『サマーウォーズ』は本作の焼き直しの感が強いとデジモンファンのボクには見えてしまう。

この頃東映アニメーションは自社コンテンツを複数作まとめて劇場にかけるという戦略をとっており、本作も『ワンピース』の劇場版と同時公開された。

故に上映時間が短くなっているが、上映時間が短い故に密度の高い息吐く暇もないスピーディーなストーリー展開で魅せる作品になっている。

本作でいい感じだった太一と空が続編の02でくっつかなかったのが当時の僕にとって滅茶苦茶衝撃的だった。

「島根にパソコンなんかあるわけないじゃん!」というネットスラング?の元ネタでもある。

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム

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  • 発売日: 2015/09/30
  • メディア: Prime Video
 

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ト:<23>透明人間

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『千と千尋の神隠し』の地上波放送とセットで放送された本作を観て度肝を抜かれた。

スタジオポノック恐るべし。

短編作品ということで非常に観やすく纏まっていながらメッセージ性に富んだ作品。

過去に書いたエントリでその魅力を十分に語っているので、気になる方はどうぞ。

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

 この作品の最大の魅力は、主人公たる透明人間は自分なのではないかと視聴者に思わせてしまえる語り口の鮮やかさだろう。

未見の方でhuluに加入している方、必見。

ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-

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  • 発売日: 2019/03/20
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ナ:<24>ナイトミュージアム

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誰が言ったか「大人のトイストーリー」という評価が実に本作を痛快に言い表している。

見進めるたびに玩具箱のように次々とワクワクが飛び出す作品で観ていて飽きない。

『ジュラシックパーク』一作目で描かれたティラノサウルスを観て怪獣映画的ティラノサウルスを描くにあたって恐ろしさの演出はピークを迎えたように思う。

一方本作でティラノサウルスの標本骨格が動き出すシーンはコミカルさが際立っていて見るものを楽しませてくれる。

『ボヘミアン・ラプソディ』で主演を演じたラミ・マレックが出演していたりするので注目。

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ニ:<25>ニュー・シネマ・パラダイス

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正直僕の好みではないのだけど、ファンも多いし一度は見ておくべき名作ということで挙げてみた。

いくつかバージョンがあるが、「オリジナル版」、「ディレクターズカット版」はかったるいシーンが多いので自宅鑑賞では高確率でダレる。

冗長なシーンがカットされた「インターナショナル版」が1番のオススメ。

最近読んだ小説でも本作がフィーチャーされていて、ある世代には絶大な人気を誇った作品なんだなぁということがわかる。

国内外を問わず多くの創作物に影響を与えた作品なんので、そんな各作品の著者との共通言語を習得するという意味でも鑑賞してはどうだろうか。

ニュー・シネマ・パラダイス (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
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ヌ:※該当なし

 

ネ:<26>眠れる森の美女

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 ディズニーの手描きセルアニメーションの何と美しいことか……

ディズニーのサブスクサービスに加入したことで初めて観賞したのだが、その表現の豊かさに感心しきりだった。

リミテッドアニメーションには出すことのできないオーロラ姫の指先に至るまでしなやかな動き、フィリップ王子の活躍を盛り上げる勇壮な音楽。

あらゆる要素が組み合わさって一つのアニメーション作品としての宇宙を構成しているのだということが実感きる。

眠れる森の美女(字幕版)

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  • 発売日: 2014/05/20
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ノ:<27>のび太の結婚前夜

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実はタイトルに「ドラえもん」が含まれないため「ノ」で選出できるという裏技。

大長編の『宇宙漂流記』と同時公開の短編のため作品時間は短いが、『宇宙漂流記』以上に有名な作品ではないだろうか。

ドラファンでない限り実は30歳前後の層にしか視聴されていないのではないだろうかと思い選出してみた。

Twitterで一年に一度くらいは静ちゃんのパパのセリフの名シーンを目にする気がする。

それくらいある世代には支持されている映画だということだろう。

 

さて、 ナ行まで終了したのでvol.1はここまで。

ハ行以降はvol.2にて!

📺2020年の映画を振り返る(自宅鑑賞編)

○“STAR WARS: Episode I-The Phantom Menace ”/『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1/17)

○“STAR WARS: Episode Ⅱ- Attack of the Clones”/『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(1/17)

○“Slumdog Millionaire”/『スラムドッグ$ミリオネア』(1/18)

○『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』(2/7)

○“THE LEGO MOVIE”/『レゴ ムービー』(2/8)

 

○“Marriage Story”/『マリッジ・ストーリー』(2/10)

○“TOY STORY2”/『トイ・ストーリー2』(3/13)

○“How to Train Your Dragon”/『ヒックとドラゴン』(3/14)

○“Snow White and the Seven Dwarfs”『白雪姫』(4/3)

○『思い出のマーニー』(4/3)

 

○“The Little Mermaid”『リトルマーメイド』(4/3)

○“Pinocchio”『ピノキオ』(4/4)

○『シュレック』(4/7)

○『名探偵コナン 純黒の悪夢』(4/10)

○“One Hundred and One Dalmatians”/『101匹わんちゃん』(4/13)

○『すみっこぐらし』(4/14)

○“There's Something About Mary”/『メリーに首ったけ』(4/15)

◯『眠れる森の美女』(4/16)

◯『名探偵コナン 紺青の拳』(4/17)

○『グレイテストショーマン』(4/19)

○『博士と彼女のセオリー』(4/20)

○『哀戦士編』(4/22)

○『めぐりあい宇宙』(4/23)

○『美女と野獣』(4/24)

○『絶海の探偵』(4/27)

○『バンビ』(4/28)

○『カーズ』(4/30)

○『レミーのおいしいレストラン』(5/1)

○『カーズ2』(5/1)

○『カーズ3』(5/2)

○『プレーンズ』(5/4)

○『プレーンズ2』(5/5)

○『トイ・ストーリー3』(5/9)

○『女神の見えざる手』(5/10)

○『マイレージ・マイライフ』(5/12)

○『タイラー・レイク』(5/13)勇敢だといぅたすさあと直ぐに涙を流すタイラー。

息子の問題に直面するのが怖くて志願兵としてアフガン遠征。

「溺れるのは川に落ちるからじゃない。そのまま沈むからだ」

○『ダンボ』(5/13)

○『ブラック・クランズマン』(5/13)

○『ボーン・アイデンティティー』(5/14)

○『ガタカ』(5/16)

○『ボーン・スプレマシー』(5/17)

○『名探偵コナン ゼロの執行人』(5/21)

○『名探偵ピカチュウ』(5/22)

○『機動戦士ガンダムF91』(5/24)

○『名探偵コナン 十四番目の標的』(5/25)

○『ボーン・レガシー』(5/31)トレッドストーン、ブラックブライアー……何だっけ?

○『ミスターインクレディブル』(6/1)

○『ターミナル』(6/2)

○『ボヘミアン・ラプソディ』(6/9)

○『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(6/12)

○『オズの魔法使い』(6/15)

○『ナイト ミュージアム2』(6/17)

○『バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅡ』(6/19)

○『トイ・ストーリー4』(6/20)

○『グラン・トリノ』(6/22)

○『バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅢ』(6/26)

○『yesterday』(06/28)

○『ジェイソン・ボーン』(7/1)

○『レディ・プレイヤー1』(7/3)

○『世界にひとつのプレイブック』(7/4)

○『スモール・ソルジャーズ』(7/5)

○『ふしぎの国のアリス』(7/8)

○『ナイスガイズ』(7/10)

●『オールド・ガード』(7/11)

○『ラッシュアワー』(7/12)

○『シンドラーのリスト』(7/18)

○『オーシャンズ11』(7/23)

○『ジュラシック・ワールド 炎の王国』(7/24)

○『インディ・ジョーンズ』(7/25)

○『アイアン・ジャイアント』(8/1)

○『ベイブ』(8/3)

○『ブルース・ブラザース』(8/4)

○『ノートルダムの鐘』(8/5)

○『ジュラシック・パーク』(8/7)

○『ロスト・ワールド』(8/12)

○『ジュラシック・パークⅢ』(8/13)

○『となりのトトロ』(8/14)

○『ダイナソー』(8/15)

○『コクリコ坂から』(8/21)

○『フォーカス』(8/22)

○『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(8/23)

○『マダガスカル』(8/26)

○『十二人の怒れる男』(8/30)

○『ムーラン』(9/2)

○『ブレックファストクラブ』(9/3)

○『プリティ・ウーマン』(9/5)

○『マイ・フェア・レディ』(9/8)

○『ギフテッド』(9/13)

○『マネーボール』(9/17)

○『ドラえもん のび太とロボット王国』(9/18)

○『ヒックとドラゴン2』(9/19)

○『インセプション』(9/21)

○『マスク』(9/22)

○『エノーラ・ホームズ』(9/25)

○『メン・イン・ブラック』(9/28)

○『メン・イン・ブラック2』(9/30)

○『E.T』(10/2)

○『オリエント急行殺人事件』(10/3)

○『わんわん物語』(10/4)

○『好きにならずにいられない』(10/5)

○『天気の子』(10/11)

○『恋は雨上がりのように』(10/12)

○『インディ・ジョーンズ2』(10/13)

○『ミッドナイト・イン・パリ』(10/14)

○『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(10/16)

○『ポカホンタス』(10/22)

○『WALL-E』(10/26)

○『ベスト・キッド』(10/29)

○『華麗なるギャツビー』(11/03)

○『バットマン・ビギンズ』(11/10)

○『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(11/13)

○『シンク・オア・スイム』(11/14)

○『シンデレラ』(11/15)

○『ルパン三世カリオストロの城』(11/20)

○『危機一発』(11/23)

○『ルパン三世THE FIRST 』(11/27)

○『パリの恋人』(11/28)

○『永遠に美しく…』(11/30)

○『007ゴールドフィンガー』(12/4)

○『シュガー・ラッシュ』(12/5)

○『007サンダーボール作戦』(12/11)

○『羊たちの沈黙』(12/13)

○『ホーム・アローン3』(12/24)

○『風の谷のナウシカ』(12/25)

○『ミッション:インポッシブルⅡ』(12/26)

○『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(12/27)

○『ロード・オブ・ザ・リング』(12/28)

○『ソウルフル・ワールド』(12/29)

僕の育ての親 午前十時の映画祭

「Final」と銘打った通り2019年度の第十回を最後にその歴史に幕を下ろすはずだった午前十時の映画祭の再開が決定したことは前回のエントリで書いた通り。

 

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

 

僕の趣味は映画鑑賞だが、僕の趣味が映画鑑賞になったことと午前十時の映画祭は切ってもきれない関係がある。

何を隠そう、午前十時の映画祭と出会うまで僕はある意味「映画好き」ではなかったからだ。

 

僕は幼少の頃から『スター・ウォーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』といった作品が好きではあったが、映画そのものが好きだったかと言われると自信がない。

そんな僕に「映画そのもの」の魅力を教えてくれたのがこの午前十時の映画祭だったのだ。

 

僕とこの凄く素敵なイベント上映との出会いは大学生の頃。

 

今では「元トモ」になってしまったとある友人に紹介してもらった友人。

それが東京03の角田似の友人の舜だ。

彼は大変な映画マニアで、元トモの友人から「ナヲトはスター・ウォーズとか大好きなんだよ!」という枕詞とともに紹介を受けた記憶がある。

出会った翌年、とあるキッカケで舜との交流が一層深まることになるのだが、彼と日々過ごす中で「学生は五百円でみられるイベントがあるよ!」と教えてくれたのが午前十時の映画祭だった。

 

僕が初めて観たのは、第二回で上映された内の一作、『レインマン』。

http://asa10.eiga.com/2011/series1/cinema/147.html

その次は『山猫』だったように記憶している。

http://asa10.eiga.com/2011/series2/cinema/196.html

 

わずか500円で映画を観ることができるというのが学生時代の僕にとっては凄くありがたくて、就職活動の時期においても映画のスケジュールを考えて面接のスケジュールを組んでいた。思えば非常に舐めた就活生だった 笑

就職活動時期にはバイトも思うようにできず、軍資金も潤沢になかった。

昼ご飯を食べるか午前十時の映画祭で映画を観るかを天秤にかけ、映画を選んだことは数知れず。

午前十時の映画祭でTOHOシネマズのマイルが溜まり、シネマイレージを1ヶ月見放題券に交換したことも思い出深い。

午前十時の映画祭で沢山の名作映画に触れたことで「映画好き」としての僕の地盤は形成されたと言っても過言ではない。

 

故に午前十時の映画祭に対する感謝の念は非常に大きく、2019年度を以て終わってしまうと知ったときは悲しかったし、終わらずに再開すると知った時は会社の中で声をあげそうになってしまった。

 

第十回では以下の27作品が上映された。

●(オレンジ)は以前の午前十時の映画祭で観た作品を、●(ピンク)は今回の午前十時の映画祭で観た作品を表している。

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asa10.eiga.com

2019年度は最終回ということで、27作品全てを観に行きたいと考えていたが、行くことができたのは16作品にとどまった。

 

今は新型コロナウイルスの関係で映画館に足を運ぶのも憚られる時期であり、僕もしばらくは映画館へ行くことを自粛することに決めたものの、折角再会する運びとなったこのイベントを支える意味でも、第十一回に選出される作品をできる限り多く観るべく劇場へ足を運びたい。

 

ちなみに上で紹介した友人の舜は僕の映画人生に与えてくれた影響が非常に大きく、大学卒業のタイミングで僕らの所属していたコミュニティのメンバー全員に、彼の選んだ「〇〇に合いそうな映画作品」のDVDをプレゼントするという小粋な計らいをしてくれた。

その時、彼が僕に選んでくれた作品が“HEAT”/『ヒート』だった。

直前に彼に「こないだ午前十時の映画祭で『タクシードライバー』観てきたんだけど、滅茶苦茶良かったわ。ロバート・デ・ニーロめっちゃかっけえな」などと話をしていた為、デ・ニーロ出演作の男臭い骨太アクション作品を選んでくれたのだと思う。

この作品を観たのは第三回午前十時の映画祭でのことだった。

asa10.eiga.com

 

時は流れて社会人4年目が終わる頃、僕は都内から名古屋に転勤が決まった。

その少し前、とある映画好きの集まるイベントで知り合ったオタク仲間から「ナヲト君、『ヒート』好きだったよね?今度海外でスチールブックが発売されるから注文するんだけど、送料折半すればお得になるし一緒にどう?」と言われ、僕は彼の提案に乗った。

 

名古屋転勤をする前にそのスチールブックを渡してしまいたい、ということで送別会を兼ねた飲み会を開いてくれた彼から『ヒート』のスチールブックを受け取った数日後、僕は関東を離れた。

大学卒業時に友人が僕に合うだろうと選んでくれた作品をまんまと大好きになった僕が、別の友人からその作品のBlu-rayを受け取って生まれ育った関東を離れることになった。

この思い出深い『ヒート』という作品との出会いを導いてくれたものこそ午前十時の映画祭であり、このイベントを教えてくれた舜という友人なのだ。

 

一人の友人の名前をこのエントリの中で何度も連呼してしまったがそれには理由がある。

最後に彼の映画ブログのリンクを貼ろうと思っていたからだ。

今はもうあまり更新をしていないようだけど。

 

cinemahimitsukichi.blogspot.com

 

2月に友人達と彼の新居を訪ねるはずだったが、北陸に転勤になってしまったバタバタで僕だけ行くことができなかった。

また上京した際には映画談義に花を咲かせたいものだ。

 

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午前十時の映画祭は終わらない

「午前十時の映画祭 」は僕にとって一方ならぬ思い入れのある企画だ。

 

そんな午前十時の映画祭が2019年度をもって終了になるという報に僕は非常に悲しい想いをした。

そんな午前十時の映画祭の公式ツイッターアカウントから、今朝こんなツイートが。

 

なんと!Finalと銘打った第十回午前十時の映画祭の再開が、終了を待たずして発表されたのだ!

asa10.eiga.com

 

「午前十時の映画祭」の再開が決定いたしました!(2020/03/20)

特に素晴らしい傑作娯楽映画を選び、全国の映画館で1年間にわたって連続上映する「午前十時の映画祭」。

2020年3月26日をもって一旦は10年の歴史に幕を閉じることになりましたが、この度、ファンの皆様からの閉幕を惜しむ声や熱い思いに後押しされ、2021年4月2日(金)~「午前十時の映画祭11」として再開することが決定いたしました。

上映劇場や作品などの詳細は、今後、映画祭公式サイトで随時発表させていただきます。
どうぞお楽しみにお待ちください。

(上記URLより引用)

 

おお……マジだ……こんなに嬉しいことはない……

 

BTTF一作目から35周年となる2020年にBTTF三部作全てを上映して終わる、というのも引き際としては最高に美しいと思うものの、大好きなこのイベントがまだまだ続いてくれることの方が何倍も嬉しい。

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※なお、現在はBTTF PART1〜3一斉上映を行なっている映画館もある。1日で三部作全てを楽しめるのはかなりお得! 


今日から始まるBTTF PART3をもって終わるものとばかり思っていたので、午前十時の映画祭に関する思い出をしたためようかと思っていたのに、終わらないのか〜笑

 

とはいえ第10回と言う切りの良いタイミングなので、この大好きなイベント上映に関するエントリは書いてもいいかもしれない。

跳躍〜富野由悠季監督と映画“1917”〜

いつか記事にしようと思いつつもエントリを上げていなかったことがある。

 

昨年の8月24日。

福岡県福岡市美術館にて開催されていた「富野由悠季の世界」という展覧会に行ってきた。

実はこの日、富野由悠季監督が来館され、劇場版『Gのレコンギスタ Ⅰ』「行け!コア・ファイター」の舞台挨拶付き先行上映が開催されたからだ。

 

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そこで語られた内容が非常に面白かったのでいつか書きたかったのだが……

気がつけば半年が過ぎていたと言う体たらく。

速記でメモを取ったのに、もうあのメモはどこにいったのやら……

 

さて、そんなわけで半年以上が経過し、その舞台挨拶で監督御自らが語られた内容も若干忘れて暮らしていた僕だったが、先ほどtwitterのタイムラインでタイトルに入れた映画作品“1917”/『1917 命をかけた伝令』についての話題を目にして急に富野監督の言葉が脳裏に蘇った。

 

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話題作の“1917”は当然僕も既に観にいった。

「全編ワンカット」を謳い文句に、第一次世界大戦においてドイツ軍の罠に今まさにはまらんとする1600名のイギリス軍部隊を救うべく伝令役に抜擢された二人を主人公に据えたスペクタクルムービーだ。

この「全編ワンカット」(風)という撮影スタイルが評価され、2020年の第92回アカデミー賞において視覚効果賞撮影賞(ロジャー・ディーキンス)、そして録音賞を受賞して三冠に輝いたことも記憶に新しい。

 

しかしショートフィルムならいざ知らず、約2時間のサイズの映画を全編ワンシーンワンカットで撮影することなど到底困難であり、公式サイトにおいても「約2か月の撮影期間を経て【全編を通してワンカットに見える映像】を創り上げた。」と明示されているとおり、いくつかのシーンで「あ、ここを編集で繋いだな」と思うところがあった。

1917-movie.jp

 

とはいえ、2時間に及ぶ映画作品をワンカットに見えるように撮ると言う取り組みそのものが極めて実験的であり、「実際にワンカット撮影でないこと」がこの作品の価値を毀損することにはならないと僕は断言したい。

 

さて、僕が目にした本作に関する話題というのが、「“1917”の登場により、今後ワンシーン・ワンカット風の映画や、ワンシーンあたりのカットが長くなる映画が増えるだろう」という意見だった。

 

 

僕は4DXやMX4Dといった上映形式が苦手である。それは4Dという装置が提供してくれる振動などのギミックが、画面に映る客体と主体のどこにフォーカスしたものなのか分からない、即ち、画面内で生じた振動が一人称の視点の存在が感じている振動なのか、二人称視点の存在が感じている振動なのか、混乱が生じてしまうことがその理由だ。

以前、FC2ブログ時代に僕は“Pacific Rim”を4DXで鑑賞した際、苦手だった4DXという上映形式が好きになったし、4DXで鑑賞したことで初見時よりも“Pacific Rim”という作品が面白く感じたと書いた。

eibunkeicinemafreak.blog.fc2.com

 

この「スクリーン」という作品世界を見通す「窓」について、僕が革新的だと感じたのは、“Hardcore Henry”/『ハードコア・ヘンリー』だ。

この作品は全編を通じて主人公の一人称視点で撮影されている。

 

FPSゲームを普段からプレーしている人にとっては何ということはない作品なのかもしれないが、普段全くゲームをしない僕からすると全編一人称視点で物語が進行していくのは非常に脳に混乱をきたし、終盤ではかなり酔ってしまった。

タイトル通り「ハードコア」な描写も多く、いろいろな意味で気分が悪くなった作品。

前任地の名古屋に来て初めて見にいった映画ということでも記憶に残っているが、それはまた別の話。

実験的な作品ではあったものの、作品そのものの持つメッセージ性などは弱く、正直なところ作品としての評価は僕の中でそれほど高くない。

(※実はモノクロ映画の時代から一人称視点で撮られた映画作品は存在おり、『湖中の女』はその最も古い例として知られている。が、僕が初めて観た全編一人称視点で撮られた映画が“Hardcore Henry”なのでその辺りは気にしないでいただきたい)

 

映画は誕生以来音が入ったり総天然色になったり3Dになったりと色々と進化を果たしてきたが、「全編ワンシーンワンカット(風)」という謳い文句の“1917”は、“Hardcore Henry”の「全編一人称視点」と同様、実験的な要素を除けば取るに足らない作品に思えてしまうのではないかという危惧もあった。

しかし、実際に鑑賞してみた本作は「全編ワンシーンワンカット(風)」という手段が目的化しておらず、作品としての出来の面でもかなり僕は好きだった。

 

 

ここからやっと富野由悠季監督と“1917”を絡めて語りたいのだが、若干“1917”に関するネタバレがあるので、情報を何も脳内に入れたくないという方はこの辺りで切り上げていただくことをお勧めする※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よし。

もう大丈夫だろうか。

 

人によっては「全くネタバレじゃないじゃん」と思うかもしれないが、万全を期したい。

 

 

「全編ワンシーンワンカット」を謳う本作だが、実は「主人公の気絶」という反則スレスレの技を使って時間を半日近くすっ飛ばすシーンが終盤にある

 

この時間的跳躍こそ、僕が語りたかった部分なのだ。

福岡市美術館での舞台挨拶で、富野監督はTVサイズのGレコを劇場版に再編集するにあたり、「映画とは何か」ということに関してご自分の考えを語っていらした。

アニメーション作品の監督を数多く務めていらした御大だが、映画文化に非常に明るい人物としても知られている。

(当日、「最も面白い日本映画は『七人の侍』と語ってた。名作中の名作だが、富野由悠季御大ファンで未視聴の方がいればこの機会に是非)

 

そんな御大が映画(「“映画的”なるもの」という言い換えをするシーンもあったと記憶している)を映画たらしめている最も重要な要素として、「編集によって時間的・空間的に跳躍できること」を挙げていた。

 

“1917”は「主人公の気絶」というギミックを入れることで半日近く時間をすっ飛ばしたと書いたが、これこそまさに富野監督のいう「時間的跳躍」であると言える。

 

また、気絶から目覚めた主人公スコフィールドが再び伝令を運ばんがために走り出したのち、敵と遭遇して激流に飲み込まれて流されるシーンがある。

この川に流されたことによる場所の移動こそ「空間的跳躍」そのものであると言えるだろう。

 

正直なところ、スコフィールドが気絶するまでの前半部分は時間的にも空間的にも凄くミニマムな範囲でしか物語が動いていなかった。おそらく空間的には出発地から2.5km程度しか移動していなかっただろうし、劇中で進行した時間も60分程度だっただろう。

しかし、スコフィールドが気絶して覚醒するシーン以降、物語は加速していく。

 

全編ワンシンーンワンカット“風”ではなく、本当にワンシーンワンカットで撮影をしたら、その作品は非常にミニマムな作品に終始してしまうことが予想される。

僕の大好きな作品の一つにロマン・ポランスキー監督作の“Carnage”/『おとなのけんか』という密室劇がある。オープニングとエンディングシーンを除けば全てが密室で描かれた作品で、出来も素晴らしい。

「密室劇」というようなジャンル映画では「時間的・空間的跳躍」を伴わない映画でも名作を生み出すことはできるだろうが、ブロックマスタームービーでそれを実現するのは困難ではないだろうか。

 

“1917”における「主人公の気絶」と「川で流される主人公」というギミックは、この事実に自覚的であることの何よりの証左であるように思えてならず、「富野監督の言っていたことは本当だったんだ」と思った次第だ。

 

なお、余談だが僕が“1917”を鑑賞したその日、“1917”が終わった15分後に鑑賞した作品が 劇場版『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ撃進」だった。

 

なんとも不思議な縁があるものだ。

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撮影機材の小型化、高性能化が進んだことにより、ワンカットで撮れるシーンの幅が広がったことは確かだ。

しかし、今後の潮流が「ワンシーン、ワンカットをより長く撮影すること」に傾いていくことになるかは分からない。

 

富野監督は台詞回しが独特で、ファンからは「富野節」という言葉も生まれるほどだ。

また、たとえ主要キャラであっても登場人物を容赦無く死なせることから、「殺しの富野」という呼び名もある。

しかし真に富野監督を他の監督と隔てている彼の特異な能力は「編集」の巧みさに他ならない。

「ファースト」と呼ばれる初代『機動戦士ガンダム』の劇場版3部作は、全43話のTV版を編集してまとめ直したとは到底思えないほど上手く再構築されている。

この「編集」というプロセスにより「時間的・空間的跳躍」の妙が生み出され、劇場版3部作を名作たらしめているのだと僕は信じて疑わない。

 

機材の進歩でワンカットで長く撮影することが容易になた現代だからこそ、ワンカット辺りの時間を長くするのか短くするのかを適切に判断する編集の手腕が問われるのではないだろうか。

富野チルドレンの僕はそう思わずにいられない。

 

 

 

さて、そんなわけで今回紹介した 劇場版『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ撃進」は3/5(木)までの2週間限定イベント上映!

土日休みの人が観に行くなら今週末がチャンス!!

 

とはいえ、3/6(金)から上映館が順次追加されるので、あまり焦らずに。

詳しくはこちらのURLまで。

www.g-reco.net

 

話、わかりたければ見るしかないでしょ!

 

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